【頂き物と贈り物】フレンドアート! 「ロワールハイネス号の船鐘」からあの人が!
先日完結を迎えました天竜風雅様のロマンチック海洋ファンタジー小説! 「ロワールハイネス号の船鐘」より、ヴィズル兄貴です!!
あちらのネタバレになってしまうので詳しくは書けませんが、兄貴は新たな航海に出るとの事、決して暇がある訳ではないのですが今回は天竜様のご許可をいただき特別に立ち寄っていただきました!
その島の港は大陸の港に比べれば規模は小さかったが、大きな航路の十字路に位置しているだけあって、様々な国の商船が寄航する中継港になっていた。
波止場を行き交う船乗り達の様子も様々だ。言葉、髪の色、顔立ち、衣装。皆てんでばらばらだ。
いや、船乗りだけではない。この町では職人も商人も、貴族でさえも、その民俗は様々で統一性が無い。
それでも。あるいはそのため、なのか。ここに居る人々には一つの一体感があるように見えた。肌の色が違おうが信じる神が違おうが、この町を行き交う者は全てが仲間だという一体感だ。
ヴィズルはそんな賑やかな港の一角の少し静かな船溜まりで、何隻かの古い船を吟味して廻っていた。
そこへ。年の頃は14、5歳だろうか。黒髪に浅黒い肌の、子犬のような眼差しをした少年が……先刻から目を丸くして遠巻きにヴィズルを見つめていたのだが……意を決したように駆け寄って来る。
「あの! 貴方は月影の……月影のスカーヴィズさんですよね!?」
ヴィズルはその場で立ち止まり、無言で少年を見つめた。
近くの船留めに座り大兜をつけたまま弁当の握り飯を食べていた、港の衛兵が一瞬振り向く。
「ほう。俺の事を知っているとは、お前只者じゃないな」
衛兵はまた元の方を向き、兜の下から手を入れて握り飯をもぐもぐ食べる。
「ご、ごめんなさい……あの! 俺、見習い水夫のカイヴァーンっていいます! 凄い、本物なんですね、こんな人に会えるとは思わなかった! あっ、ヴィズルさんってお呼びした方がいいんでしょうか……?」
「海賊はもう廃業したんでね。できればそうしてくれるとありがたいな。カイヴァーン」
「ええっ、それじゃあ! ヴィズルの兄貴って呼んでもいいですか!!」
カイヴァーンは普段は人見知りで引っ込み思案な少年だったのだが、著名な船乗りの事となると話は別だった。
握り飯を食べていた衛兵がもう一度こちらを向く。
ヴィズルは何かを取り出し、カイヴァーンへポイっと投げた。
慌ててそれを受け止めるカイヴァーン。
手の中にはつやつやとした光沢を放つ真っ赤なリンゴがあった。
「好きにしな」
続くかも……?
CGは堂道の分身のみちなりが作りました。
本文は一部天竜様に書いていただきました! 天竜様、ありがとうございます!!




