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便利屋セイルは女神にならない ~使うほど身体が侵食される女神変身スキルで、訳あり少年を守る話~  作者: 伊崎詩音
協力者

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協力者


翌朝、俺達は予定通り村を出発することにする。手早く準備を整え、村人たちからの激励と少しの物資を受け取る。もうお礼は十分なんだがな。それはそれとして、全く受け取らないのも後腐れがあるだろ?


そんなことをやっていて、後は出発するだけとなった時。リリアの表情が変わった。


「セイル。上」


言われるより先に空を見上げる。


青空の中を、一羽の黒い鳥が旋回している。見た目はただの鴉か何かだが、同じ場所を何度も円を描くように飛んでいるのは不自然だ。


訓練された偵察用の鳥だろう。いくつか種類があるが、明らかに何かを探している様子なのが伺えた。


「撃ち落とす?」


「いや、敢えて無視する。所属もわからん以上、下手に刺激をしない方が良いだろ」


遠巻き過ぎてどこの誰が飛ばした鳥なのかもわからない。もしかすると関係ない、ただの近場になんらかの調査か何かを依頼された探索者や、国の機関だって可能性だってある。


もちろん、カイを探すベルゼルト卿の勢力や、女神の姿の俺を追う『天律聖教』の異端審問庁の可能性もある。


だから、俺達がやることはカイを馬車の中に隠し、俺も顔を隠すことだ。今は村人たちの前だから女神の姿だが、街道に出たら解除しておいた方が良いかもな。


また、あの魔眼持ち女に接触したら厄介だからな。


「出発しますよ」


「はーい!!」


子供たちと遊んでいたカイをそれとなく抱えあげて幌の付いた馬車の荷台に乗せる。まだ、あの鴉はこっちに気が付いている様子は無い。旋回しながら、この村に向かう街道沿いを進んでるってところか。


「お元気で!!」


遊び相手になってくれていた子供たちと村人たちに別れを告げ、俺達は村を出発する。この村は細い街道の奥で、この先に道は無い。


だからあの謎の鴉の下を進まなきゃいけない。リスクはあるが、ここにいても袋小路状態な以上は知らんぷりをしてこの道を引き返した方が良いだろう。

村で何かあっても嫌だしな。


ったく、カイが子供らしく遊んで笑ってたってのに空気の読めない鴉だぜ。あんなのに警戒しなきゃいけない状況ってのも嫌なもんだ。


本当に、余計なことばかりしてくる連中ばかりだぜ。


「『軽足の律動』」


被ったフードの奥から鴉を睨みつけていると、リリアが短い強化魔法を馬車を牽く馬たちに掛けている。これで馬の足が少し速くなる。

負担も減るし一石二鳥の強化魔法だ。流石は『強化術師』、だな。


「凄い元気になりました」


「実際に軽くなったわけじゃないから、無理はしないのよアンタ達」


「ぶるるっ」


ただ歩くだけでも支援があると消耗は全然違う。それは馬も同じ。リリアが旅に加わった効果を早速実感することになった。


そうして、俺達は村を出発し街道を進む。上で旋回する鴉はだいぶ近付いている。後はその下を通った時に何も無いように祈るだけだ。


念のために女神化を解除し、変装道具だけを付けておく。カイにも付けている赤毛の付け毛だ。ミリアさんはこれだけでも効果があるって言ってたからな。それを信じて知らん顔で突き進もう。


上手くいかなかった時は、その時だ。


「……」


バクバクと心臓の音が大きく鳴る。リリアが幌の中でそれとなくカイの相手をしてくれているから、カイがひょっこり顔を出すことは無いだろう。


そうして、何かを探しているだろう偵察用の鴉の下に入る。まさに緊張の一瞬。何か反応があれば、何かを悟られたってことだ。


ちらちらと鴉を確認しながら進む。大きく円を描きながら旋回を続ける鴉は俺達の馬車に反応を示している様子は無い。


大丈夫か? ホッと息を吐きかけたのも束の間。今度は向かいから『天律聖教』の紋章を付けた馬車がやって来て、緊張の度合いはむしろ増していくことになる。


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狂信者「待っておったぞ、異端者よ!」
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