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冒険者 捜索依頼

フェルムとウルティムについての相談を

終えてから3日後、ギルドに顔を出して

アレクとカインは新しい依頼がないか確認して

いるとギルド職員の女性に副ギルドマスター

が応接室に呼んでいるとの伝言を聞き

応接室を訪れていた。


先に応接室で待っているとすぐにレナードが

応接室に入ってくる。

そして先日、アレクから珍しい素材を

手に入れたので時間ができたら見てほしいと

言われていた件について話を聞きたいと

本題をストレートに聞いてきた。

アレクは、無造作にアイテムボックスに

手を突っ込むとサファイヤのように深い青さをした手の平の大きさをしたものを取り出す。

幾重にも編み込まれ繭の姿をした塊……

その美しさにレナードは息を飲み

視線を外すことすらできずに唖然としていた。


アレクは、それを気にする様子もなく

“蒼糸の繭”の説明を淡々と続けると

単刀直入にレナードに問いかける。


「ギルドでなら、いくらで買い取って

もらえますか?あとまだ複数あるのですが

いくつ買い取ってもらえますか?」


「なっ!これを複数入手したのか!?

ちょ、ちょっと待ってもらえるか?

私だけの一存では答えかねる……

ギルドで話し合ってから交渉を行いたい。

時間をもらっても良いだろうか?」


「こちらとしては、急いでるわけでは

ないので構いません。ですが……情報は

漏れないようにお願いしますね?

余計な情報が漏れれば力ずくで奪おうと

する者が現れるかもしれませんから。

この“蒼糸の繭”のことを知っているのは

パーティーメンバーとフェルム武具店の

フェルムさんと今話したレナードさんだけ

ですから心配ないと思いますけど……」


「ああ、これだけ貴重なものなら知られれば

大変なことになる可能性があるからね……

アレク君の懸念も、理解できる。

くれぐれも、情報が外に漏れないように

するから安心してくれ」


「ええ、レナードさんにお任せすれば

問題ないと思っていますよ!では、この件を

よろしくお願いしますね」


念のためにレナードを牽制してギルドに

慎重に行動してもらえるように釘を刺して

おく。

依頼確認も終えていたアレク達は、

特に目的もなくなったので今日は早めに

宿に戻って休憩を取ることになり2人で

夜空の輝き亭に戻ることになった。


夜空の輝き亭にアレクとカインが帰り

カウンターにいた女主人のスザンナに声を

掛けようとするとこちらに気付いていない

のか普段はアレク達に見せない暗い顔を

していた。

アレクとカインは、顔を見合わせ声を掛ける

のを躊躇しているとすぐにアレク達に気付き

普段の明るい表情を見せる。


「あら、おかえりなさい!帰ってきたなら

そんなところに立ってないで声を掛けて

くれれば良かったのに……どうかしたのかい?」


「あの、失礼でなければ何かに悩んでいる

ようなら話を聞きましょうか?」


普段から夜空の輝き亭には、世話になって

いるしスザンナにも色々と助けてもらって

いることからアレクは踏み込んで事情を

聞くことにして質問を投げかける。


「そうですよ!俺達もスザンナさんには

色々と助けてもらってむすから相談くらい

乗らせて下さいよ!」


「カインも、こう言ってることですし

話すだけでもどうですか?」


「はぁ〜、お客さんに気を遣わせて

すまないね。悩みというか心配してることが

あってね……ウチに部屋を借りてる

女性冒険者のチームが依頼に出掛けてから

予定を4日過ぎても帰ってきてなくてね……

ギルドに連絡しようかと考えていたんだよ」


冒険者の長期利用者が多い宿では、スザンナ

の話のように依頼で留守にする間の期間を

伝えて出掛ける場合が多い。

それは、非常事態に陥った場合に備えての

保険のようなものだが……過去には実際に

行方不明の冒険者が頻発したことで

宿からギルドに情報が集まり魔物の大発生を

早期に発見できたこともあるほどだ。

基本的に冒険者の命の有無には責任を負わない

冒険者ギルドであっても、そういった情報は

重要視している。


「なるほど……それは心配ですね……

ちなみにその冒険者達のランクは?」


「あの子達のは、確かDランクで

アルテスから3日ほどの距離の村に魔物の

目撃情報があって偵察依頼を受けて出掛けて

行ったよ」


「スザンナさん、よろしかったら

その冒険者達の詳しい容姿や分かりやすい

装備なども教えてもらえますか?

