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6/10

ふわふわお揚げは蜜の味

「いただきますっ」


軽く手を合わせて箸を手に取る。

こんな疲れた夜には、お腹に優しいおうどんが最高だよね。

ふーふーっと吹くと湯気がふわわ~っとキツネーズの方に漂っていく。

一緒には食べられないけど、匂いだけ、気分だけでも一緒にね?

こんな1人ご飯も、君たちが居てくれると一緒に食卓を囲んでいるみたいで嬉しいよ。


まずは上に乗ったふわふわ玉子と油揚げをいただく。

玉子の優しいお味とじゅわ~っとお出汁の染みたお揚げさんが最高に美味しい。


お揚げさんって本当に美味しいんだよね、いくらでも食べられちゃう。

好物といえばからあげとかハンバーグって言われがちだけど、私は何故だか昔から一番の好物は油揚げなんだよなぁ。

これからも油揚げレシピのレパートリーを少しずつ増やしていけたら良いなぁ。


白ネギも火を入れすぎず少しシャキッきゅっとした歯触りで美味しい。

はふはふと柔らかいおうどんを啜る。

じんわり染みる優しいお味。

あたりのお出汁、良い仕事してますねぇ。。

いつもはカツオや昆布のお出汁だから、今日はちょっと趣が違って良いですな♪


そして何より体がぽかぽか温まる。

最近職場の冷房が少し寒いから、冬じゃなくたって温かいおうどんはありがたいなぁ。

温かい物を食べるとなんだかほっとするしね。

ホットなだけに。。


忘れてた、つまみと副菜代わりになすの浅漬けも買ったんだった。

ビールのお供に持って来よう。

そうだ、そうしよ~。


よっこいせっと立ち上がるとキッチンに向かい冷蔵庫を開ける。

ミニパックに入った食べ切りサイズのやつだから、もうそのまま出して食べよう。

ズボラだけど洗い物が減ってエコだよ、エコ!


ナスの浅漬け片手にルンルン戻ると、


「あれっ?さっきより。。気持ち減ってないか?」


テーブルの上のうどんを見つめると、さっきより数切れ油揚げが減ったように見えるのだけれど。

アルコールのせいだろうか。

それとも一番の好物の油揚げだったせいだろうか。

好物ゆえ卑しくも数を数えながら食べていた訳ではないのだけれど。。


気を取り直してはふはふと食べ進める。

箸休めになすの浅漬けもちょうど良い。

食べ進めていくと七味がかかった部分が減ってきたので、またもキッチンに七味を取りに向かう。

薬味がないとやはり少し味気ない。


「カプサイシン、カプサイシン」


ぶつぶつ呟きながら席に戻ると。。

席を立つ前よりさらに減っていたお揚げ達。


「いやいや!明らかにさっきより減ってない!?」


大好きだから1枚丸ごと刻んで入れたのに。

食べ始めが十だとすると、もう四割くらいしか残ってない。

大事に少しずつしか食べてなかったのに涙

しかも玉子やネギやうどんは減ってないのに、なんでよりによって大好物のお揚げだけ減るのさ。。

急に悲しみが襲ってきて脱力してしまう。


もうあれかな、なんか疲れてるのかな。

にしてはなんだか変な幻覚だよ。

もう早めに食べてお風呂入って、今日は早く寝よう。

こんな日は爆睡かますに限る。


びっくりし過ぎて箸を落としてしまったので、古い箸を洗いに出して新しい箸を取りに行く。


しゅんとしながら新しい箸を準備していると、

どこからか、


「ふわふわお揚げは蜜の味~♪」

「ほっぺたころころ落ちてくる~♪」


かすかに小さな可愛い歌声が聴こえてくる。

ぎょっとして振り向き声のするほうを目で探ると、なんとテーブルの上のうどんのどんぶりに群がるキツネーズの姿が。


なんで。。

さっきテーブルの端にセッティングしたはずじゃん。

しかもなんで動いてるの。

更に、なんで背伸びしてどんぶりに手を突っ込んで2匹で協力プレイして油揚げ漁してるの。

なんかもう2匹の後ろに大漁旗の幻覚まで見えてきた。

ソーラン節の幻聴まで聞こえてくる始末だよ。


ねぇ、それ私の大事なお揚げさんだよ?泣

しかもモグモグ美味しそうに食べてるし涙


驚きと驚きと驚きで体が固まってしまい、しばしその光景を眺める。。


えっ?私の買ったのってただのぬいぐるみだよね?

私が行ったのって雑貨屋さんだよね?

ペットショップじゃないよね涙


幸せな食事風景が、一転して非日常へと切り替わる。

何がどうしてこうなったの!?

この1話の中で一体何回お揚げ、油揚げという単語を使ってしまったのでしょう笑

数えていないけれど、きっといっぱい沢山ですね。。

もしかしたら、このお話の中で一生分のお揚げ油揚げという単語を使うかもしれないと今からふるふる震えております笑

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