表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
失恋したので隣国へ逃げようとしたら、無表情騎士に婚姻届を突きつけられました  作者: アキラ・モーリング


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/12

番外編2 後半 団長と副団長、ルークの重愛に巻き込まれる

後半です(^^)

「流石にこれはわかるな」


「ルークの笑ってる顔初めて見た」


 途端にルークが私を抱きしめた。


「ちょっと、な、何!? こんな、人前で……!」


「人に見せられない」


「な!? 私、人様に見せられない顔してるって言いたいの!?」


 真っ赤になって見上げると、ルークが深いため息をついた。


「違う」


「じゃあどういうことよ?」


「顔を隠して」


 そう言って、ぎゅうぎゅう騎士服へ押し付けられる。


「今のミレナの顔は外出禁止」


「んむっ! ん〜〜っ!!」


 顔を押さえつけられ、声も出せない。


 バシバシ叩いてもびくともしない。


「おい」


 団長さんが呆れた声を出す。


「ウチの奥さんの顔見ないでください」


 冷たい声でルークが団長さんを睨んだ。


「束縛が過ぎると逃げられるぞ?」


「地の果てまで追いかけるので問題ありません」


「問題だらけだろ……」


 副団長が呆れている。


「ん、もぉ〜!」


 なんとか腕の中から顔を出す。


「あんたねぇ! 私を何回窒息させたら気が済むわけ!?」


 抱きしめる力が強すぎて、本当に息ができなかった。


「いや……」


 ルークが口を開き、そのまま視線が少し下――私の唇へ固定された。


「いや、そうかも。窒息……させたいかも」


 そして近づいてくる顔。


 視線は完全に唇へ向いたまま。


 これは、まずい。


 一歩下がる。


 一歩近づかれる。


 まずいまずい。


 慌てて団長さんたちを見ると、二人とも妙に楽しそうな顔でこちらを見ていた。


「すごいなぁ。ルーク、こっち完全無視だな」


「勤務中なんだがな……」


 そう。


 ここは職場。


 騎士団本部。


 このまま醜態を晒すわけには――


 と思った瞬間、腰を引き寄せられた。


 ぐっと顔が近づく。


 ぱぁん!!!


 ルークの顔が横を向いた。


 執務室に乾いた音が響く。


 数秒の沈黙。


 そしてルークの頬に、綺麗な手形が浮かび上がった。


 しまった。


 また頬を叩いてしまった。


 先日、平手の跡をくっきり残したまま出仕したルークを見て、私は散々恥ずかしい思いをしたのだ。


 だから今回は肘鉄に変更していたのに。


 結局、意味がなかった。


「……なんで」


「それはこっちの台詞よ!」


「可愛い顔で誘ってただろ?」


「さ、誘ってなんかないわよ!!」


「そうかな?」


 ルークがそっと私の頬へ触れる。


 親指が唇をふにふに弄んだ。


「潤んだ瞳、美味しそうな唇。今すぐ食べたい」


「この、万年発情期!!」


 ぱぁん!!!


 再び乾いた音が執務室へ響き渡った。


 ◇◇◇


「本当に申し訳ございません」


 ソファへ座ったまま、私は深々と頭を下げた。


 ルーク?


 ルークはソファの下で正座だ。


 その様子に副団長の笑いが止まらない。


「いや、大丈夫です。むしろ面白い……ごほっ、いいものを見せていただきました」


 団長さん、今言い直した意味ありました?


「ルークは入団当初から有能な部下でしたが、何を考えているのかさっぱりわからなくて、正直、苦手意識を持つ者も少なくない」


「え……」


 不安そうな顔になったのか、団長さんが穏やかに笑った。


「大丈夫ですよ。ルークは口に出さないだけで、よく気が利く。冷たいようで案外面倒見もいい」


「そうそう。表情が壊滅的なだけで、仕事はめちゃくちゃできるから、ミレナさんは安心してね!」


 じんわり胸が温かくなる。


 団長さんも副団長さんも、ちゃんとルークを見てくれている。


 良かった。


「ルークはこちらでちゃんとやれてるんですね。安心しました」


 いつの間にか隣へ座っていたルークが、私の手を握った。


「安心した?」


「うん。連れてきてくれてありがとう」


 ふっとルークの目が細められる。


 うん。


 来て良かった。


「ミレナさん、どうかこいつを見捨てないでやってくれ。ルークをここまで理解できて、制御できるのはミレナさんしかいない」


「はい!」


 まだ奥さんって実感は薄いけれど。


 こうしてルークの上司たちに認めてもらえるのは嬉しかった。


 しかもこんな偉い人たちが、平民出身のルークをちゃんと見て、大事にしてくれている。


 それが嬉しい。


「愛想は死んでるがな」


「副団長」


「事実だろ?」


 ルークは無表情のまま紅茶を飲んでいた。


 反論しないのか。


 私は勢いよく頭を下げる。


「主人のことで意思疎通できないとか、何か困ったことがあれば、私がいつでも協力します! これからもルークのことをよろしくお願いします!」


「頼もしい!!」


「助かる!!」


 なぜか団長さんと副団長さんに感動された。


 すると隣でルークがぽつりと呟く。


「別に困らせてない」


「困らせてるのよ!!」


 反射で肘鉄を入れた。


 ゴスッ。


 団長執務室に、副団長の爆笑が響き渡った。

ドタバタ職場訪問でした(^^)

明日も18時に更新します!


「続きが読みたい!」と思ってくださった方は、ページ下部にある【ブックマーク登録】や、【星(☆☆☆☆☆)】での評価で応援していただけると、執筆の大きな励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