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08,

 シェフに話したその日にチェリーを使った料理が昼食に出た。

 料理名を言っただけで簡単に作れてしまうだなんて、本当に流石だわ。

 昔、家にあった『世界の料理』の本を見た時にたまたまチェリーを使った料理があったのよね。

 まさかこんな所で役に立つとは思っていなかったわ。

 見ておいて良かった。


 これで今日から多分チェリー尽くしになるから、殿下のチェリー問題は解決ね。

 そうとなれば、また問題を殿下とオリビア嬢に戻しましょうか。


 パンチラ事件は上手くいかなかったけれど、今度は絶対に上手くいくはず。

 それもそう、次の作戦は『階段から落とされてあらら』よ!

 よく恋愛小説であるやつね。

 恋敵から階段を突き落とされ、運良く下を通りかかった想い人に助けられ、より一層の惹かれていくあれよ。


 これは絶対に上手くいくわ!

 オリビア嬢をタイミング良く階段から突き落として殿下にキャッチさせる。

 殿下は運動神経があまり良くは無いけど、そこはわたくしの出番。

 オリビア嬢の落ちる速度を緩めればいいのよ!


 なんて完璧な作戦なのかしら。


 さて、作戦決行は放課後よ。

 オリビア嬢は放課後に先生から呼び出されているので、殿下たちとは必然的に離れ離れになる。それにカルロス(邪魔者)は休みだし。

 今日が絶好の恋愛日和ね。


 なんだか緊張して来たわ。

 集中しなくっちゃ。




 ◇◇◇


 放課後、ついにその時がやってきた。

 オリビア嬢は三階の会議室に、殿下たちは二階の教室に。

 そして、この後すぐ生徒会会議があり殿下たちは三階に向かう。


 殿下たちが生徒会室に向かうタイミングでオリビア嬢を適当に階段まで誘導し、突き落とす。


 殿下たちはもう生徒会室に行く準備をしているのでそろそろオリビア嬢を誘導しましょうか。



 オリビア嬢のいる会議室に向かえば、先生はもう居なくなり一人で会議の準備をしていた。

 本当にいい子ねこの子。


『オリビア嬢、今すぐに殿下たちを迎えに行きなさい』


 オリビア嬢に命令し、殿下たちを迎えに行かせた。

 殿下たちも丁度教室を出たタイミングなのでこのままいくとピッタリ階段でバッタンね。



 オリビア嬢は生徒会室を飛び出してから数秒後、二階へと降りる階段についた。

 そして殿下たちも階段を曲がって右のすぐそこにいる。

 今がベストタイミングよ!

 いきなさいわたくし!


 オリビア嬢の命令を解き、体を浮かし下へ滑らせた。



「キャ、キャァァァァァァ!!!!」



 オリビアは体は悲鳴を上げながら下へ落ちていった。


 本当にごめんなさァァァい!!!!

 体に傷を付けないように階段の角とかにぶつけないように浮かしている。

 でもやっぱり意識があると怖いわよね、気絶でもさせておけば良かったわ。


 殿下たちはオリビア嬢の悲鳴にいち早く気づき、走って階段の元までやって来た。

 そして、落ちるオリビア嬢と遭遇し、殿下は想い人の命の危機と察し走って落ちるオリビア嬢の元まで行く



 筈だった。

 なのに、なのに、何でなのぉぉぉぉお!!!

 殿下が一歩足を踏み出したその瞬間、マックスが殿下の体を押し退け、殿下よりも先にオリビア嬢を抱き止めた。

 殿下はマックスに振り飛ばされた拍子に尻もちを着き、なんとも言えない顔でM字開脚をしている。


 クソ野郎!!!

 なんでいつもいつも邪魔ばかりするのよ!



「オリビア嬢様! オリビア様! ご無事ですか?」

「え、えぇ、何とか。受け止めてくれてありがとう。とても助かったわ」

「いえ、オリビア様がご無事で何よりです。」



 ほ〜ら、殿下がM字開脚しているうちに二人はラブコメの主人公とヒロイン見たくなってしまってますわよ。



「オ、オリビア! 大丈夫だったか!?」

「殿下まで、本当にありがとうございます。見ての通り怪我はありませんわ」



 殿下はようやく正気に戻りM字開脚を解き、オリビアの元に向かった。



「そうか、なら良かった。だが、一応養護室に向かおう」

「ええ、一応そうします」

「マックス、お前は先生に会議に遅れると伝えてくれ。俺はオリビアに付き添う」



 !?

 意外も意外だわ。

 あのヘタレ殿下がこんな事を言えるだなんて。

 はっ!!

 そういえば恋愛小説ではいつも階段から落とされた後は、二人で保健室に行き一線を超えていたわ!!

 保健室でM字開脚王子の名誉挽回をするのね!

 わたくしも最後まで協力致しますわ!



「分かりました」

「で、殿下! 私は1人で行けますわ!」

「駄目だ。足を捻っていたらどうする。ほら、俺に捕まって」



 そう言って殿下はオリビアをお姫様抱っこをして養護室へと消えていった。


 キャァァァァァ!!!

 初めて生お姫様抱っこを見ましたわ!

 あんなにも素敵なものだったなんて!生前に経験していれば良かったですわ!


 って、そんな事を考えている暇はありませんわ。

 急いでわたくしも()()を準備しなくては。


 ふふふ。ようやく使う時が来ましたわ。

〜人物紹介その1〜


【エミリー・フィンク】

侯爵家の長女。一つ下に弟在り。

享年十七歳

赤茶色の髪と瞳が特徴。

権力者達の秘密を集めるのが生前の趣味だった。

いつも笑顔で何を考えているのか分からない人。

好きな物は弟と恋愛小説。



もしよろしければ評価などよろしくお願いします┏○┓

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