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何故現代兵器をファンタジー世界へ持ち込んではならないのか?  作者: ウォルギリウス
第三章

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空と風車の狭間にて

低地の国では泡沫の如く金が動く

大陸西端にある低地の国はチューリップの花畑が咲き誇り、各国からその可愛らしい花を求めて多数の貴族や富豪達が買い漁っていて女性はチューリップの挿された花瓶を飾り立て財力を誇示するのだ。

その花畑は須らく類まれなる干拓事業により作られた大地であり、これらは王国の命脈を繋いできた一大事業であった。その象徴は風車であり微弱な魔力を空気中から取り込みそれらを動力に干拓を今も尚継続している。


それ以外にも先王マウリッツにより別の大陸等に植民地を求めて拡大した事により各地の農産物を輸入して各国に輸出して利ざやを稼いでいたり造船業で稼いでいた。

ウィレムはそんな父の遺産を上手く活用して今の王国の命脈を保たせてきた。


そんな交易大国故に金融業も自ずから発展していき特に保険業が盛んで有り、コーヒーハウスではどの船舶に対して保険を誰がかけるかについてのオークションも良く行われている。


そんな色鮮やかなチューリップ畑に3人の男女がヘリコプターで降り立っていた。

平原の国の摂政君塚悠里、君塚の護衛ナディア、そして君塚の護衛に臨時で連れてこられたソコロワ中尉である。


「しまった。辺り一面全てチューリップ畑だが……大丈夫だったかな?後からこれウィレム王に怒られないかな?」


うっかりこの壮大かつ美麗な花畑のど真ん中に降下してしまった君塚は少し不安そうにソコロワ中尉へ話しかけていた。


「閣下、見事な制圧降下ですが……花畑が丸くハゲております。賠償問題になりませんか?なりますよね、……その時はその時ですか」

「皮肉だが、そうなるな」


やはり君塚はついチューリップ畑のど真ん中に降下した事に今更後悔していたがMi-8では此処までが限界であった。


「……後でヤドヴィガ殿下にこっぴどく怒られるな、これ。しかも神堂が来なきゃ多分俺の負担100%か……金なら払えるが別にそっちは問題無いと言うか」

「こんなタイミングで今から後悔してももう遅いと思われます同志閣下。早くこの場から離れて低地の国の王都を目指す方が先決かと」


エレーナ・ソコロワ中尉は一刻も早く王都に到着してウィレム王に会うことを先決と進言した。


「私もあまり此処に長く留まるよりは早く会いに行く方が先決かと思います。農民に捕まってネチネチ小言を言われ続けて時間を浪費させられるよりかは逃げた方が良いかと」

「そう、だな、うん。よしっ、皆逃げるぞ、農家のおっちゃんが来る前にな」


ナディアも同意して一刻も早く王都に着くべしと進言したので君塚は王都までの地図を片手に徒歩で向かっていた。


そして道中ではあるが君塚はニケを呼びんだ。


「ニケ、少し頼みたい事が有るんだが今良いか?」

【はいはい、アンタの頼み事なんてとっくにお見通しよ。どうせこの戦いに合わせて実績作れーとか、ボーナス特典増やせーとかよね?】

「以心伝心とはこの事か」


ニケは珍しく最初からガチトーンで話していて君塚は驚いたもののそのままニケは君塚の要望を既に先回りして叶えていた。


【バカね、アンタとアタシは利害関係の一致したビジネスパートナーよ。ならアタシはアンタが利益をもたらすなら、アタシはアンタに精一杯サポートするのが筋じゃない?ほら、実績とボーナス特典の増強はとっくに完了してるわよ】

「ありがとう。いつも助けてくれて」

【お礼なんて良いのよ、ならさっさとあのフニャチン野郎の鼻っ柱もっかい折りなさい。後アタシの為のチューリップもよろしくね】

「…ああ!!」


ニケからの応援とサポートを胸に君塚は低地の国に向かった。




「ここの絵は……そうですね……うーん……でも舟の数が足りませんね」


とある少女が低地の国の王都、ジルフェルダムでキャンバスに絵を描こうとしていたが中々題材が決まらずにいる状況であった。


「こんな所にいらっしゃいましたか、月白もね様。」

「わぴゃう!?ど、どうしたんですかアードルフ大臣!?こ、こんな時に!!」


アードルフと言う男が月白もねに話しかけていた。

彼はこの国で大臣を務めており彼女の低地の国における復興の活躍は彼がたまたま彼女の申し出とギフトの能力を見たが故の推挙した人物であり、王国再興の立役者の一人でもあった。


「陛下が今お呼びでございます、何卒王城にお戻りくださいませ。」

「は、はいぃ……分かりました。では戻りますので暫くは、その、ええと」

「まぁ月白様も色々有るでしょうしご要件が済んでからでも構わないとの事でした。何せ、少し話が長くなるようでしたから……」

「は、はぁ……わかりました。では向かいます」


アードルフ大臣の要請でもねは絵を描く事を中断して、渋々王城に向かい登城すると会議室に入り、ウィレム王と内閣の閣僚達に対面した。


「ご苦労である、月白もね。さぁ、座りなさい。」

「し、失礼します!!」


月白もねはウィレム王により特別に閣僚達の中に席を置いていた。彼女はジルフェルダムの再建の功績から国家の閣僚として籍を置いているのだ。


ウィレム王は聡明な人物であるが突然大量に湧いた転生者達によって3人の娘全員を失い意気消沈していた、王都ジルフェルダムも廃都と化しウィレムも生きていくのに精一杯の状況で臣民は深く心を傷つけられていた。


