この世界における有力者の男は
やっとタグ詐欺が改善される…
僭称者廃王カジミエシュが起こした反乱から半年程経ち廃王派の貴族や民兵達はそれぞれに相応しい刑が課せられて例外なく処罰されたもののカジミエシュ本人や生き残った王族達は雲散霧消と消え去り痕跡は平原の国が死力を尽くしても突き止められなかった。
そしてカジミエシュ以下旧王室達を解放した罪で桂木と雨宮は裁判に掛けられて2人は本来死刑と成るはずであったものの君塚が提供した彼女達の情報提供の記録を元に司法取引で減刑され、今はズラトポルの市中を襤褸布を着せるた上での引き回しになり快晴故晴れ渡る空ではあるものの寒く澄み切った空気が彼女達の喉や肺を切り刻むように戒めていた。
「つ、つむぎちゃん……ごめんなさい……」
「別に良いのよ美羽、あなたが悪いわけじゃない。私がもっとしっかりしていれば……」
君塚の兵士達に護衛されながら彼女達は王国市民の侮蔑や怨恨の籠った視線を浴びながら裸足で歩かされていて、中には彼女達が殺害した離宮の警備兵の遺族達も彼女達へ殺気を籠めた視線を送っていた。
そんな趣味の悪い、しかし合法な手続きで判決を下された2人が引き回される風景を王宮でヤドヴィガと君塚、そしてナディアは見ていた。
ヤドヴィガ殿下は今年で7歳になった。
彼女はますます王族としての美しさは萌芽が芽生えようとしていて、彼女には正式に君塚のギフトで教師を創造して彼らを専属の家庭教師にして英才教育を受けさせている。
ヤドヴィガには本来見せる予定は無く簡略な報告をする予定であったがヤドヴィガ自身が彼女達の刑を執行されているか見たいと所望した為やむなく君塚は刑の立ち会いを摂政という後見人として認め、ヤドヴィガ殿下の立ち会いの元に成る事を創造した官僚達に伝えてソコロワ中尉に王宮で狙撃兵としてではなく巡回兵として警護任務を行うように命じた。
「……君塚様、やはり彼女達を貴方様はお許しに成る予定なのでしょうか。私は貴方様がそうされるのであれば異存はございませんがしかし……」
「殿下……今回は私にも事情がございます。彼女達を保護するのは何も絆されただけではございません。彼女達は司法取引に応じましたから亡命希望者として我が国にて保護する必要が有ります」
ヤドヴィガ殿下は不服そうな言葉を述べている。
ヤドヴィガからしたら今回の内戦の直接的な原因となった二人に対して非常に甘い判断を君塚はしていると思いっていた。
彼女達がカジミエシュやアレクサンデルを解放しなければ内戦は起きず他国の介入も先延ばしに出来た筈であり今回はすぐ鎮圧出来たから良かったものの、似たような事が起きればすぐ鎮圧が成功するとは限らない。
「殿下、私は──」
「!?閣下、殿下、何か来ます!!」
ヤドヴィガの不安を払拭しようと話しかけようとすると玉座の間に黒い霧が現れて咄嗟に2人の前に立ちナディアは防御体制を整え火球をいつでも撃てるように20個展開した。
飛来して来た龍の背から二人の人影が王宮のガラス窓を破り、玉座の間へと入り込む。
そして片方の人影が身体にまとわりついたガラスの破片を払い除けて、もう片方はそのまま片膝を付いたまま動かないようにしている。
「おやおや、これは随分なお出迎えだな。これが平原の国の作法か?まったくよぉ、少しは歓迎しろって話なんだが……終わった国の田舎モンには分かんねぇか」
そして霧の中から出てきたのは学生服を着て髪を金髪に染めその服の上からでもわかる筋骨隆々の青年。現状転生者サバイバル大会で一番人気であり、一番危険な神堂龍牙その人である。
その隣には不服そうな顔をしている白いドレスを着ている銀髪の美女が居た。
神堂はヘラヘラと笑いながら、不躾な視線をヤドヴィガに向ける。その視線に含まれる粘着質な欲望に幼きヤドヴィガはこの男により齎される末路を即座に受け止め、背筋が凍る思いがした。
ナディアもまた彼の持つギフト──「女性支配」のギフトによる生理的な嫌悪感に吐き気を催していて、殺意と嫌悪の混じる表情を浮かべる。
彼女らの感情を察した君塚は、この場に居る者達を代表して一歩前へ出た。
「ある日いきなり他所様の家に土足で上がり込み、その上アポも取らないで相手の身分とか都合とか全く考えずにやって来たクソバカに何で被害者の俺たちが配慮しなきゃいけないんだ?なぁ、国盗りの先輩殿。お宅のご家庭じゃ、強盗を『挨拶』と呼ぶのが習わしか?あ?」
君塚は食ってかかるように言い返した。
こういうチンピラはナメられたら負けだ、だからこそ相手と同じように口喧嘩に応じるのだ。
