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エクストラスキルと槍術士カイン

13歳になったアレクは教会を離れ

冒険者ギルドの地下訓練所で同じ

冒険者見習いのカインと訓練を行い汗を

流していた。


発端は、数日前に遡る。

教会に掛かりきりになっている間、カイン

とは殆ど会わず訓練もしていなかった。


しかし、教会のことが一段落し拠点で

くつろいでいるとカインが押し掛けて

きたのだ。

「おい!どういうことだアレク!!

君の一大事の時に何故、俺を頼らないんだ!」

勢いは止まらず、かなり近い位置まで

カインが詰め寄ってくる。


「うおぉ!なんだよ!カインそんなに

慌てて槍でも折れたのか?」


「槍も大事だが、それよりも君のことだ。

教会で色々やっていたそうじゃないか?

なのに何故、俺に声を掛けてくれなかった?」


アレクは、カインの言葉の意味を考えて

1つの答えに至る。

「カインが活躍できそうな場面がなかった

からだなそれは」


アレクの無慈悲な言葉に膝をつくカイン。

「なん……だと……!?親友として

出来ることは何もなかったというのか?」


ショックを受けたカインが可哀想になり

アレクは慰めモードに入る。

「まあ、今回は活躍できなかったけど

これから訓練をしたり依頼を受けようと

思ってるから付き合ってくれよ親友!」


その瞬間、パッと明るく表情になるカイン。

「うん、そういうことなら早速、ギルドの

訓練所に向かうぞ!準備しろアレク!」


忙しく表情を変えるカインを無理矢理

ギルドへ連行され、ここ数日はギルドで

訓練漬けの毎日を送っていた。


そんなある日、カインと模擬戦をしていると

スキルを使った時に違和感を感じた。

複数のスキル発動をした際に何かが邪魔

しているように感じたのだ。


(うん?なんだ、この感じ?こんなこと

今までなかったよな……)

「カイン!!ちょっと訓練っ!止めていいかぁ!?」


「フッ!!あっ?いいぞ別に。どうした?」


模擬戦を、中断して原因を探すことにする。

「いや、スキルを使った時に違和感があったんだ。それが気になってな……」


「だったら、休憩にしよう。ちょうど

腹も空いてきたしな!」


訓練所の壁に背を預けながら持ち込みの

昼食を食べる。食べ終わるとカインから

最近ギルドカードは確認してるのか?と

聞かれ、半年程カードを見ていないことを

思い出す。


「いや、忙しくて全然確認してなかったよ!

ちょっと確認してみるわ」


ふところからギルドカードを出すフリをして

アイテムボックスからカードを取り出す。


ステータス


〔名前〕アレクサンダー

〔年齢〕12

〔職業〕持たざる者

〔レベル〕12

〔体力〕(HP)470

〔魔力〕(MP)160

〔攻撃力〕300(+15)

〔防御力〕155

〔敏捷性〕240

【エクストラスキル】

瞬斬術(new) 無の歩み(new)


【スキル】

歩行術 投擲 弓術 剣術 盾術 体術 隠密

気配探知 魔力探知 魔力操作 炎魔法 水魔法 風魔法 雷魔法 土魔法 解体 身体強化 付与

錬金 速読術(new)思考加速(new)

【称号】

なし


(なんだ……?エクストラスキル?

いつの間に、こんなもの覚えたんだ俺は?

