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禁断の恋を死から  作者: 蒼檸檬
禁断の恋を秘密を
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19/36

十九話 過去は変えられない、、らしい、、

一週間前のことだった。

弔神から送られてきたメッセージに奈央が1週間後に来るっていう内容が書かれていたのは。

受け入れられなかった。

奈央はもっと長く長く生きてくれるもんだと思ってたから。

奈央には、もっと楽しんで暮らしてほしかったから。

俺のやりたかったことも奈央はやれるからやってほしかったから。

俺が、苦しむべきじゃないなんてことぐらいは分かっていた。

奈央が一番しんどいんだろうな。

まだ奈央自身は死んでしまう運命だとは予想だにしていないだろうけど。

何で俺が残念がっているんだろうな。

奈央が来てくれたらまた一緒に入れるかもしれないってのにな。

嬉しいっちゃ嬉しいのにな。

なんか苦しくて仕方ない。

そんなことでへこたれるメンタルじゃなかったはずなのにな。

俺がどうあがいたって奈央は死んじまうらしいから奈央が現世にいるうちに俺ができることをやっておくか。

そんなことを考えていると、俺は意味の分からない結論に至った。

それは、『俺が現世に降りて、奈央に楽しめ』っていうことだった。

これが正しいとは一ミリたりとも思っていない、、、のかもしれない。

けど、なぜだか、これが最適解なんだろうなっていう考え方が頭から離れない。

何にもやらないよりましかと思って、弔神にメッセージを送る。


『1週間以内に現世に降りたい』


と。

流石に俺も人手不足な現状ぐらいは理解する脳を持ち合わせているから、情けとして一週間以内という甘い条件にしておいたけど、正直早く行って、あっちに長く居たい。

すると、即座に既読がついて、メッセージが返ってきた。


『分かった。出来る限り、長く、早く行けるようにやっとく』


すっげえフットワーク軽いな、この神。

それが取り柄なんだろうけどさ。

ほんとに人手不足なのかよ。

そんな感じ全然しないぞ。

ていうか、そんな簡単に行かせちゃったら、より人いなくなるだろ。

頭使ってんのか、この弔神はよ。

まあ、なんでもいいか。

いけるんだったら。



2日後、現世に降りる許可が下り、即座に俺は現世に降りた。

不便なシステムに愚痴をこぼしながら、歩いて行くと、着いた先は自分の部屋だった。

淀に行ってから大分時間がたっているからか、懐かしくて本来来た意味を忘れてしまいそうだった。

どこにいけば奈央に会えるか分からなかったが、時計は9時を差していたのでとりあえず俺の通っていた、奈央の通っている高校に向かっていることにした。

道中に懐かしい建物が溢れていた。

老舗の弁当屋さんに、行きつけのコンビニエンスストア。

小さいころ、親とよく一緒に行った寂れたデパート。

今にも壊れて倒れてきそうな塀のある家。

何の建物かもわからないような蔓が巻き付いたビル。

いつも何気に普通と思っていたありふれた建物がとてもとても大切でありふれたものではなかったんだな。

そう思ってしまう。

懐かしんでるうちに、すぐに高校についてしまった。

勿論誰からも気付いてもらえるわけがないので、ひっそりと正門を通っていく。

正門から入ると、目の前に俺の数学の教科担任だった立花が立っていた。

気付いているわけないとは思ったけど、流石に君が悪かったからスルーして、奈央の教室に向かう。

階段を上り、無駄に風通しがいい廊下を通ると、着いた。

教壇に歴史の山井が立っていた。

無駄に間を使った話し方で生徒からヘイトを買っていたのは、全然治ってねえな。

そう思いつつ、静かに扉を開けて入っていく。

こういう扉の開け閉めとかは現世にいる人に見えないのかと思ってしまうが、事前に弔神から


『現世にいる人から見えないし、声も聞こえない。

何しても良いけど、犯罪とかはすんなよ。

要は透明人間ってことのようなもんだからな。』


と、聞いていた。

犯罪なんてする気はないけど、透明人間でいると何か罪悪感というか変な感じになってくる。

気持ち悪いよな、なんか透明人間だと。

まあ、そんなもんなのかな?

どこに奈央がいるか探していると、真面目に授業を受けている部活の後輩の山下、坂下、上野がいた。

いつも部活の時はあんなにはっちゃけてるくせして授業中はおとなしいんだな。

そのギャップにツボってしまいそうになる。

そんなこんなを考えていると、こそこそと隣の席の女子と談笑している奈央が目に入った。

5日後には死んでしまう奈央の姿が。

そんなことは知る由もないんだから仕方ないんだろうけど、残酷だよな。

今をさ、楽しんで楽しんで過ごしてるっつうのに。

薄情だよ、世界が決まっているのなら。

ラプラスの悪魔が本当なら。

奈央に近づいていって、隣に来てかがんでから耳元で


「今を精いっぱい楽しんでね、奈央。

死ぬ気で楽しんで。」


その時の思い付きで来てしまったようなもんだから、何を言おうか全然考えていなかった。

ただ、思いついた『楽しんで』を多く言っておいた。

何を伝えておきたかったのかもわからないけど、それ以上に奈央の顔を久しぶりに見れて嬉しくなっている自分がいる。

それはどうあがいても消せない事実だし、変わるわけのない気持ちだから仕方ないよな。

やりたいこともなかったから、とりあえず歴史の授業だけは奈央と一緒に受けてから淀に戻った。

戻るや否や、HZさんや六反、弔神から現世どうだった?と聞かれた。

俺は聞かれるたびこう答えてやった。


「やっぱりあっちは最高。

けど、世界は薄情だよ。」


って。

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