「んだとごら、さっきからおっさんてめぇその態度ナメてんのかあ?!今から聖剣で三枚おろしにしてやろうか!!!」
「ガキが!ママのおっぱい吸いてぇなら家帰れやこのウスノロゴリラが!!そのみっともねえ見せ筋さっさと持って帰れ!!後聖剣なんぞ俺にとっては何時でも折れるナマクラ包丁なんだよ!!!」
「おいおっさん!軍隊率いてるからってチョーシ乗ってんじゃねぇぞ!!」
「責任を取る立場のおじさんなんでなぁ……っ!20代後半のおじさんなんて振りかかりたくない火の粉を浴びせられる担当なんだよっ!!」
「知るかボケッ!!」
あまりに低レベルな男性同士の情けない罵り合いにナディアとヤドヴィガは呆気にとられた。
「……はぁ、失礼します」
そんな二人に見かねて仲裁者が来た、神堂の連れていた銀髪の女性である。彼女は二人をその怪力で引き離して神堂の前に立ち君塚へ恭しく一礼した。
「何卒、我が主神堂のご無礼をお許し下さいませ平原の国の幼き女王陛下。主は今国を統べる立場になり一年にも満たず学ぶ機会が多くなかった為このような非礼を働いてしまいました。何卒その慈悲深い心でのご配慮を願います。」
その赤子をあやすような、或いは透き通るような鈴を転がすような声でヤドヴィガへ非礼について慈悲を請う彼女の肩に神堂は手を回して君塚に自慢した。
「『これ』が俺のギフト、聖剣ちゃんだ。どう?俺の一番のお気に入りなんだよね〜。君塚さ、お前はこんな女──」
「少しお黙り下さい、神堂」
「ちっ、相変わらずだな、でもそういう所も好きだぜ」
「……気色悪い」
神堂は聖剣の胸を触ろうとしたりしたがすぐ手を払いのけられるので、その乳繰り合いをしばらく繰り返していた。
そしてヤドヴィガは二人に対して怒りに満ちた声色で語りかける。
「……仕方有りません。まだ国を率いる立場に成って日が浅いなら、ええ。これを良き教訓になさい、龍の国の神堂とやら。私の前でもう一度このような非礼を働けば……その時は私の命で君塚様とその兵を差し向け、たとえ便所の中に隠れていようと探し出して、この世に生まれた事を後悔させてあげますので肝に銘じておきなさい」
「御心遣い感謝致します、陛下」
聖剣は慈悲に対して非常に真摯に返答し、反対に神堂は一切その言葉へ理解や感心を示そうとせず偉そうにふんぞり返っていた。
最上級妃として気品と風格の有る聖剣とその真逆の愚か者たる龍の国の事実上の主。
このコントラストから見るに、主がこれでは聖剣がいくら取り繕ってももう龍の国の未来は長くない事をナディアはその聡い頭脳で悟り、主君塚と更に勝手に比較を始める。
そして君塚はふと胸ポケットに何か入れられている事を確認して取り出そうとしたが聖剣から何故か弟とのコミュニケーションでしか使わないジェスチャーで止められた。
そっと戻して怒りを鎮めると君塚は改めて言う。
「わざわざこんな田舎の国にようこそ龍の国の支配者殿、まぁ取り敢えず茶でも飲みましょうよ。ほら、ロシアンティーなら私の部下がお持ちします故、暫しここで語らいましょうよ。特にあの二人の事で」
「ぶぶ漬け如何どす」の君塚バージョン、ここに炸裂。
するとソコロワ中尉が玉座の間での騒ぎを聞きつけ、部隊を率いて突入してきた。
「動くな!そこの筋肉だるま!!そこを動くな、ここを何処だと考えている!!!」
AK-74を突き付けながら他の隊員と共に包囲した。更に王国軍の歩兵隊も追随するように玉座の間での展開して逃さないように囲む。
「ふん、興醒めだな。おい聖剣、帰るぞ。」
「かしこまりました、神堂」
ふと聖剣は君塚を一瞥して自身の豊満な胸に手を当てる仕草をした、それは君塚へメモの開封を許可するジェスチャーであった。
だがそれよりも気にするべき事が君塚には存在している。
「いや待て貴様っ!桂木と雨宮はどうするんだ!?神堂龍牙!!アイツらを捨てて貴様は逃げるのか!??」
君塚は神堂龍牙の為にわざわざ戦争に赴き、捕虜と成り、罪人として裁かれた哀れな彼女達の事を捨て置くのかと疑問を投げかけた。
「いーや、あいつらはお前にくれてやるよ。お前、ゴミみたいな女集めるのが好きみたいだしな?ん??」
君塚の叫びに神堂は振り返りもせず嘲笑しながら答えた。
君塚はその言葉に怒りが沸々と沸き起こりかけたものの神堂は黒い霧の中に聖剣と共に消え去り平原の国から去った。
そして聖剣から渡されたであろうメモの内容を確認すると君塚はこのような文章が書かれていた事を確認した。
『兄さん、早く龍の国に来て私を助けに来てください』
と走り書きされたメモの切れ端が残されていた。
『兄さん』?
