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episode 0 「プロローグ」
少年は燃え盛る城の残骸を、ただ見つめていた。
少女はその少年の背中を、ただ見つめていた。
慣れ親しんだ城下町は完全に崩壊し、至るところで人々が泣き叫んでいる。
死、死、死。初めて触れるそれは少年の心を蝕む。
「クレア……」
少女はそれ以上少年に言葉をかけることができなかった。自分自身の言葉で少年を癒すことができないことくらいわかっている。それでも声をかけたのは、そうしないと自分自身も押し潰されてしまいそうだからだ。
「ゆるさねぇ」
少年は小さく呟き、拳を握りしめる。そして復讐を誓う。死神と呼ばれたあの男への復讐を。