それに、速読術と思考加速を新しく習得してるし)

「なぁ、カイン?エクストラスキルって

なんだか分かるか?」


「ブッーー!!」

カインが漫画のように飲んでいた水を吹き出す。


「きったねーな、おい!」

カインが吹き出した水が少し服に掛かった

ので払いながらカインをジト目で見る。


「っごぼ!ごほ!エクストラスキルって

習得したのか!?アレク!!」

咳き込みながら会話を続けるカイン。


「ああ、カードにはエクストラスキルって

書かれてるぞ?なんなのこれ?」


それから、カインの説明を聞いたが……

その説明によると複数のスキルを極めた者

のみが習得できるのがエクストラスキルで

高ランクの冒険者でも長年を掛けて

習得できるか、どうかというものらしい。


(【瞬斬術】と【無の歩み】か……

仕様が良く分からないし拠点に帰ったら

師匠に鑑定してもらうか)

「とりあえず今日の所は、拠点に戻って

色々と確認してみるよ。他にも新しいスキル

を習得できてるみたいだし」


「そっか、かなり気になるけど仕方ないな。

その代わり、色々と分かったら使って見せて

くれよな?」

残念そうにカインは引き下がる。


「分かったら報告するから待っててくれ。

今日中には終わると思うから、いつもの時間に訓練所に集合でいいよな?」



===============================



カインと訓練の約束を交わし、アレクは

拠点へと戻ることにした。

夜になり師匠が戻ってきたので

日中のエクストラスキルの件を伝えた。


テーブルにつきながら説明を始める。

師匠は、興味深そうに頷きながら

話を聞いていたがワクワクしているのが

隠し切れない様子だった。


「さすが、ぼーや。もうエクストラスキルを

習得してくるとは!しかも2つも!!

早速、【鑑定】で調べてみようじゃないか」


「【鑑定】……」


「エクストラスキルの内容が分かったぞ、

ぼーや。説明してやろう」


師匠が説明してくれたエクストラスキルの

内容は以下のものだった。


【瞬斬術】(身体強化+歩行術+剣術)

高速の連撃で敵を翻弄する武術。


【無の歩み】(隠密+歩行術+魔力操作)

気配遮断、魔力遮断、自分の発する音の

消音効果。


分かりやすく話してくれた内容は

こんな感じだった。


自分の疑問を師匠に聞いてみる。

「このスキルって意味あるんですか?

カインの話だと複数のスキルが一斉に

発動できるらしいですけど……

別に、それくらいならエクストラスキル

じゃなくても良くないですか?」


やれやれという様子で師匠が首を振る。

「ぼーや、エクストラスキルの特性は

一斉に発動できる点ではない。

良く考えろ、何故エクストラスキルの

項目がギルドカードに増えていたかを」


(ギルドカードに項目が増えた……

新しいスキルとして認識されている?

だとしたら……?)

「もしかして、エクストラスキルには

新しく熟練度が発生するのですか?」


「正解だ!ぼーや。ならエクストラスキルの有益な点も分かるだろう?」


「新しく熟練度が発生するなら、

現在のスキルの上限を越えて強化できる

ということですね!」


「そういうことだ。エクストラスキルの特性

それは複数のスキルを統合し昇華しょうかさせる点に

こそあるのだよ」


(なら、積極的にエクストラスキルを

使用した方が良さそうだな……)


「あ、師匠。新しいスキルも習得した

みたいなんですが……そちらも教えて

もらってもいいですか?」

アレクも、エクストラスキルの印象が

強すぎて存在も忘れかけていたことを

聞いてみる。


「ああ、【速読術】と【思考加速】

だったな。ぼーや、試しにスキルを使用して

この本を読んでみてくれるか?」


師匠がアイテムボックスから

〈鉱石の種類と利用方法〉と書かれた本を

取り出す。


「分かりました。この本だと読むのに

時間が掛かりそうですが大丈夫ですか?」

400ページほどありそうな本の厚さの為

師匠に断りを入れておく。


「構わないさ、茶でも飲んで待ってるから

ゆっくり読んでみるがいい」

師匠が、ひらひらと手を振りながら離れて行く。


(【速読術】【思考加速】)

ペラペラペラペラペラペラ……

部屋の中にリズムの良いページが流れる音が

聞こえてくる。


「ふぅ……読み終わった……」

(思考加速は凄いな、しっかりと本の内容が

頭の中に入ってくる)


師匠はテーブルでお茶を飲んでいた。

「師匠、読み終わりましたよ。だいぶ

お待たせしてしまいましたか?」


「いや、まだ一杯目のお茶を飲み終わった

ところだよ。時間にして10分ほどかな?」

お茶を口に運びながら師匠が答える。


「え?それだけしか経ってないんですか!?