だがそんな折月白もねは自身のギフトを使って国家の再建を手助けする事を提案し街並みを彼らの記憶通りに再現させ、王都を再び蘇らせて兵力も彼女が描いた兵士達が守り本当の軍事力の回復まで時間を稼がせる事にも成功していた。

そして平原の国への派兵要請も彼女が描いた兵士達に向かわせて戦力の摩耗もせず外交的にも孤立しないように立ち振る舞い低地の国は評価を上げ、国際的な信用を獲得しつつ交易で再度国力を上げていた。


しかし同じく産業として特段金融業が盛んな山の国が低地の国の復権を許しはしなかった。

ありとあらゆる妨害工作を取り、金融に関するものでは新興企業を次々と買収や株式を抵当にした貸付を実施して低地の国の新興企業を買収に走ったり、時には傭兵達を派遣して実力行使で月白もねの暗殺も行おうとしたが尽く月白もねのギフト『空間絵画』によって阻止されていて、彼女の強力なギフトは要人に対しても発動して彼らの身の安全を保証していた。


ウィレム王は新たに降りかかってきた今回の国難に関しての議題を切り出した。


「さて……何を何処から話せば良いかの……?取り敢えず喫緊の課題としてはあのボロ雑巾の様な龍の国の使者がやって来た。内容は月白もねの引き渡しじゃ」

「わ、私の身柄を!?龍の国でわ、私はな、何かしたのでしょうか!??」


慌てる月白もねの態度を見て安心させる為にその使者への返答についても答えた。


「案ずるなもね、儂は既にあの巫山戯た使者へ拒否の返答をした。儂としてはもう娘と変わらぬ年齢の女子を売り渡してまで誇りを捨てては居らぬからな。はっはっはっ」

「流石でございます陛下。さてそちらに関しては返答はされたと言うことでございますが……まだ続きがございますか?陛下」


アードルフはすかさず本題に切り替える為にウィレムに話を振った。


「で、じゃが。儂の耳に届いている情報じゃがその龍の国の使者曰く貴様を良く知る者が龍の国の事実上の王らしいのじゃ。……心当たりは有るかの?」

「ふぇ?わ、私の知り合い……?さぁ、心当たりは……」

「神堂龍牙と言う男──」


その瞬間底冷えするような冷気が会議室を覆った。


頗る不機嫌そうな月白もねの低い声、彼女の動きが止まった。愛らしい瞳から光が消え、代わりに底知れない暗部が宿る。


「あ?」


その短く吐き捨てられた声は地を這うほどに低く、凍り付くような冷気を含んでいた。


「今何とおっしゃいましたか陛下?神堂龍牙?そう、おっしゃいましたか??」


いつもの可愛らしい目つきから一転し仄暗い深海の底のような、深淵を体現したような瞳がウィレムを見つめる。


「いかにも。そう言えば、お主には伝えておらんかったのぅ……龍の国はその神堂龍牙が支配しておるようじゃな。今回の件は既に高地の国にも報せを送っておいた。じゃからまぁ、安心せい。いくら愚かな若造でも流石に──」


ガンッ、と強く机を叩いて怒りで肩を震わせ彼女らしくない態度に変貌を遂げつつ有った。

まるでウサギの中から怪物が這い出てきているような感覚にアードルフ大臣は襲われひっ、と言う情けない悲鳴を上げるしか出来なかった。


「神堂? ……あぁ? 誰だその汚物の名前を出したのは。陛下、奴は道理なんて通じない『発情期の発達障害』です。私の身柄? ハッ、あの下半身直結野郎、私を手籠めにしてこの国を孕ませるつもりですよ。あんな汚ねぇ種馬、キャンバスに釘で打ち付けて燃やしてやらないと……ッ!!」


怒りのあまり声が上ずりながらも必死な態度にウィレム王も少し唸り、しかしと月白に低地の国の現状を伝える。閣僚達もこの態度の豹変にギョッとなり、どよめきが走る。


「月白よ、今はまだ侵攻はされてはおらぬし脅されただけじゃ。それに高地の国も既に援軍を確約してくれた。国防軍も鷲の国を経由してこちらに参るらしいから暫くは待っても──」


ウィレムは大人しくさせようとしたが月白は止まらない。


「陛下!!アイツはそんななまっちょろい男ではございません!!!明日には攻めてくるでしょう!!それなのにあんな『飾り窓の女』共に夢中な訓練も疎かにしている国家人民軍駐留部隊が役に立つとでも!?」


流石に見兼ねてアードルフが介入した。


「おい月白!流石にそれは言葉が過ぎるぞ!!卿はこの国の恩人では有るが外交問題になるぞ、そこは慎め!!!庇い立てが出来なくなる……」

「!……申し訳ございません。少し口が過ぎて参りました。」


月白は少しバツが悪そうに座り直していた。


「……申し訳ございません陛下。ですが、国家人民軍と低地の国の兵力では少し心許ない状況でございます。私も粉骨砕身、あの男の手勢を打ち破る予定では御座いますので何卒降ったり、討ち取られぬようお気を付けて下さいませ」

「うむ、わかった。」


そして白熱していた会議室に一人の兵士が入ってきた。


「失礼します。至急、ウィレム陛下にお会いしたい方がいらっしゃいました」

「何方かね?儂は龍の国の輩とは会わんぞ、もねが騒がしくてな。」


兵士は首を横に振り龍の国出ないことを伝えた。


「いいえ陛下、彼は……その……平原の国から参った者のようでございます。龍の国の件でとの事でした」

「ふむ……成る程。なら、一度会うのもやぶさかでは有るまい。通せ」

「はっ!」



そして君塚はこの低地の国の舞台に立つ。

しかし龍には金の形が分からぬ

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