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悪役令嬢は賢妃を目指す  作者: りのみ
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それぞれの考え。

母上はおかしい。

僕がやっとヴァンディミオン兄上と仲良くしようとしているのにそれを止める。

父上もひどい。

僕がお手伝いをできないのはわかったけれど、それなら兄上にわからないことは教わればいい。

そう思うのに父上も母上も反対する。

ヴァンディミオン兄上が皇太子として忙しいのは僕にもわかる。

それでも同じ母上の子供なのだから、少し僕と仲良くする時間を作ってくれてもいいのではないかと思う。

義姉上だっているのだから、他のきょうだいたちのように仲良くできると思ったのに。

勉強を教えてくれている教師だって僕を誉めてくれるのだから僕にだってできることがあるはずだ。

少し教えてくれればわかるはずだから、そのくらいのことしてくれればいいのに。

僕は邪魔をしたいんじゃない。お手伝いをしたいんだ。

そう母上に言っても、僕の言葉を否定する、。

今まで優しかった母上がこんなに反対するなんて。

僕は間違ったことは言ってないのに。


晩餐会ではヴァンディミオン兄上は僕に話しかけてくれなかった。

義姉上にお願いしておいたのに。

母上や父上の言葉しか聞けず、兄上の言葉はなかった。

ただ僕は仲良くしたいだけなのに。

本の中では兄弟は仲良く助け合って生きていた。

僕はそんな関係にずっと憧れていた。

とてもすごい兄上なら僕を助けてくれても、全然平気だと思うのに。

また後宮を抜け出して皇太子宮に行ってみようかな。

入り口にはきっと見張りがいるから僕が抜け出したことがわかってしまう。

また義姉上が庭にいるかもしれない。


でもその前に母上にもう一回お話を聞いてもらおう。

僕は母上に教えてもらうのではなく、ヴァンディミオン兄上に教えてもらいながら仕事をしたいんだって言おう。

僕の年齢の時には、もうヴァンディミオン兄上が留学してた。

だから僕にだってできるはずだ。




(私は何か間違えていたのだろうか・・・?)


そう皇后は一人考える。


(もう、子供が産めないことを言われたくなかった。あのこを妊娠した時もう誰も何も言わないと思ったのに、生まれたあのこによって不義を疑われ、周囲に味方はいなかった。だから皇帝陛下そっくりのジュリウスが生まれた時、私は皇后としての義務を果たし誇らしかった。ジュリウスが皇帝になれば私を蔑ろにした全ての人間の間違いを正せると思った。それに、ジュリウスだってそれにふさわしいよう育ててきた。それなのに、あのこをジュリウスが求めるなんて・・・。皇帝陛下が私に謝罪するなんて・・・。私は間違えていたのだろうか・・・?)


豪華な調度に囲まれた部屋で一人静かに物思いに耽る。


(私は私自身を守るために今までこのランスロット帝国の後宮で戦ってきた。可愛いジュリウスに危害を与えられることのないよう権力を使ってきた。私をこの後宮で蔑ろにした側室には、思い知らせるために必要なことをしてきた。全て私とジュリウスのためにしてきたこと。皇后の座を狙うものには身の程を教えてきた。皇帝陛下に謝罪されたことで、私のしてきたことが間違いだったということになってしまうのか。あのこがいなければ、ジュリウスが皇帝になれると、それが正しいと思っていた私が間違っていたのか。何が間違っていた?そもそも私は本当に間違えていたのか。)


静かに思考の海に沈む。




セシリアが私の理想だと思い、求婚した。

そしてセシリアは私の気持ちに答えランスロット帝国に来てくれた。

それでも、晩餐会の時に言った言葉には感動した。

私と同じ目線でこの帝国の未来を見つめてくれている。

母である皇后はいずれどうにか手を打つ必要があった。

それでも、一応自分を産んだ女性だから手荒なことはしたくなかった。

そんな自分の気持ちを理解したかのように、皇帝に対して自分が努力するから時間を作り皇后と話してくれと言ってくれた。

私には考えつかなかった。

セシリアはこのランスロット帝国と、私のことをとてもよく考えてくれている思慮深い女性だ。

そんな女性に会えた私は自分を誇りたい。

やはり学園で出会ったのは運命だった。

前世の記憶があると言っても、全然異性慣れをしていないセシリア。

これからも暴走しない自信はあまりないが、ルシフェルトが止めてくれるだろう。側近だから。


周囲は側室をとらないと言ってもうるさいだろうが、私はセシリア以外の女性は必要ない。

それにセシリアの優秀さなら周囲を納得させることはできるだろう。

第二の継承権を持つジュリウスに危機感を抱いている者がいるのは事実だが、セシリアとの子供が生まれればその声もなくなるだろうか?

そのような考えも浮かんでくる。

正妃に子供がなくてもと考えていたが、セシリアを知るにつれて子供のことを考えるようになってきた。

だが、セシリアの反応をみると焦ることはできない。

胸元にキスを落としただけで失神するセシリアにこれ以上のことして拒絶されるのが怖い。

私が暴走した時はきちんとルシフェルトに止めるように言っておくことにしよう。

セシリアの協力を得てこれから皇帝の公務も行わなければならないのに、私が暴走しては台無しになってしまう。

私もまずは執務を覚えることに専念しよう。

それが今私のすべきことだ。

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