三十五話 なんて言えばいいんだろうな、、、、
何の用なんだよ。
せかせかと公園に向かう。
家から徒歩6分くらいにあるからすぐ着くな。
おお、いたいた。
「おーい、何の用なんだよー?」
「おぉ、来たか。
まあ、いい。
じっくりはなそーぜ。」
何故かメールから感じ取っていた怒りの感情が消えて、冷静さに変わっていた。
そもそも俺が感じていた、あの感情が間違っていたように。
「で、何の用だったんだ?」
「ああ、まあ、わかってないよな。
そりゃあ」
朔は、呆れているかのようにそう吐き捨てた。
もちろん心当たりなんてなかったから分かる訳もないってのに。
「まあ、焦らしても楽しくねえしな。
さっさと言うか。」
何を言われるか、そっと固唾を飲んだ。
なにせ何の心当たりもないんだから。
「お前、佐々井さんに好かれてるんだろ。
マジ羨ましいわ。
イケメンっていいよな。」
何を言うのかと思っていたから正直的外れだった。
でも、怒りを感じていたのはあながち間違っていなかったのかもしれない。
なにせ、少しだけ眉間にシワが寄っていたように見えたから。
「えっと、、、、」
「ん”ん”ん”
勘悪いな、お前。
言わせんなよ。
俺、佐々井さんのこと好きだったんだよ。」
そう言った朔の顔は、少し悲愴感が漂っていた。
あいつ、佐々井さんのこと好きだったんだな。
なんて言い返してやればいいんだろうな。
「まあ、そりゃ、突然こんな事言われても困るよな。
俺も何いってんだろって思ってるよ。
まあ、ただの自己満ってやつだよ。自己満足。」
「なんかごめんな。」
「ちげえよ、謝罪が欲しかったわけじゃねえよ。
お前は佐々井さんのこと好きなのか?」
好き、、、、か、、、、
どうなんだろうな、好きってなんなんだろうな?
俺も正直わからない。
何が好きの基準なのかなってさっぱりわかっていなかった。
いや、これからも分かる気はしていない。
けども、心がなぜかどきまぎしている感じがしていた。
「すき、か
そうだな。
なんて言うんのがいいのかはわからねえ。
けど、少しだけ、普通に生活してる中でどこかしら意識しちゃってるのが好きって言うなら好きなのかもしれねえな。」
ちょっとばかし、いやしっかりごまかしたけど。
自分でもよくわかんねえんだよな。
「何カッコつけてるんだよ。
ホント、自分の気持ちも分かんねえ奴だな、お前は。
なんて言ってやれば良いかもわかんねえわ。
もっと自分の気持ちに正直になったらどうだ?鷹夜。」
なぜか朔の言葉なのに説得力があった。
自分の気持ちがわかっているんだろうな、朔は。
そうも思ってしまった。
でも、自分の気持ちの知り方なんてわからない。
どうしたらいいかなんて、このもやもやした気持ちの片づけ方も俺は習っていない。教えてもらっていない。
けれども、自分でそれを知るべきだということは感覚的に分かった。
というか、なんとなく察してしまった。
「じゃあ、朔。
悪いんだけど、この気持ちがなんなのか教えてくれよ。」
「お前が、つい目の前を佐々井さんが通った時に目で追ってしまうのならそうだろ?
それが好きってことだろ?
どうだ?当てはまるか?」
「ああ、目で追っちまうな。
これが好きってことなんだな。
ありがとな、朔。
ていうか、なんかごめんな。」
呆れているのか、気持ちがすっきりしたのかは定かじゃないが少しばかり表情が穏やかになっていった。
「なんでそんなにイケメンなのに恋愛経験ないんだよ。
相変わらずだな。
別に謝る必要なんかないだろ?
わりいな、俺もこんな内容で呼びだしちまって。」
なぜだか、心地よい風が吹いて、俺と朔を取り巻いていた重たい雰囲気がどこかに飛ばされていった。
______________
家に帰ると、朔からメッセージが届いた。
『お前、夏祭り誰かと行く?』
『いや、行く予定無いけど、どうした?』
行く予定無いとか言ってしまったけど、佐々井さんのこと誘わないとっていうか誘いたいんだよな。
どうやって誘おうかまだ考えてないんだよな。
『じゃあ、俺らと行くか?
咲姫とか佐々井さんとか呼んで。』
え、、、、??
なんか想像していた内容と全く違った。
的外れすぎて逆に驚いたな。
『お前が誘うのか?』
『だってお前チキンだから出来ないだろ?
ちょどいいだろ?』
なんていいやつなんだよ、こいつ。
佐々井さんのこと気になってたろうに俺が佐々井さんのこと好きで、佐々井さんが俺のこと好きだって聞いたからそうしてくれたのか?
そんなことまでしてくれるのかよ。
どんな優しさ持ってるんだよ。
俺だったらもう喋れる気しないけどな。
俺の器が小さすぎるだけか。
『あと、鷹夜、佐々井さんのこと奈央って呼び捨てで呼べよ。
じゃないとうまくいかんと思うぞ。』
『OK。ありがとな、いろいろ。』
『いいっていいって。
まあ、ここまでやってやるんだから良い感じになれよ。
あと、なんか奢れ。』
『分かった、あとで一緒に飯でも行くか。』
『よし、焼き肉な。
じゃあ、夏祭りの時に俺らとお前と佐々井さんに分かれるようにしとくわ。』
『ありがと』
何か安心して眠りについた。
投稿遅くなってすみません。
次回、夏祭り入ると思います。
執筆頑張ります。




