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53 決起


「長きに渡って苦しめられてきた岩人と決着をつけるぞ!」

「おおーーっ!?」


凄い迫力……村に戻る間に聞いたのだが、シェルは亡き先代の村長の娘で武芸に秀でた父親の血を継いで才能があったため、まだ未成年ながらに村の村長をしているそうだ。


ずいぶんと苦しんだんだろうな、士気の高さがハンパではない。彼らはけっして外の世界からやってきた私の魔法のチカラに縋ろうとしていない。武器は受け取ったが助太刀はいらないと断られた。まあここまできたので危なくなったら勝手に助力しちゃうけどね。


病人や負傷者、子どもと年寄り衆を残してほとんどの大人が戦列に加わっている。私は少し離れて彼らのあとについていった。


村から半日ほど移動したところで、岩人と衝突した。これまでは一方的にやられていたが、弱点がわかれば怖くない。水をためた瓶から水を振りかけて、岩人が苦しんでいるところを関節の部分を切り離している。


切り離された岩の隙間にさらに水を流し込み、中にいるクラゲみたいな本体にトドメを刺している。数の上では圧倒的に有利なので、どんどん岩人を倒しながら先へ進んでいくと本拠地を見つけた。


大きな岩山があり、その根元にこれまた大きな丸いトンネルのような穴がポッカリと開いている。ここから反対側が見えるほどトンネルがとても大きい。


トンネルの壁には小さな石がいっぱいくっついていて、モゾモゾと蠢いているので岩人の幼体だと思う。


森のなかで狩りをしたのか、鹿がこの小さな石に群がられていた。ここへ来る途中、森のなかのあちこちに水たまりや池などがあったので水瓶に水を補充してある。あとはここにいる岩人を掃討すれば片が付く。


ところで気になるものがふたつある。ひとつは小山のようになって小さい石がたくさんくっついている場所と壁面に明らかに埋まっている大きな岩が何個かある。


片方は私の予想が当たった。壁面に埋まっている巨大な岩が周囲の岩肌に亀裂を走らせ、動き出した。たぶん岩人の親玉……。


かなりデカい。7メートルくらいはある岩人の親玉は自然のトンネルのなかで頭を天井に擦りつけながら、トンネルの外へ出てきた。


これは手強そうだ……。手伝おうか、と聞いても断られそうなので計画通りこっそりお手伝いする。


シェルと彼女のまわりにいる腕の立つ7人の武器へ付与魔法(エンチャント)を施す。属性を付加させない場合は青白く光るのだが透明な魔力(インビジブルセンス)を応用し、魔法を武器に付与したのを気づきにくいよう細工をした。本当は強化(バフ)魔法も掛けてあげたいが、掛けられたひとが自覚してない場合はイメージと自分の動きが一致しない場合、逆に危険になり得るので付与魔法だけに留めた。


でも、岩人の親玉には容赦はしない。空気遮断層(エアシェルター)という空気の壁をいくつか作り岩人の親玉のカラダに纏わりつかせ、動きを鈍くさせた。


そのお陰もあって、他の村人たちが瓶の水で足を構成するパーツに水をかけて自立できずに倒れたところにシェルたちが親玉に襲い掛かり、岩をバラバラに切り取った。あとはそれぞれの岩に水をかけて中のクラゲのような本体を処分する。


トンネルのなかの幼体とみられる石も片っ端から水をかけて駆除をする。先ほどから気になっていた小山の石たちを剥がすとその下にさらに不自然な岩の塊があった。


これって……。


「ロニ、中にロニがいるの?」


まだ精度は低いがある程度なら識別できるようになった魔紋で岩の魔法を使っている人物へ呼びかける。すると魔法が解かれ、衰弱しきったロニがいて、魔法を解除したと同時に岩肌の剥きだした地面へ倒れた。



村へ連れ帰って、ロニを介抱する。私は光魔法は使えないのでこんな時にサラサがいれくれたらどんなにありがたいことか。地底世界の植物体系も地上とはまるで違うので薬草学の知識が役に立たない。ロニは外傷はなく、魔力切れと魔法で発動した岩の中へ長時間にわたって閉じこもっていた心因性のショックで気を失っているんだと思う。


ハイスペックなロニがこんな目に遭っているんだ。他の人たちは大丈夫なんだろうか? 不安が急に襲ってきた。





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