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悪役令嬢は賢妃を目指す  作者: りのみ
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(勘違い)ヒロイックサーガ

森の中の道を一人突き進む少女。

その少女は神官のようだが、鍬を持っている。


「~迷子の王子様、あなたはどこにいるかしら?森の中でも出会わない。村に行ったら会えるかな?らんらんらら~ん」


何やら歌を歌っている。


「だいたい、森の中に動物がいるのは聞いていたけれど、何で襲ってくるやつばかりなのよ?熊に猪におまけに山賊まで・・・。はっ!これはもしかしてフラグね!苦労して村まで辿り着いたヒロインのことがなぜか噂になっているのよ。今頃きっと村で歓迎の支度をしているかもしれないわ。イケメンな村長の息子がいたりして。うふふ。でも村長の息子くらいじゃねー。」


ぶつぶつとにやにやしながらわけのわからないことを言っている。


「可憐な乙女のヒロインが、危険な森を抜けて人助けのために村に医者を呼ぶために冒険をする。そこで出会いがあるはずよ!でもおかしいわね?この世界は乙女ゲームのはずなのに・・・。イケメンたっぷり、キャラの愛情どっぷりなのが乙女ゲームのうりなのに・・・。もしかして、運営が手を抜いてるとか?ありえるわ。普通ヒロインが困っていたら助けに誰かが来るはずなのに・・・。」


考え事をしながら歩いていたからか、道に躓いてこけてしまう。


「いたたた・・・。こんな時に手を誰か差し伸べるべきなのに・・・。」


言いながら自分で立ち上がり、服をはらい周囲を見回す。


「誰もいないわ・・・。本当にもう!私は冒険がしたいんじゃなくて、イケメンにちやほやされたいだけなのに・・・。動物や山賊を退治することなんてのぞんでないわ。どうしてこんな些細なお願いが叶えられないのかしら?」


何かを思い出しているようだ。


(神殿では、朝のお祈りの時にきちんと真剣に“贅沢は言いません。ヒロインなのだから身分の高いイケメンに愛されるのが当たり前。”や“神様がいるのならば、私がこの世界のヒロインに転生したのが運命なのだから早く幸せにしてください”とか“神様なんだからきちんと仕事してください”ってちゃんと神様に聞こえるように願っていたのに。神様に祈ればその祈りは神様に届くってアリアが言っていたからきちんと毎朝眠いのに起きていたのに。)


少し機嫌が悪くなったのか、頬を膨らませて地面を踏みしめて歩いていく。

のしのしと力強く歩くその姿は勇ましい。

少し前をウサギが横切る。


(そういえば、意地悪な悪役によって城を追い出された後、森の中に住んでいたヒロインを王子様が見つけるって話もあったわよね?森の中で小動物を肩に乗せ歌うヒロイン。ヒロインの周囲でその歌声に聞き惚れる動物たち。そんなヒロインを見つめる王子様・・・。いっそのこと森の中に住もうかしら?)


ウサギをみたことで何か思いついたのか、“エリス”はスキップをする。


「ららららら~。」


いきなり歌いだしステップを踏み出した。


(王妃たちに教えられたようなダンスじゃなくって、なんだろう?一人で歌いながら踊るヒロイン。それを偶然目撃するイケメン!優雅にくるりとターンすると粗末な洋服が綺麗なドレスに見える錯覚に陥って・・・。)



「君はこんな所にいるような人じゃないだろう?」


どこからか現れて、そう言ってエリスの手を自然に受け止める美青年。

その青年にはエリスの着る粗末な神官服がどの国の姫君にも負けないドレスに見えるようだ。

そして森の中で踊る二人。

そして語り合う愛。

それを見守っている鹿やウサギやリスたち。木々からは小鳥たちが見守る。

動物たちに祝福されるように見守られ二人は仲良さげにその場を去っていく。


「そうよ。ヒロインだもの。これくらいしないと駄目よ!」


一人仁王立ちで叫んでいるエリス。

その声に驚いたのか、木から鳥が飛び立っていく。


(身分の高いイケメンは乙女ゲームに欠かせない要素よ!そして悪役令嬢はヒロインが幸せになるための布石!セシリアが転生者だったから前回は失敗したけれど、今度こそヒロインの幸せルート一直線よ!)


何かを決意したのか、鍬を持たない片手を握りガッツポーズをとる。

外見だけは良いのに傍からみたら変な少女である。

そんなことを気にしない、考えないエリスは道を歩いていく。


「セシリアがランスロット帝国に嫁ぐというシナリオになったのは転生者だったからよ!だったらヒロインに転生した私なら続編ヒロインになるのも不可能ではないはずよ!」


そう力強く宣言し、イケメンに出会えることを信じて森の中を進んでいく。

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