俺達がギルドに報告してきますので……

その内容の依頼で4日も予定を過ぎるのは

なにか問題があったと思った方がいい

でしょうから」


こうしてアレク達は、スザンナから

女冒険者チームの情報を詳しく聞くと

再度ギルドへと戻り行方不明者として

報告を上げるのであった。

次の日には、例の冒険者達の捜索と

村の安否確認のCランクの依頼が発注された。

今回は、早急な村の安否確認が求められる

ことから緊急依頼として判断されたよう

だった。

報告者として優先して依頼を回してもらった

アレク達《漆黒の魔弓》は、依頼を受けて

夜空の輝き亭から旅立とうとしていた。


「では、スザンナさん……行ってきます。

彼女達のこともできるだけ調べてきますので

あまり悩み過ぎないで下さいね」


「ああ、気を付けて行ってくるんだよ!

アレク達こそ無理するんじゃないよ……

もしかしたら、強力な魔物がいるかも

しれないんだからね!あの子達も心配だけど

自分達の命を1番に考えな」


「はい、ありがとうございます!

自分と仲間の命を最優先で考えてますので

問題ありませんよ。それに村の安否確認も

ありますから情報を持って帰ってこないと

いけませんからね」


「村のこともしっかりと頼むよ!

あの辺は、魔物の生息地から遠くにある

から危険は少ないと思うけど油断は禁物

だからね」


心配性なスザンナから、何度も注意を

受けながらアレク達《漆黒の魔弓》は

アルテスから馬車で村へと向かった。



===============================



3日ほど馬車を走らせたアレク達は

Dランク女冒険者達が、消息を絶ったと

思われる村に無事に到着していた。

村は、閑散としており外には人の姿はなく

ひっそりとした気配が漂っている。

魔物の襲撃に備えてのものなのか

それとも、見知らぬ者が村に入ってきた

からなのかは分からないが家の中からは

こちらを窺う視線をアレク達は感じていた。


とりあえず村の現状を把握しようと

アレク達は村で1番に大きい家に足を向け

村長に話を聞くことにする。

大きな家の扉の前でノックを繰り返すと

やがて、扉がゆっくりと開くと年配の男性が

中からアレク達の様子を窺っていた。


「あなたは村長さんですか?私はアルテス

冒険者ギルドより村の安否確認を依頼されて

こちらを訪ずれた《漆黒の魔弓》のアレクと

申します。こちらがギルドカードですので

ご確認下さい」


疑わしい目線を感じたアレクは、

手っ取り早く身分を確認してもらうために

カードを提示すると男性の前に突き出して

見せる。

そこまで話すとようやく信用してくれたのか

家の中へと通され話を始めることができた。

テーブルを挟んで座ると男性が自己紹介を

始める。


「先程は、失礼しました……私は、この村の

村長をしておりますミゲルと申します。

最近は、近くで魔物が目撃されたことも

あり村全体が警戒心を強くしているところで

不愉快な思いをさせてしまい申し訳

ありませんでした。村を代表してお詫び

致します」


「いいえ、村の近くで魔物が発見された

と聞けば警戒されることは仕方のないこと

ですので……私も村の出身なので事情は

分かるつもりです。それに武装した者が

村に入ってくれば誰でも疑わしいと

感じますからね」


「そういって頂けると助かります。それで

冒険者ギルドから村の安否確認にきたと

仰っていましたが……先日こられた冒険者の

方達はアルテスに戻っていないのですか?」


「こちらに冒険者がきたのですね?

よろしかったら詳しい情報を教えて

頂けませんか?」


「あっ、はい、10日ほど前に女性3人組の

冒険者の方々が村に訪れ村の近くで魔物が

目撃されたと報告があり様子を見にきたと

のことで1日ほど近くの森を探索して

次の日には帰られました」


「……なるほど、彼女達は魔物について

何か村長に報告をしていきましたか?

あと、彼女達は1日は村に滞在していた

ようですが滞在した家などを見せてもらう

ことはできますか?」


「報告……確かこの辺りには魔物は、

いないようなので街に報告に戻ると

言っていました。滞在した家は村に入って

すぐ左にある家です。普段は物置として

私が使っていますのでカギをお渡しします

ので自由に調べて下さい」


「ありがとうございす……それと村の

安否確認のために各家を回わりたいので

村長さんもご一緒にお願いできますか?

