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Aランク冒険者 死拳のクラウ

アルテスの冒険者ギルドで2年前に

出会った職員が実は副ギルドマスター

レナードであったことを知らされたアレク。

レナードと色々なことを話しているうちに

ギルド職員であってほしい者がいると

言われ詳しい事情を聞かされることに

なったアレクは、レナードが紹介する1人の男性と会うことになるのであった。


応接室に通され待っているとレナードと

一緒に灰色の髪をしたインテリっぽい

無表情な男性が入ってくる。

身長はアレクと同じくらいだが……

纏っている空気が張り詰めたものを

感じさせる人であった。

対面に用意されたソファに互いに座ると

やがて、レナードが男性の紹介を始める。


「アレク君、こちらの方はアルテス冒険者

ギルドのAランク冒険者 死拳デス・ナックルのリーダー

クラウさんだ。前の事件の時にアレク君の

噂を聞いて会いたがっていてね……

現在、パーティーメンバーが依頼先で

厄介な毒をもらって静養中で活動できなくて

ギルドの地下訓練所で訓練中だったんだ」


「お会いできて光栄です、クラウさん!

まさかAランクの方から声が掛かるなんて

思ってなくて驚きました!それでお話と

いうのは何でしょうか?」


「世間話がしないわけじゃない……

一緒に地下訓練所にきて……」


言葉少なく話すとクラウは席を立ち

応接室を出て行った。

唖然としながらもアレクとレナードは、

クラウの後を追いかけてギルドの地下訓練所

へと向かう。

地下訓練所に行くと何故か何人かの冒険者が

倒れ込んでおり疲労から動けなくなってる。

倒れている者達を避けるように訓練所の

一角で待っていたクラウに追いつくと

静かにクラウが喋り出す。


「君の体術が見たい……スキルありでいい

から全力で掛かってきて……」


そう言うと素手で構えも取らずに脱力した

様子でこちらに向き合ってくる。

戸惑いながらもAランク冒険者に訓練を

してもらえるなら有難いとアレクは、

スキルを発動させて素手で戦闘態勢に入る。

そんなところにレナードが呼んできたのか

《漆黒の魔弓》一同も地下訓練所に

降りてきてアレク達の様子を見守っている。


(【瞬斬術】 【無の歩み】も発動……

身長強化本気モードで行くぞ……)


お互いに3mほど距離を置き素手で

向き合い地下訓練所に沈黙が流れる。

アレクが先制攻撃を仕掛けようとした

次の瞬間……!探知スキルが高速で迫る

ものを感知して【思考加速】で反応して

かろうじて防御の構えをとる。

鈍い痛みが腕に走ったと思うと気付いた時

にはアレクの足は床から離れて吹き飛んで

いた。


床を凄まじい勢いで転がりながら勢いを

殺すように受け身を取って体勢を立て直す。

すぐに追撃が来ると予想して迎撃の体勢を

取ろうとクラウに向き合うと何故かクラウは

アレクが立っていた場所に立ってこちらを

“ジッ”と見つめていた。



===============================



離れて場所からアレクとクラウの訓練を

眺めていた《漆黒の魔弓》一同は、

クラウが突然消え次の瞬間にはアレクが

吹き飛んで転がっていた光景を愕然と

見つめていた。

体術を得意としているカインであっても

見切ることができなかったクラウの動きは

常軌を逸しているものだった。

言葉を失っている《漆黒の魔弓》に

女性が慌てた様子で話し掛けてくる。

それは、先程まで訓練所の床で転がっていた内の1人である者であった。


「ちょ、ちょっと!あそこのウチのリーダー

と戦ってる彼!何者よ!?リーダーの即拳

を初見で防いだわよ!」


「えっと、彼は私達《漆黒の魔弓》の

リーダーのアレクサンダーです。……あの

失礼ですが……あなたは?」


食い気味で質問していた女性にアマリアが

丁寧に答えると逆に質問し返す。

アマリアの丁寧な対応に自身が相手に

失礼な態度を取っていたことに気付き

改めて自己紹介をしてくる。


「ごめんなさい……突然のことに気が動転

してしまって……アタシはAランク冒険者

チーム死拳デス・ナックルのアンジーよ。

あなたのとこのリーダーも、只者じゃない

わね……戦士さんかしら?」


「あっ、私はCランク冒険者のアマリアです。

うちのリーダーアレクは、一応狩人ですよ?

