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第41話 トラッキング!

「ぜえっ、那由多(なゆた)っ! 今の真理ちゃんか?」

 校舎から正門までの道のりを全速力で走ってきた永遠(とわ)が息を切らしながら聞く。

「真理ちゃんもだけど、的部(まとべ)くん()かれちゃったよっ」

「メットくれ」

「永遠くんまさか追いかけるの? 危ないよっ、警察に……」

 パニックになっている那由多からヘルメットとエイプを受取りエンジンをかける永遠。

「那由多、刹那(せつな)に電話してインカムアプリ立ち上げろって伝えてくれ」

「ダメだよダメだよ!」とスマホのインカムアプリを立ち上げている永遠の左腕を掴んで必死に揺さぶる那由多。

 その時、地面からゆっくりと立ち上がった的部が那由多の腕を取り永遠から引き剥がした。

「頼む、真理お嬢様を……」と流血している頭を永遠に下げた。

「怪我は?」

「問題無い」

「丈夫なんだな」と言うと、永遠はシールドを降ろしてロケットスタートで真理を連れ去った車が消えた方へと走っていった。

「的部くん、血出てる! 救急車!」

「受け身は取った、問題無い。それより、あの生意気な女は?」

「あっ、刹那っ」救急車を呼ぼうと出したスマホで那由多は刹那に電話を掛け永遠からの伝言を伝えた。


——河川敷に向かう途中、自転車に跨ったままスマホを耳に当て数回頷く刹那の姿。

「状況はわかったわ。那由多は召使いさんと一緒に、……そうね、永遠がバイク隠してる公園で待機してて。警察には私から連絡する」そう口早に那由多に伝えた刹那はすぐに電話を切って警察署長に連絡を入れた後、インカムアプリをオンにした。

「こちらシエラワン、アルファワン状況は?」

「刹那? 署長(おじさん)には連絡したか?」

「一報いれた程度。犯人の情報が何もないもの」

「俺もすぐ追いかけたけど一瞬見たシルバーの車ってだけじゃわかんねーよ!」

「那由多、エンジン音が急にしたって言ってたわよ。あと運転手が外……国人とも」

「もしかして古いプリウスか! 林の中の葉っぱ探しかよっ」


 永遠は路肩をすり抜けしながら念の為新旧含めシルバーのプリウスを見つける度にあみだくじの様に車線を移動して近づいていき運転席を覗きこむ、……が、なかなか見つからない。

 この田舎町に明るくない外国人による誘拐事件が起きたとして、空き倉庫や空き工場の多い工業地帯に向かう可能性は高い。

 大通りに出てから既に4台の該当車両を確認した。

「次ハズレだったらヤバいぜ」

 もう少しで工業団地に繋がる道に差し掛かる。交通量の少ない広い道に出られるとミニバイクの速度域では追いつけない。

 赤信号で停車している最前列にシルバーの車を見つけた。祈る思いで近づいていく。その車はチャイルドシートに座っていない幼稚園児でも乗っているかのようにノリノリに左右に揺れていた。永遠の中で疑いが確信に変わっていく。

 信号待ち車輌のドアミラーを慎重に避けながら目的の車まですり抜けていく。運転席に並ぶ寸前、後部座席の窓を蹴るローファーの脚が見えた。

「真理ちゃん!」車内で口に粘着テープを貼られ後ろ手に縛られている様子の小野真理が暴れていた。永遠の呼びかけに気付いてさらに暴れる。


 不意に運転席のドアが乱暴に開けられ、押された永遠はよろけて隣の車に寄りかかる。隣の車の窓が開き怒号が飛んでくる。

 まだ信号は青になっていないがプリウスが急発進し、ウインカーも出さずに交差点を右折していく。自転車に乗った年寄りが引っ掛けられそうになって転ぶ。あちこちでクラクションが鳴らされる。

「クソッ!」体制を立て直しながらもたれかかっていた車に会釈して永遠もすぐに追いかける。

 車は追跡する永遠を邪魔するように激しく蛇行運転をしはじめた。


「刹那、〇〇ナンバー・わXXのYY、シルバーのプリウス! 国道〇号から県道△号に交差点を右折、工業団地方面だ」

「オッケーアルファー! シエラワン了解! 一度切るわ。死ぬ気で追いかけなさいよ! オーバー」

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