私達だけでは、村の方々も不安に感じると

思いますので」


「分かりました……ご一緒しましょう」


その後、アレク達《漆黒の魔弓》とケレスは

村の各家を見回り家の中にいた村人を

全員確認すると村長から女冒険者達が

滞在した家のカギを貸してもらい実際に

家を調べることとなった。

家の中は、最近誰かが生活したように

ところどころ綺麗になっており彼女達が

この場所に滞在していたことは間違い

なさそうであった。

アレク達は、各部屋をくまなく調べたが

彼女達の手掛かりとなるようなものを

見つけることはできなかった。

アレク達は、リビングに集合すると

今後の予定ついて話し始める。


「この家では何も発見することは

できなかったが……彼女達の捜索も

依頼に入っている以上、手ぶらで帰る

わけにもいかない。明日は、村での聞き込み

と村近くにある森の探索を行う。

それでも、手掛かりを見つけられなけば

帰還時に何かがあったとしてアルテスに

帰りながら彼女達の足取りを追ってみよう」


「ああ、アレクが決めたことなら問題なく

従うぜ!じゃあ1,2日は、この家で過ごすのか?」


「そうしようと思う。村長さんには後で

事情を話して滞在許可をもらうとしよう」


「これで私達が、滞在してる間は魔物が

現れても村の人達を守ってあげられるね!

村の人達も魔物を怖がっていたみたいだし

少しでも気持ちが楽になるんじゃない?」


「そ、そうだね。村の人じゃ魔物と戦える

力もないし……少しでも助けになれれば

いいなぁ」


「よし!それじゃあ明日から行動開始だ!

今日のところは移動の疲れを癒して

聞き込みと森の探索に備えるとしよう」


「「おう!!」」


こうしてアレク達《漆黒の魔弓》は、

村を中心とした女冒険者達の捜索をする

ことになった。

しかし、すでにこの時アレク達が滞在する

ことになった家に気配・魔力を消した

1つの影が聞き耳を立て何かを探り

やがて離れていったのであった。



===============================



次の日、アレク達は朝から村の中で

女冒険者達についての聞き込みを開始した。

2人1組に分かれアレクからの注意点を

教えられ各家を丁寧に聞き込みをして

回っていく。

しかし、どの家でも大した成果を得られずに

時間だけが過ぎ去っていく。

昼に一度、滞在している家に集まり

情報交換を行うが女冒険者達の情報は

まったくというほど出てこないのであった。


アレク達は、仕方なく午後からは

彼女達が調査したとされる森に出掛け

手掛かりになるものがないかを探す。

ついでに魔物の痕跡がないかも一緒に

探し日が暮れるまで捜索を続け一日中

時間を使っても手掛かりを見つけることが

できなかった。


貸してもらっている家に戻り今日の

散々な成果をカインとアマリアが

愚痴っていると家の扉の前から村長の声が

聞こえてくる。

アレクが扉を開けるとそこには鍋を持った

村長が立っていた


「夜遅くまでご苦労様です。村の近くの

森も探索して頂きありがとうございます。

村としてこんなことしかできませんが……

スープを差し入れに持ってきました。

どうぞ、召し上がり下さい」


「村長さん、ありがとうございます!

よろしかったら中で一緒に食べませんか?

今日の報告も兼ねてお話しでもどうです?」


「私は既に食事は終えましたので、

報告をお聞きしても良いですか?」


「ええ、それでも構いませんよ!

では、テーブルでお待ち下さい。

あっ、鍋もお預かりしますよ、少し

温めなおしますね」


そういうと鍋を預かったアレクは、

リビングに備え付けてあるキッチンで

すぐにスープを温め用意してあった皿に

スープを盛ると仲間達と食べ始める。

その様子を見ながらも今日の報告を

受けると村長は早々に帰っていった。

その日は、一日中の捜索で疲れたのか

《漆黒の魔弓》一同もすぐにベッドに

横になり静かに夜が更けていった。


村の明かりも少なくなり暗さが増す中で

アレクの滞在する家の明かりが消えて

しばらくすると……怪しい影が動き出す。

それは気配・魔力を消し素早く扉の前に

辿り着くとまるでカギが掛かっていない

ように扉を開けて家の中に侵入してくる。

そして迷うことなくアレクが寝ている部屋に

向かうと音もなく扉を開けベッドの横に立つ。

そして腰から取り出した短剣を躊躇する

ことなくベッドの膨らみに突き刺した。






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