兄さんと君塚悠里を呼ぶ人間は一人しか居ないものの彼は弟、男性であり女性のはずが無い。
なら平行世界から来た弟に該当する人物かもしくは関係者だとでも言うのだろうか、と懸念事項が発生しヤドヴィガや軍に心配をかける理由にはいかないので龍の国へ単身赴く必要がこうして発生した。
そして二人の刑が終わり君塚は暴徒化しかけていた民衆に取り囲まれる二人の許へ向かって走り出した。
「殺せ」「殺せ」「殺せ」
「俺の父ちゃんを、兄ちゃんを返せ!」
「反逆者には死を!!」
「君塚悠里の兵よ、何故その売女どもを守るのだ!?君塚悠里は我々の味方ではないのか!??」
ヒステリックに成った民衆達に桂木と雨宮は怯えていた、まさかここまで暴徒化が酷くなるとは兵士達も想定外であり兵士達も害そうとする勢いの民衆達に押され続けていた。
引き回しをされていた2人は恐怖のあまりその場に彼女達は膝から崩れて力なくその場に尻餅をついた。
「つ、つむぎちゃん……」
雨宮は桂木を見る。
確かにここでギフトを出せば民衆は虐殺出来るだろうがしかしそれをしたら今度は間違い無く君塚が地平線まで追いかけて来て抹殺してくるに違いないので使えない状況だった。
「ごめんなさい美羽……せめて、せめて貴女だけでも」
そして兵士達も押されてギリギリな状況に成った次の瞬間に一つだけ、彼女達へ害意を持たない足音が聞こえた。
「すまない優良なる市民諸君!愛国心溢れる同志諸君!!彼女達は既に私、君塚悠里の庇護下に有る!!」
君塚が間に合った。
息を切らせながら何とか書類やらを纏めて狂乱していた市民達を押しのけ雨宮と桂木、そして部下達の許へ駆けつけた。
「すまない。彼奴等と論戦する為の資料を用意してたら遅れてしまったよ。怪我は……有るようだから、後で何とか処置しようか」
「う、うぅ」
「あ、ぁぁ」
「「うわぁぁぁぁぁん!!」」
「……本当にすまなかった」
座り込んでいた二人に目線を合わせるようにして安心させる為に抱きしめた。
そして二人は堰を切ったように大声で泣き始めて君塚は服が汚れる事を厭わず彼女達を抱きしめ続けて、民衆から言葉や暴力を行使せずに守る姿勢を見せた。
「き、君塚様がおっしゃるなら……」 「摂政様が庇われているならきっと何かの目論見が有るのだろ」「摂政様が出てきたなら殿下様のご意思だろうからな……」
民衆達はこの国における絶対的権威の登場で頭を冷やして引いていった。そして部下達と少女2人が残されて君塚は二人が泣き止んだタイミングで問いかける。
「君達は今2つの選択肢が有る。そしてその前に君達には伝えなくてはならない事が有る。」
「伝えなくてはならない事は君達の主、神堂は君達をクビにした」
「そうでしたか……」
「そ、そんな……」
すると残念がる彼女達の声色をよそに桂木と雨宮の目はまるで呪縛から解放されていくように活気を取り戻して光が取り戻されていった。
「で、君達の今後だが2つ選択肢が有る。一つは君達は自由に平原の国で生きる事、もう一つは俺の所に来ること。その2つだ、どちらでも構わないし、俺の名前で生きれる事は保障しよう」
君塚が言い終わるや否や桂木が君塚へその垂らされた最後の糸を掴もうと乞う。
「なら私を君塚さんの所で、美羽と一緒に働かせて下さい!お願いします!!」
「お願いします!私をつむぎちゃんと一緒に働かせて下さい、君塚さん!!!」
雨宮も縋るように懇願してと二人とも君塚の許へ留まることを希望した。
「……ああ。二人とも歓迎する」
君塚は優しく微笑んだ。
その日二人のメイド兼特殊技能兵が君塚の部屋に配属された。
「……このメイド服も、あの日以来長く着てきたけど今も着る度尚、浮かれた少女のように夢見心地に成るわ。命も何もかも拾われて、そして愛されて正式に家族に成れたのだから幸せじゃないなんて口が裂けても言えない」
「うん、私もずっとご主人様のお陰でずっと美味しいご飯とあったかい食卓を囲めて……ご主人様だけでした。こんな私を優しく人として扱う男の人って」
「うん。私達は多分、今世で死んだ後もきっと旦那様を追い掛けて地獄だろうと天国だろうと、来世だろうとついて行きますから……ちゃんと導いてくださいね、旦那様?」
妻達は君塚を見詰めて、重くも甘美な誓いと優しく愛の鎖が彼を縛り付ける。
「そんな風に言われたら俺は今よりも頑張らないといけないな、幸せ者だよ。俺は……はぁ」
幸せ者故にため息が零れる。
そして巨乳ヒロイン追加




