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【祝10000PV突破】何故現代兵器をファンタジー世界へ持ち込んではならないのか?  作者: ウォルギリウス
プロローグ

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人を殺す前に

試し撃ち

君塚は落下してから新鮮で優しい、しかし嗅いだことのない匂いのする空気を久しぶりに吸いました。

そして肺を満たした美しく決して現代社会では味わう事が厳しい文明に侵食されていない非文明的な清潔過ぎる空気を吐き出しました。


そう、地図もGPSも無しの空が木々で覆われていて右も左も青々しい葉に包まれた森のど真ん中で。


「やべえ、ここ何処だ⋯」


右も木左も木前後も木、地面は積み重なり柔らかくなった落ち葉に溢れ…そして空は鬱蒼とした木々に覆われています。


慌てたら先ずは己が野生動物の餌食になります、だからこそそっと君塚は片膝をつき、物音を消して息を殺しつつ周囲の確認を行います。


臭い─不明、てかガチ森林浴。ソロキャンもビックリの森の香り

音─木々のざわめきしか聞こえん、静かだし不気味過ぎて泣きそう

視界─木々が生えてる事しか分からん、てか街道何処なの!?


あっ、大半の転生者達が負ける理由はこれかぁと君塚は思いました。


そう、転生者バトルロワイヤルでは何処にスポーンするか不明のランダムかつです。


なら森のど真ん中やスラム街の路地裏、紛争地帯だとか現代人が生き残れるか怪しいような場所でもスポーンしてしまった不幸な者も当然居ます。


そう、こんな所に湧かされた君塚はまだマシです。

まだ近くに狼の群れや熊とか軍の正規兵とか山賊とかはまだ居ませんから。


君塚は自身のギフトを確認します。


ギフト『軍隊創造(露)』

ソ連・ロシア系の兵器及び軍隊を造り出すことが可能。

現在はAK-47小銃、SVD狙撃銃、マカロフPM、そしてそれらのパーツや弾薬と糧食を生産可能。

兵器の創造はポイント制であり、ポイントを消費して創造する事ができる。ただし、あくまで『召喚』ではなく『創造』なので、一度創造した物体は世界から抹消できないので注意。

発展すると複雑な兵器や軍事訓練を受けた兵士を創造可能になる。


ギフト『官僚創造』

国家を運営する官僚なら、どのような分野の官僚でも創造でき、24時間働かせることが可能。

但し、所有者が国家元首ないし国家の重鎮である必要がある。

諜報員や外交官も創造可能。



「使えねえ〜⋯のか?これ??」


自身のギフトを確認して、第一声がそれでした。


よく知られている異世界もののチートといえば聖剣とか強力な魔法であり、現代兵器、それもソ連製や現代のロシア製というのはどうなんだろうと君塚は唸ります。

確かに君塚はミリオタだった時期もありましたが、知識として知っているだけで兵器の実戦映像などを辛うじて動画配信サイトで見た程度です。


弾薬を幾らでも作れると言われても、ランボーみたいに全身に弾薬を巻き付けて昼夜トンネルや森林を軽々しく走り回れるわけがありません。

そもそも銃本体もかなりの重量物です、こんな起伏に溢れる森の中で振り回しながら持ち歩くのは物理的にも精神的にも骨が折れます。


「まぁ最初はレベル1からだから仕方ねえよなぁ、取り敢えずAK-47作ってから射撃の練習するか。」


事前説明で近くには転生者『は』居ないらしいので取り敢えず創造したAK-47で近くの木に伏射をしてみました。

銃の反動がコントロール出来ず、連射ではなく単射でないとまともに当たらない自身の筋肉の無さに絶望しました。

このカラシニコフのフルオートなんて的には当たりません、何処に飛んでいったか撃った本人さえ分かってません。


とりあえず君塚は単発を中心とした戦法で戦うことに慣れることから始めました。

森の中で近くの野生動物を手当たり次第AK-47で狩り、糧食を食べて飢えを凌ぎつつ熊などの7ミリクラスの弾が有効か不明、ないし効かないだろう獰猛な肉食動物からは逃げ回りました。


あくまでこの転生者バトルロワイヤル大会では生き残れる事が主題であり、己の力を誇示して武を競う大会ではないからこそ無双するチート俺TUEEEEするより地図の端でこっそりと生き永らえる方が正解なのでした。

それがわかる者は恐らくそこまで居ませんし、それに気付いたとしても結局最後の一人に成るまでに死んでしまいます。


そして転生から暫くして──漸く本物の人間に対して実戦の機会を得ました。


街道の近くまで来たとき、転生した地帯にある王国の兵士らしき者達が林道を巡回していたのです。

恐らく近くの農村から徴募された民兵なのか、粗末なギャンベゾンを着て柄が汚れている槍とすっかり凹凸が刻まれてしまっている古そうな丸盾を持たされて手足をだらしなく揺らしぶらぶらと歩いています。


彼らがこちらに近づいてくるのを確認し、君塚はそっとチャージングハンドルを引き初弾を薬室に送り込みました。哀れにも巡回していたその兵士達へ照準を合わせます。


別に人を殺したい訳ではありません。君塚はそもそもサイコパスでもないしシリアルキラーでもないがギフトを成長させる為に経験値を稼ぐ必要はありました。それでも好んで人間を撃つつもりはありません。

しかし、どうやら状況は向こうからやってきたようです。


彼らは君塚が日々鳴らしていた『発砲音』を聞いた村人達によって領主に報告され、派遣された兵士達だったのです。

ここが王室専用の禁猟地であり、そこで謎の爆音(銃声)が響いているとなれば、当然調査隊が送られます。

つまり彼らは異常事態の原因である君塚悠里を捕らえ、刑に処す為に派遣された死刑執行人でした。


ひっそりと世界の片隅へモグラのように潜り込んで生き永らえるつもりが生きるための狩猟が王室の逆鱗に触れてしまったという皮肉。


成長に必要に成る具体的な経験値は不明なままで取り敢えず人を避けつつ手当たり次第獣だけを狩りまくっていただけでしたがそれが王室の逆鱗に触れたようです。


しかし、日々行う狩猟のお陰でフルオートだとしてもある程度撃てるようになり、獣や人の気配を感じ取ることも出来るようになっています。

今回は、自分から人間を狩りに行かねばなりません。殺らなければ、殺されるのですから。


動物とは違い彼らは人間です。言葉を話し、彼らにも帰る家や守るべき仲間、そして楽しみにしている娯楽や思い出の土地があるのでしょう。

手は小刻みに震え、喉は先程水を飲んだにも関わらず砂漠の中に閉じ込められたように乾きます。

それでも君塚は生きるために意を決して重く、まるで境界線のようなカラシニコフの引き金を引きました。

よう、人殺し


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