但し色々とできる変態なので……普通では

ないと思いますが……」


「Cランクなの!?それに、あの反応と

身のこなしで狩人……!色々と凄いのね

彼は……それにリーダーの最速の拳である

即拳を防いでみせるなんて!信じられないわ」


「先程も、アンジーさんがいっていた……

即拳とはスキルなんですか?聞いたことが

ない名前ですか……」


「いえ、未だに私達も信じられないけど……

即拳は純粋な技術でスキルではないそうよ!

ウチのリーダーは、ちょっと天才過ぎて

変人だからアタシ達は一緒に訓練しても

まったく相手にならないほどだもの」


「あれがスキルじゃない……常識はずれも

いいところですね……あと同じチームで

そこまで実力に差が出るものなんですか?」


「それは……」


そこまで話すとアンジーが、またしても

信じられないものを見た顔で固まる。

アマリアは、アンジーの視線の先を

辿ってみるとその先には無表情なクラウが

いるだけだった。

アマリアが、もう1度視線をアンジーに

戻すと小さな声で何かを呟いていた。


「クラウが……笑ってた……」



===============================



すぐに追撃が来ると予想して迎撃の体勢を

取ろうとクラウに向き合うと何故かクラウは

アレクが立っていた場所に立ってこちらを

“ジッ”と見つめていた。

そして少しだけ笑ったように見えたが……

次の瞬間には無表情な顔でこちらを

見つめていた。


仕掛けてこないならと気持ちを切り替えて

【身体強化】本気モードと歩行術頼りで

一気に加速して接近すると真正面から

大振りのフックを右から放つ。

しかし、余裕で避けられると思われた

右フックは途中で動きを止めて代わりに

左手から素早い掌底がクラウの顎に向かって

放たれる。

右フックのフェイントからの左掌底は、

アレクが栄光グローリー・ソードのリーダーである

フベルドから教わった対人向けの技だった。


一瞬だけ動きが止まったよう見えるが

アレクが、掌底を放つ頃にはクラウは

身を低く落としてアレクの心臓に向かって

タックルしてくる。

衝撃を受けて数歩だけ後ずさるが殺気を感じて

咄嗟に前面にガードをするとまたしても

見えない鈍い痛みが腕に走り吹き飛ばされる。

激しく転がりながらもすぐに体勢を立て直し

前を向くと今度は横から脇腹に蹴撃を受けて

悶絶しているとクラウから声が掛かる。


「君のことは、なんとなく分かった……

君が望むから10日ほど……一緒に訓練しよう……」


「あ、あり……がとう……ござい……ます!

