プロローグ
開門
君塚悠里は激痛に襲われ突然目が覚めました。
「いっ、てぇ⋯何だよ全く」
彼は今何が起きたのかまるで分からず、しかし直前に自分が車に撥ねられた事は覚えていてこれは流行りの異世界転生かとすぐに判断して立ち上がりました。君塚は割と判断は早いのです。
そして周りを見ると他にも似たような人達が居てそして肌の色も性別も言語も多種多様な人種でした。
暫くして、他の参加者へ話しかけるよりも先に天井から声が聞こえました。
【あー、転生者サバイバル大会に今回選ばれた哀れな人の子諸君。何がともあれ取り敢えずおめでとうございます!君達は既に死んでしまいましたがもう一度蘇るチャンスを得られるサバイバルゲーム参加者に選ばれたのです!!】
周囲は困惑の声に包まれてしまい帰してくれとか天井の声へ誰なのか尋ねたり訴訟を起こすとか色んな声があちらこちらから聞こえてきました。
君塚悠里はそっと息を殺して周囲の人間の様子を伺います。
するとこのクソみたいなデスゲーム?の運営がため息を吐いてから遮るように伝えます。
【だからさぁ?君達は皆死んだんだってさっき言ったし、まだ私達の説明は終わってねぇんだわ。な、聞けよお前ら。】
侮蔑と苛立ちに包まれた声色で転生者達に言い放ち大会の説明を継続します。
その圧倒的な圧力に転生者達はそっと静かになりました。
【良い?君達は死んだからもう帰れませーん。無理でーす。死人が蘇るなんて君達は見たこと有るのかい?無いよね?じゃこのお話はしゅーりょー。
で!今大会で優勝したら優勝者にはご褒美として君たちの認識している現実世界への蘇生が行われるよ!そして、もう一つご褒美も有るんだー、聞きたい?聞きたいよね!?】
そう運営はまるで転生者達の意向を完全に無視して話し始めます。
【では早速今回のご褒美についてお話しちゃいまーす!!今回のご褒美はー?そう!貴方の願いを1つだけ蘇生後に何でも叶えちゃいまーす!!】
転生者はどよめき願いを叶えるというワードに動揺したり、或いは自分が勝ち抜いた後の願いを考えていたり、ある者はこの一連の流れについて行けていない者さえ居ました。
【そう!例えばお金持ちに成りたい!とかぁ、後は美人を侍らせてハーレムパーティーとか!!後は〜そうだね〜人を蘇らせれたり逆に人を生まれてこなかったことにしたりとか〜権利の保持も可能だよ!!まあ何でも、どのようにでも、何時でも何時からでも、理由は問わず、君達は奇跡を起こせる権利を得られる貴重な機会だよ?】
特典の説明が終わった後運営と思しき者は地面に大量の光の球をばら撒きました。
【そして転生者なんだから当然チートも持ってて当然だよねー!だからまず最初に君達はその光の球を好きなだけ拾ってくださーい!!それが君のギフト、すなわちチートになるんだ!!】
そして一斉に足下の光の球、ギフトを拾おうと転生者達は群がりました。
「クソっ、どけっ!どくんだ!!」
「そのギフトは俺のモンなんだよ!!」
「離して!離してよ、これはワタシのギフトなの!!!!」
「⋯しまったなぁ、こんな光の弱いギフトしか手に入らなかったなんてな」
そして君塚は2つ光の弱い球を拾うものの他の転生者達に押されてしまいそれ以上拾えませんでした。
中には3つか4つ拾った者も居ました。
【さぁ、皆拾えたかなー?人数分の倍以上用意したけどどうやら全員拾えたようだね!なら安心安心、ちなみに光の強さで強いギフトか弱いギフトか決まるんだよ。ギフトの内容は転生してからのお楽しみに〜!!】
「おいおいまじかよ⋯」
君塚はそっと絶望しました。
まさかの弱いギフトを2つも拾ってしまうとは。
弱いだけなら良いのですがもし呪い系で自身にダメージが入るギフトなら自爆行為です。
【さぁそれでは今大会の舞台をご案内します!皆様はこれから中世ヨーロッパな世界へ送られて競い合っていただきます!!大丈夫!皆様の大好きなナーロッパってやつなので冒険者ギルドもダンジョンも聖なる剣も魔法もドラゴンも居ますから楽しんでくださいね!!】
転生者達の中には絶望している者も居れば楽しそうな顔をしている者も居ました。
君塚は前者です。
そして足下の光の輪の中に全員落ちて行きました。
この門を潜るものよ、一切の希望を捨てよ。
若しくはデスゲームを始める音




