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悪役令嬢は賢妃を目指す  作者: りのみ
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(勘違い)ヒロイックサーガ

森の中で、神官服を纏った蜂蜜のような艶のある金色の髪、ストロベリーブラウンの瞳の可憐な少女が一人、数人のガラの悪い男達に囲まれている。

山賊だろうか?少女は下卑た顔でにやにや笑う男達にすっかり怯えてしまっている。

にやにやと笑いながら、男の一人が少女に手を伸ばそうとするところに颯爽と男達と少女の間に入る男がいた。


「か弱い少女に何をしているっ?!」


「うるせぇ!関係ない奴はひっこんでろ!!」


少女を庇い、武器を振り上げる数人の男達に対し腰にさした剣を構え応戦する青年。

そして瞬く間に武器を弾き男達を叩きのめしてしまう。


「これ以上やる気か?」


青年が言うと何とか起き上がりほうほうの体で逃げて行く男達。

それを見送り剣を腰におさめた青年が少女に向かい


「大丈夫か?怪我はないか?」


「大丈夫です。お陰様で助かりました。神官長様がお倒れになり近くの村にお医者様を呼びに行こうとしていたところ、急に・・・。」


気弱そうに少女は答える。


「こんな山の中を一人で・・・。危険だと思わなかったのか?」


少し眉を寄せ非難するように青年は言う。


「私一人しかお医者様を呼びに行こうとする者がいなくて・・・。皆さんお忙しい方々ですから。それに私は神殿に預けられた身ですから・・・。」


少女が答えると青年は感心したのか


「何て健気なんだ。私が村まで送って行こう!」


と笑顔で言い出した。

しかし少女は困ったように


「そんなご迷惑では・・・。」


と遠慮がちに言う。


「大丈夫だ、心配ない。私は一人気ままな旅をしているだけだ。」


笑顔で頷き、少女に強く言う青年。


「そうなんですか。あっ、申し送れました。私の名前はエリス・ユリエールといいます。」


少女がやっと安心したのか、微笑んで名乗る。

嬉しそうに青年も


「エリスか。いい名前だな。私は・・・。」



「ってこーんな感じになるはずでしょ?おかしいわよっ!運営に抗議してやる!」


そう言いながら鍬を振り回し、男たちに当てて倒していく少女“エリス”がいた。

鍬が横っ腹に当たり呻き倒れる男。

それをみて


「おい!こいつヤバイぞ!」


「女のくせに何てやつだ!鍬で戦う神官服の女なんて聞いたことねぇぞ!」


「誰だよ?!神官だったら大人しいから良い思いして売り飛ばしちまおうって言った奴は?」


男たちは怒鳴りあいながらエリスの振り回す鍬に当たらない場所まで下がり遠巻きにする。

森の中に住み旅人を襲うことを生業とする男達が、神官服で一人歩く少女に目をつけて襲撃したところ、目をつけられたエリスが持つ鍬で応戦したようだ。

エリスの振り回す鍬の当たった男達は、呻き声をあげて倒れている。


「『ヒロイン』が山賊に襲われているのよ?!助けがくるのが当然でしょ!何で私が鍬を振り回さないといけないのよ!普通颯爽と助けに入るイケメンキャラがいるはずでしょー!!何でこんなムサイの相手にしなきゃいけないのよ!」


そう叫び、めちゃくちゃに鍬を振り回すエリスを前に男達は言葉を交わす。


「おいお前、この女の言っている言葉の意味わかるか?」


「いや。全然わからん。何かの呪文か?」


「そういや神官服だし・・・。」


言い合い不気味そうな顔になっていく。


「この山奥にある神殿って入ったら出ることができないって話だよな?」


「神に一生祈りを捧げるんじゃなかったか?」


そう大声で話しながら自分達の知っている神殿のことを言い合う。


「じゃあ何でここにいるんだよ!」


「何か意味のわからない言葉を叫んでるし、普通の神官の女なら鍬振り回すなんてことしないよなぁ?」


何か思いついたのか一瞬で男達の言葉が止まり顔色が悪くなり、倒れていない者達で目線を交わす。

そしてエリスのことをまじまじとみて、めいめい叫び逃げ出した。


「神殿から出られなかった女の化け物だー!!」


「いや、きっと神殿で修行のしすぎで人間捨てた魔女だ!」


そう叫び逃げて行く男達と、倒れたまま呻く男達。

男達が走り出したので鍬を振り回すのをやめたエリスはその叫びを聞き


「私は『ヒロイン』よっ!」


と叫び返していた。


「誰が魔女よ!化け物よ!私は『ヒロイン』よ!悪役令嬢のセシリア・エヴァンジェリスタのせいでこんなことになったのよ!」


そう喚き、少し落ち着いた。


「まったく、こんな目にあったのもセシリアのせいよ・・・。近くにいなくてもやっぱり私に害悪な女ね・・・。何が魔女よ、化け物よ。私のどこをみてそんなこと言えるのよ。」


ぶつぶつと逃げた男達に対し文句を言うエリスは足元に転がる男達に気づきまじまじとみて


「やっぱり男はイケメンにかぎるわ。こんなにムサイのじゃなくて筋肉質の細身が良いわね。身長が高くて身分が高くて私という『ヒロイン』にふさわしい男じゃないと。」


そんなにわがまま言ってないんだけどねーと言い、倒れている男達に対して興味がないというように、鍬を持ち直し歩いて行く。


(せっかく神殿を出ることができたのに、何で熊やら猪やらムサイのしか会わないのよ?誰も助けにこないし。猪は突進してきたからカウンターかましてやったけど・・・。どっかの国の王子とか騎士とか普通助けにはいるんじゃないの?そういえばカインはユーリとランガを連れてどっかに行ったのよね?王都にはレオンが残っているはずなのに全然会ってないわ。・・・そうよ!きっとセシリアが教皇や国王に入れ知恵したのね!ヴァンディミオンを私から盗ったくせに何て女なの?!みてなさい!私が村についたら、一人で神に祈るための神殿から神官長の病のために医者を呼びに来た聖女だと村人は称えるわ!こうして私のことは村から噂で他の国に伝わって、どっかの国の王子が私を迎えに来るのよ。私は『ヒロイン』なんだから。ヴァンディミオンも、もしかするとセシリアの性悪さに気づいて今頃私をいらないって言ったのを後悔しているかもしれないわ!私を迎えに来るかもしれない。でも簡単には許してあげないんだから・・・。)


スタスタと歩いていたのが、だんだんノシノシと歩き、かと思えばクネクネとしだすエリス。


エリスの振り回した鍬に当たり倒れた男達は、逃げた男達の話を聞きこの女はただの神官の女ではなく化け物の類だったのではないかと思い、エリスが暴れていた間目が合わないように目をつぶっていた。

エリスが自分達から離れたので目を開けて後姿を見送り、あまりの不可解な行動に何か呪いをかけられたのではないかと心配になり、何とか起き上がって仲間同士確認した。



自分の後ろでそんなことをしているとも考えない、自分が倒した男達のことなど気にもとめないエリスは村までの道を歩く。


イケメンキャラと出会える未来を信じて・・・。







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