げほっ!げほっ!お願い……します……」


脇腹に入った蹴りで肺にダメージを受け

まだ上手く喋れないながらも予想外の

誘いにすぐに返事をするアレク。

そんな様子を見かねてレナードやアンジーが

2人に声を掛けてくる。


「クラウさんもアレクさんも訓練するのは

いいですが……もう少し話し合ってから

訓練されてはどうですか?周りが心配そうに

していますよ?」


「そうよリーダー!いきなり訓練所に

戻ってきたと思ったら突然、彼と訓練し

始めるんだもん!アタシ達も驚いたし……

それにリーダーは口下手なのにパーティー

以外に訓練なんてできるの?」


「……大丈夫……たぶん……」


「とりあえずリーダーが決めたことなら

反対はしないからお互いのパーティーことも

あるし今日のところは、ここまでにして

明日から訓練にしてみては?」


そういうと心配そうに、アレクの方を

見ていた《漆黒の魔弓》一同に視線を

移してアマリアに向かって手を振るアンジー。

そこまでのやり取りを呼吸を整えながら

聞いていたアレクも会話に参加して

訓練の予定を決めようにする。


「俺からも、明日から訓練をお願い

できればと思います。クラウさんとの訓練は

貴重な時間なのでできるだけ多く取りたい

ですが……パーティーにも話をしたい

ですし」


レナードとアンジーの仲介もあり、この場で

明日から訓練することと開始時間決めて

お互いパーティー同士で挨拶をして

今日の訓練は終了した。


ギルドの休憩所に移動したアレク達は、

アレクから掲示板前で再開した男性が

2年前に会ったことがあり副ギルドマスター

レナードであることを知ったこと。

そのレナードから2年前の事件をきっかけに

Aランク冒険者のクラウを紹介され訓練を

見てもらえることになったことを

順番に説明していった。

ことの顛末を話していると話を聞いていた

カインが何かを思いつきすぐに口に出して

くる。


「本当にアレクの対人運は、すごいよな〜

セシリアさんからバルド教官を紹介して

もらったこともあったよな?」


「あ〜確かに〜私の時は、初対面で

教会司祭のセロネス様とお話ししてたから

あの時は驚いたなぁ」


「ぼ、僕は特に思い当たることはない

です……僕はアレクさんと出会えたことが

運があったんだと思いますけど……」


「う〜ん、もしかしたら幸運の指輪の

お陰なのかな?でも指輪を手に入れたのは

ダンジョンに行った時だから……バルド教官

と会った後なんだよな」


そう言いながら左手にしている指輪を

ジーと見つめているとカインから指輪に

ついて質問が飛んでくる。


「アレクがしてる指輪って幸運の指輪って

いうだな〜今更だけど知らなかったよ!

それってダンジョンでドロップしたもの

なんだ?俺は女の子からもらったのかと

思ってたよ」


「あれ?言ってなかったけ?ダンジョンの

最奥にあった宝箱に寂しく置かれていた

指輪なんだぜこれ……でも、師匠と一緒に

行ったダンジョンが懐かしいな。あと

カインは、その手の話題が意外と好きなのか?」


「ダンジョンか……パーティーでまだ経験が

ないからアルテスの近くにあったら行って

みたいな……あと俺は、その手の話題が

好きなんじゃなくてアレクがどんな女の子に

目がいくのか気になるだけだよ!」


2人の女気のない話を見かねてアマリアが、

今後の予定について確認してくる。


「2人のモテない話は置いといて今後の予定

をしっかり決めない?明日から10日ほどは

Aランク冒険者の訓練を見られることなんて

滅多にないから私は見学しながら自分でも

訓練しようと思ってるけど……カインと

ミカはどうする?」


「俺は、モテないんじゃなくて付き合わない

だけで〜す。まぁ、冗談はこれくらいにして

俺もアマリアと同じでアレク達の訓練を

見学しながら自分でも訓練かな?あとは

個人的希望としてはフェルムさんの素材

集めが、ひと段落したらダンジョンに

チャレンジしてみたいかな?」


「ぼ、僕はアレクさんの手伝いができれば

嬉しいので……見学でお願いします!」


「みんなの意見は、分かったよ。

とりあえず明日から10日間《漆黒の魔弓》は

ギルドの訓練所で過ごすとして……

フェルムさんの依頼を受けながら素材集めと

余裕があればダンジョン攻略を目指す!

これでいいかな?」


そうして、今後の予定が決まったアレク達は

Aランク冒険者チーム死拳デス・ナックルと関わることと

なったのである。

これから10日間……アレクが経験したことの

ない苛烈な訓練が待ち受けているとは

この時は、《漆黒の魔弓》一同は知る由も

なかった。













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