十一話 一緒に見よう
昔、好きだった先輩と一緒に夏祭りに行ったことがあった。
咲姫とかと8人ぐらいで。
そこに好きな先輩。内藤鷹夜くんがいた。
内藤君は、バスケ部でレギュラーを守っていて、イケメン。
そして、高身長。
そんなオールマイティーな人いるかよ、
って一番最初、咲姫から聞いたときは思っていた。
でも、ほんとに存在した。
なんなら、めっちゃ優しかった。
気配りも出来るし、ノリも良い。
唯一勉強は平均より少しできなかったらしいけど、それも愛おしく思えていた。
私は、バスケ部のマネージャーでもなかったし、そもそもの接点なんかなかった。
でも、咲姫がマネージャーだったから、紹介されて知り合った。
夏祭りの日、予定時間に待ち合わせ場所にいたのは、内藤君だけだった。
みんな10分くらい遅れるってメールしてきてたけど、仕組まれているのかってぐらいみんながみんな同じタイミングで来た。
来るまでの間暇だしって言って、
「コンビニ行かない?」
って言ってきてくれた。
正直、緊張しすぎて、朝も昼もあんまりご飯が喉を通っていなかったからおにぎりかなんか食べたい気分だったからちょうどよかった。
一緒にコンビニに入ると、内藤君は私に先に選ばせてくれた。
何か申し訳なかったけど、ご厚意を無駄にしちゃいかんと思って、急いで、鮭のおにぎりと飲むヨーグルトを取った。
すると、内藤君が、
「おにぎりと一緒に飲むヨーグルト飲むの?」
って笑ってきたな。
恥ずかしかったから、思わず顔を赤らめてうつむいちゃったな。
何かを察したのか
「ごめんね」
って言って、自分が欲しいものを選びに行った。
手には、無糖の炭酸とメロンパン。
そのまま、レジに行くと、私の商品を奪い取って、一緒に会計してくれた。
私は思わず
「いいですよ、お金出しますよ」
って言ったら、
「さっきのお詫び。だから、奢らせてね。」
そう言って、奢られちゃったな。
コンビニの近くの公園のベンチに行って、座って一緒に食べたっけな。
「ありがとうございます、、」
「いいから、いいから、俺が悪いし。
さ、食べよぜ。」
そう言いながら、
プシュッ
って音たてながら炭酸開けてたな。
そのまんま美味しそうにぐびぐび飲んでいくもんだから、つい見とれちゃって、
「ん?なんかついてる?
まだ何も食ってないけどなあ」
って言われちゃったな。
見てたのバレたって思って、口を思いっきり開けて、おにぎりを頬張った。
「はは。いい食いっぷりだなー」
って言いながら、内藤君はメロンパンを口いっぱいに詰め込んでいた。
二人で黙々と食べながら、皆を待ってたな。
特段何かしていたわけでもなかったのに、すごい緊張したな。
そろそろ着くってメールが来た時に、私に
「途中で抜け出して、二人で花火見に行かない?
いい場所知ってるんだよね。」
と、耳元で囁いてきた。
思ってもないチャンスで、私は動揺してたけど、とりあえず頷いてたな。
そしたら、
「じゃあ、決まりね。
途中で二人で屋台で何か買うって言って、抜け出そうね」
そう口裏合わせもしてきてくれたな。
胸が高鳴りすぎてたけど、どうにか誤魔化してた。
皆が来て、そうそう内藤君の友達の高井君が
「なんか屋台で買わない?
腹減ったんだけどぉ」
って言ってくれて、内藤君が思わずこっちを見てきた。
「高井、俺、佐々井とさ、一緒に買い行っていい?
先に来た時にさ、美味そうなお好み焼きの店あってさ、行きたいなーって話してたからさ。
いい?」
「わかったわ。じゃあ、楽しんできて。
俺らは別で行こうぜ」
内藤君がうまいこと言ってくれて、抜け出すことに成功した。
私は張り切って、浴衣着て来ちゃったから歩きにくくて、それに下駄の鼻緒がこすれて、痛くてゆっくり歩いてたら、内藤君が、
「明日大丈夫?おぶろうか?俺が連れてきちゃったし」
そう言ってきてくれた。
なんでそうも早く気付けるものなんだろう?
って思ってたけど、それ以上にまだおぶられてもないのに、
おぶられちゃうの?って緊張してたな。
ただ、痛みには背に腹も代えられなくて、おぶられることにした。
重くないかなってドキドキしてたけど、軽そうに持っていて少しほっとした。
そこから、少し高い山のようなところまでおぶられていった。
ようやく着いたら、
「着いたー」
って息切らしながら言ってて申し訳なくなったな。
そしたら、どこからか出てきたレジャーシートを敷いてくれて、そこに二人で座った。
何分か経ったら、花火が打ち上げられ始めた。
あまりにきれいで思わず、
「きれーい」
って言ったら、
「連れてきた甲斐があったよ。」
ってこっちを向いて、微笑みながら言った。
その笑顔があまりにも眩しいぐらいで、胸が高鳴った。
「ほら、ここさ、星もキレイなんだよ」
そう言って、夜空を指してたな。
また、来年も一緒に見たいな。
そう思ったけど、そうは行かなかった。
~~~~~~~~~
「エヌ、私さ、エヌのこと好きなの。」
やっと気持ちを言えた。
ずっと我慢してたけど。
私の心に澄み切った風が吹き込んできた。
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