ってきり3,4時間過ぎてると思ってました!」


「【速読術】と【思考加速】の組み合わせは

中々に強力な組み合わせだろう?更に頭を

使えるようになれば色々なことが出来る

ようになるかもしれないな……」

落ち着きながら師匠は呟く。


(またイメージを使った方法で新しく

スキルを習得できるかもしらないな……

脳を使うイメージか、確か覚えてるのは

左脳は論理的で右脳は感覚的なことを

司るのが得意なんだっけか)


「なるほど……鍛えたら面白そうな

スキルですね」

これからのことを考えアレクは不敵に笑う。


そんなことを考えている師匠に声を掛けられる。

「そういえば、ぼーやに伝えようと思った

ことがあったのを思い出した。冒険者ランク

がBランクになったから、パーティーを

組んで他の街に行こうと思うのだが

見習いとして付いてくるか?」


「え?いつ間にBランクになったんですか?

それにパーティーメンバーなんて師匠に

いたんですか?」

(師匠に付き合ってくれる冒険者など

王都にいるんだろうか?)


師匠に対して失礼なことを考えていると

思考を読まれてしまう。

「ほぅ、ぼーやは私に対して失礼なことを

考えているな?私にだってパーティーメンバー

くらいいるぞ?ちなみにCランクになった時に

臨時としてパーティーに参加し今回の昇格に合わせて正式なパーティーになったのだよ」

何故か自慢げな師匠。


「いいえ、失礼なことなんて考えてませんよ?

他の街に行く件でしたけ?

他のパーティーの方が許してくれるなら

行ってみたいです!」

アレクは誤魔化すように話を進める。


「うむ、実はパーティーメンバーには

既に許可は得ておる。逆にぼーやに

早く会わせろとうるさかった程で

困っていたのだよ。ぼーやは今や

有名人だからな、当然といえば当然か」


「いつ、そんな有名な感じになったんですか?もう、以前の模擬戦でのことは話題には

なっていないでしょうに……」


「相変わらずです自分のことに関心が薄いな

ぼーやは。模擬戦のことは話題にはならくとも

あの一件から低ランク冒険者の生存率が

目に見えて上がっているからな。影響力は

誰もが知るところ、という訳だ」


「そんなもんですか、良く分かりませんけど」

興味なさそうにアレクは呟く。


「とりあえず1週間後には出発予定だから

それまでにメンバーに顔合わせはする。

楽しみにして準備しておくように」


「はーい、分かりました!」

先生と生徒のように応答する2人。


エクストラスキルと新スキルを理解した

アレクは明日のカインとの約束の為に

早めの就寝につくのであった。



===============================



次の日、待ち合わせの時間に冒険者ギルド

地下訓練所に行くと既にカインが待っていた。

軽い挨拶を交わし、柔軟体操をしていると

カインが話し掛けてくる。

「今日は本気で模擬戦をしないか?アレクも

エクストラスキルを試してみたいだろ?」


「ああ、緊張感があった方が訓練になるし

僕もカインと本気で戦ってみたかったんだ。

今日は負けないぞ?」


「じゃあ今日は俺、槍でやるからな?

