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便利屋セイルは女神にならない ~使うほど身体が侵食される女神変身スキルで、訳あり少年を守る話~  作者: 伊崎詩音
便利屋セイル

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便利屋セイル


「「ありがとうございましたっ!!」」


「おう、お疲れさん」


鷹竜を一撃で仕留めたあと、ルーキー2人と合流し直した俺はギルドに戻って依頼の達成を報告したあと、2人から感謝を伝えられていた。


「流石っす。竜種を1人で倒すなんて」


「解体された鷹竜を持って来た時はマジでビビったっす」


ガヤガヤと人でごった返す、通称『ギルド』。正式名称は『探索者職能組合連盟』。まぁ長いし分かりにくいから、殆どのヤツはギルドって呼んでる。


ここはその支部の1つ。中央大陸セントラリアを治めるセントラリア王国。その西部にある港町『エスメラルダ』のギルド支部のホールに俺達はいた。


「褒めんな褒めんな。そんなことしたって何も出て来ねえよ。あ、オバちゃん!! 俺らに全員にランチセット!!」


「あいよー!!」


「奢りってやるよ」


「「あざっす!!」」


とりあえずルーキー2人には飯を奢ってやるとしよう。無事に生き残った祝杯だ。

俺達探索者の第一の仕事は生きて帰って来ることだからな。特にイレギュラーが発生した中で適切な対応をして生き残ったことは手放しで賞賛ものだ。


コイツらは良くやった。だからこれは俺からのお祝いだ。それに後輩なんて可愛がってなんぼだからな。


「俺、セイルさんってもっと怖い人だと思ってました」


「俺もっす。なんつーか、近寄りがたい雰囲気っていうか」


「よく言われるよ。目つきが悪くて口も悪いからガラが悪そうってな」


テーブルに着いて開口一番、俺の印象について話す2人に俺は笑う。よく言われるんだよな、怖そうって。


愛想が良い性格、ではないのは自分でも分かるが印象だけでそう言われるのはガキの頃はまあまあ面白くなかった。

今となっては笑い飛ばせるし、この見た目が役に立つ時もあるから一長一短ってところだろ。


「すげぇクールでカッコいい人だなって思ってましたよ? でも、てっきり一匹狼的な人なのかなって」


「わかる。何となく孤高な感じがして、誰ともつるまなそうな人だと」


「おいおい、探索者で気取ってソロなんてやってたら1年も経たないウチに死ぬぜ? お前らも王立学院の『冒険課』卒なら授業で習っただろ? 探索者は4人程度のパーティーを組むのが理想だってな」


一匹狼だの孤高だの言われて思わず笑っちまったよ。自分でも言った通り、この探索者という仕事でソロの活動なんて自殺行為だ。


探索者って仕事は中央大陸セントラリアにある未開の土地に踏み入り、そこでの調査や採集、魔物の討伐なんかが仕事だ。

そんな危険な仕事をしてる奴が1人でやってたら、まぁ1か月もてばいい方だろ。


いくら腕に自信があっても、1人で出来ることには限界がある。例えば魔物の群れに囲まれた時に1人と複数人では突破できる確率が違い過ぎる。


まぁ、こいつらの言いたい事も分かるよ。客観的に見て、俺の外見は何と言うか、無機質な雰囲気だ。


深い藍色の髪が首筋を伝うくらいまで伸びてる。巷ではウルフカットって言うんだっけか?

それに細くて目つきの悪い目。瞳も深い藍色だ。

肌も白いし、表情もあまり動く方じゃない。喋っている時はそうでもないと思っているんだが、思っているだけであんまり喜怒哀楽が表情として出てないんだろうな。


口数も、まぁそんなに無い。自分から声をかける方じゃないしな。


顔は、まぁ自分で言うのも何だがそこそこイケてる方だろ。よくクールな美形だと言われる。

そういう全体の雰囲気がどうにも近寄りがたくて怖い、って言われる原因なんだろうな。


「勇気出してお願いして良かったです。腕利きの方だから、と受付の方に勧められた時は気が気じゃなかったですけど」


「いや、ホントっす。今度は戦い方とか教わっても良いですか?」


「あぁ、良いぜ。修練場の予約しとけよ」


とは言え、見た目印象を変えろなんて無理な話だ。こうやって、コツコツと印象を良くしていくしかない。


まだこの街。『エスメラルダ』にも来てそこまで時間が経ってるわけじゃない。地道な仕事が評判を上げていくのは探索者の仕事でもあるしな。


「……セイルさん」


届いた昼飯に舌鼓を打ちながら、ルーキー2人と談笑していると後ろからぼそぼそとした音量の子供の声が聞こえて来た。


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