第一章 出会い 4
家に帰るとお菓子を食べながら帰ったリュシルは、手に持っていたお菓子のほとんどが無くなってしまったことを残念に思った。
「あれだけあってもなくなるのは一瞬...食べ物ってとってもはかない物ね...」
「なに名言ぽいこと言ってるのよ...そんなことよりあれだけお菓子を食べてるからお腹いっぱいになって夕食を食べれなくなるんじゃないの?」
エステルがそう言うとリュシルはすかさずはなした。
「そんなことないわよ、まだまだ全然足りないくらいだわ!」
「全く...怪物みたいな食欲があるのに、そのスリムな体系を維持できてるのはうらやましいわ」
エステルはため息をつきながら台所から3人の食事を運んできて机に並べる。
アニーは今日の出来事がニュースに出ているんじゃないかと思い、寝室にあるラジオを持ってくると皆の前でセットした。
「今日のことがニュースで取り上げられてるかもしれないわ。あの後がどうなったのか気になるわね」
さっそく電源を入れて周波数を合わせてみると、ドンピシャで今日の出来事を放送している放送局と当たった。
「夜のニュースの時間です。今日の昼過ぎに13区にある小学校に、機動隊と接触したデモの参加者たちが乱入した立てこもり事件についての最新情報をお伝えします」
「あら、さっそく今日の事件のことがやってるわ」
「小学校にデモの参加者と共に立てこもりその後逃走した指名手配中であったヴィクトルですが、午後5時ごろに13区のル・ブラン通り付近で逮捕されました。警察によると、彼は逃走の際に爆弾を使用としたものの安全装置の解除の仕方が分からずに手間取っている間に確保されたそうです」
「なんて間抜けな捕まり方、でも散々暴れまわってきたつけが来たものね」
「私たちをあんなにひどい目に遭わせたんだから、その分頭を冷やせばいいわ」
「ヴィクトルが捕まってデモ活動が少し落ち着いたら、その分毎日静かで安全に暮らせるわ。少なくとも今日みたいに学校に行くだけで苦労する羽目にはならなくて済む」
エステルはそう言いながら食事の用意を済ませた。
そうするとリュシルが今にも夕食に飛びつこうとすると、ラジオから陽気な音楽とアナウンサーの声が聞こえてくる。
「あら、そういえば今日はデニーズエンターテインメントの放送があるんだったわ」
リュシルはラジオに耳を傾けながらフォークとスプーンをもって食事にありつけようとすると、エステルが止めた。
「リュシル、食事の前に玄関にほったらかしのカバンを片付けてきなさい」
「はーい」
リュシルは仕方なくカバンを取りに行って寝室にあるフックに掛けると、ようやく食事ができると急いで食卓に戻ろうとしたが...
...シル リュシル ...
「?」
なんだろうこの感じ...あの時と同じだ。
リュシルはあたりを見回してそれがどこから来ているのか注意深く見まわした。
そうすると自然にそれは自分のカバンから来ているのだと感づいて、カバンの中をあさってみる。
「おかしいわ、何か変な物でも持って帰ってきたのかしら?」
カバンの中のものを見てみても、筆箱・ノート・教科書・自習用のプリント・仮面
いつも通りで何もおかしなものは入っていない。
リュシルは首を傾げた。
「リュシル!早くしないとデニーズエンターテインメントが始まっちゃうわよ!」
食卓からエステルの声が聞こえる。
「はーい!今行くわ!」
リュシルは急いでカバンをフックに掛けると、食卓にもどってテーブルに着く。
今日も彼女はいつも通りに賑やかな食卓でありったけの夕食を食べて過ごすのであった。
これから彼女の生活が少しずつ変化していくにも関わらず。
続く
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