刃が潰してある訓練用だけど当たれば

かなり痛いから注意しろよ?」

何やら気合いが入ったカインが注意を

飛ばしてくる。


「分かった。ここのところ僕の剣の訓練に

付き合わせてしまってたからな。今回は

剣と槍で戦おう。カインの本気を見せてもらうよ」


お互いに距離を取り、武器を構える。

アレクは右手に剣と左手に盾。

カインは両手で槍を構えている。


そして、アイコンタクトを取り

模擬戦がスタートした。


先手はカインの速攻だった。鋭く尖った

一撃がアレクの足を狙う。

アレクは咄嗟に足を半歩ずらし回避する。

槍の穂先が空を切ると素早く元の位置へ

戻っていく。


足を半歩ずらしたことで体勢が少し崩れた

隙を見逃さずカインの槍が続けてアレクを

襲う。


(【瞬斬術】【無の歩み】)

一瞬で、体勢を立て直し槍を盾で逸らしながら

高速でカインの背後へと移動する。


(ここだっ!)カインの背後へと剣を

振り上げようとした時に腹部に違和感を

覚え反射的に後ろに飛ぶ。


その瞬間にアレクの腹部に鈍い痛みが走る。

自分が今までいた場所を見るとカインの槍の

後ろの部分、石突いしつきと呼ばれる部分が突き出していた。


「いくら早かろうと、動きを読まれてしまえば

対応はできる。特に僕はアレクの訓練に

ずっと付き合ってきたからね。君の考えて

いることくらい分かるさ」


後ろを振り返り、再び槍を構えながら

アレクを見つめるカイン。


「手の内を知ってるやつは面倒だな……

それにやっぱり強いなカイン」


「伊達に何年も槍を訓練していないからね。

アレクに負ける訳にはいかないさ」


話し終わると同時に、今度はアレクが

仕掛けた。カインのふところに入り込み

槍の優位性を奪おうと考えたのだ。


フェイントや剣での牽制を行いながら

苛烈な槍の連撃を躱し、盾で逸らしながら

なんとかカインのふところに飛び込む。


しかし、ふところまであと少しの所で

強烈な足蹴りがアレクを吹き飛ばす。


「っ!!」

盾で防いだにも関わらず体重の乗った蹴りは

、それほどに体重が乗っていたのだ。


尻餅をつく、アレクの喉元にカインの

槍の穂先が向けられる。


アレクは武器を下ろし両手を上げ

模擬戦の終わりを告げる。

「僕の負けだ。降参するよ」


2人の間の緊張した空気が弛緩していく。


カインは息を止めていたのか一気に

息を吐き出す。

「ふぅーなんとか勝てた……アレク強すぎ!

凄い疲れたよ俺は」


今になって気付いたがカインは凄い量の

汗をかいていた。


「かあー、全然勝てなかったー余裕で負けた!

凄い悔しいんだが……強すぎないカイン?」

一太刀も当てられなかったことに

ショックを受けるアレク。


「余裕なんてなかったよ、それに今回は

アレク対策を準備してたから上手くいった

だけで本当の実力とは言えないと思う」


「僕に対しての対策?どういうこと?」


「ずっと訓練を一緒にしててから、なんとか

アレクの早さについていけたし

攻撃のパターンも読むことができた。

それにアレクは槍術士と戦うのは初めて

だろ?元々剣と槍で長さでも差があるから

槍の方が有利なんだよ!」


(そうか、確かに剣と槍じゃリーチが違う

から必然として不利になるよな。剣で

リーチを補う手段を考えないとな)


「もし実戦だったら、死んでたかもしれないな。

態々(わざわざ)教えてくれてありがとうな

カイン。僕に気付かせる為に本気の模擬戦を

してくれたんだろ?」


(本当に気が回る、いい奴だよお前は)


「まあ、な。それに戦闘特化の俺が

万能型のアレクに負ける訳にはいかないだろ?」

少し、苦笑いしながら答えるカイン。


「何言ってるんだか!僕なんかより

全然強いだろうがカインは!」


その後は、模擬戦の反省点や改善点を

話し合い今後の訓練に取り組んでいく

計画を立てて解散となった。


カインは、もう少し訓練を続けると

言ってたから付き合おうと思っていたら

バルド教官が現れ応接室に呼び出しを

受けたのだった。


そして、アレクはバルド教官に連行され

応接室へと向かうのだった。















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