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鉱石収集とパーティー顔合わせ

カインとの模擬戦の後にバルド教官から

呼び出しを受けたアレクは応接室前へと

到着していた。


扉をノックし、中にいる人物の許可を待つ。

「どうぞ」部屋の中から男性の声がする。


「失礼します!」部屋の中へと入ると

待っていたのはギルドマスターのガルドさん

その人であった。


「アレク君、久しぶりだね。まずは

こちらに座ってくれ」

対面したソファを勧められ、そこに座る。


「はい、お久しぶりです。本日はどのような

ご用件でしょうか?」

単刀直入に用件を聞くアレク。


「まあ、待ってくれ。色々と順番に話すから。まずは教会との協力関係の件だが

本当にありがとう」

そう言いながら頭を下げるガルドさん。


「頭を上げて下さい。ギルドマスターが

底ランク冒険者に頭を下げるなんて

さすがにまずいので」

気まずそうに感謝されるアレク。


「こうなることを期待していなかったと

いえば嘘になるが……期待以上のことを

君はしてくれた。冒険者ギルドと教会の

関係改善に尽力してくれた恩は忘れない」


「これは僕自身が望んだことですので

お気になさらずに。それにこれからが

本番で今は準備が終わったに過ぎません。

そこまで、上手くいったら改めてお互いに

喜びしょう」


「君が、そういうならそういう事にして

おこう。その時は改めてお礼をさせてくれ。

それとここからが君を呼び出した本題

なんだか……君から以前お願いされていた

色々な種類の鉱石が集まったのだ。

これから具体的に何をすればいいのかな?」


「分かりました。お礼の件はいずれ。

鉱石は、どちらに保管してあるのですか?

移動が大変なら僕が、その場所に行きますが」


「鉱石はギルドの倉庫に保管してある。

大小で多く種類があるから出来るなら

そちらに移動してもらっていいかな?」


ガルドさんとバルド教官に連れられ

ギルドの倉庫に移動する。


「この中に鉱石は用意してある。さて

これからはどうする?」


「今から中に入って鉱石を拝見します。

心配でしたら一緒に入って頂いても大丈夫

です。ただ少しだけ後ろを向いてもらえれば

すぐに終わります」


何かを考えた様子を見せるガルドさん。

「いや、私達は外で待たせてもらう。

そんなに時間は掛からないなら問題ない」


バルド教官も同意するように答えてくれる。

「アレクが何か盗むほど愚かでないと

知っているからな俺達は」


「信用して頂いて、ありがとうございます。

では、すぐに済ませてきますので」


アレクが倉庫に入ると真ん中に中位の皮袋と

大きな箱が置いてあった。その中身を確かめると袋の方には大小様々な鉱石が箱の方には

各種インゴットが入っていた。


「よし、外に待ってもらってるし早速

始めるとしますか!」


アレクは1つずつ、アイテムボックスに

入れては出してを繰り返しの作業を

始める。


1つの作業が終わるまでに10秒掛からず

5分ほどで全ての鉱石とインゴットを

一度ずつアイテムボックスに収納した。


ちょうど30種類ほどに達した時に

頭の中でポーンと機械音が聞こえた。


続いて女性の声でアナウンスが流れる。

『アイテムボックスの機能が開放されました』


「よし!開放きたー!」


アレクが求めていたのは、鉱石やインゴット

自体ではなくアイテムボックスの開放で

あった。以前に師匠から、その可能性を

聞いてから何とか集めてみようと考えて

いたが……中々、機会に恵まれなかった為に

今回ギルドにお願いしたのだった。


目的を達成してアレクは、すぐに外の

ガルドとバルドに声を掛け用事が済んだ

ことを告げた。2人ともすぐにアレクが

出てきたことを不思議に思っていたよう

だが何度もお礼を言うアレクを見て

それ以上は追求してこなかった。



===============================



冒険者ギルドを後にしたアレクは

拠点に帰ってアイテムボックスの新機能を

確認していた。アイテムボックスに手を入れ

機能を確認するように意識すると頭の中に

《素材生成・分解》という項目が現れる。


「《素材生成・分解》ねぇ?試しに何か

分解してみるかな?」


アイテムボックスの中に意識を集中し

分解できそうなものを探してみる。


「矢なら分解できそうだし、沢山あるから

大丈夫だろう」

アイテムボックスの中で矢1本を選び

分解を選択する。


すると、鉄 (小)木材 (小)羽根 (小)

に分解されたのが確認できた。


「へぇ〜これが分解か、生成は何ができるん

だろう?」

先程と同じようにアイテムボックスを

確認していると以前ダンジョンでドロップ

したポイズンスパイダーの大牙が目に止まる。


「これなら、丁度良さそうだな」

別に大切なものでもないで、あっさりと

素材生成に使うことを決めた。


ポイズンスパイダーの大牙を選んで

素材生成を選択する。


結果として

猛毒液×4 鋭い牙×3 を生成することを

確認することができた。


「何だろう……多分、使える機能

なんだろうけど利用方法が今の所

思いつかない。何に利用できるか考えるのか

考えるのが今後の課題だな……」


2度目のアイテムボックス機能開放は

やはり、納得できない結果で終わった。

アイテムボックスに対する不満が

払拭できる時は、いつか訪れるか?

そんな気持ちをアレクは漠然と抱えていた。



===============================



アイテムボックスの機能開放から3日後

ルシアとアレクは夜の王都の酒場で

飲み物を飲みながら人を待っていた。


「師匠〜、今日紹介してくれる人達は

何人いるんですか?」


「う〜ん?今日紹介するパーティーメンバー

は全員で3人で内訳は男2人の女1人だぞ?」


「優しそうな人達だといいな〜」

果物水を飲みながらアレクがボヤいていると

背後から近づいてくる気配を感じ取る。


「おう、ルシア待たせてすまないな!」

パーティーのリーダーと思われる男性が

師匠に声を掛けてくる。


「別に、そんなに待ってないし1人でも

なかったから気にしないでもいいぞ」

普段通りに感じで師匠が応対する。


「おっ!そっちの坊主が噂のアレクか?

俺様はハンスよろしくな!」

リーダーとは違う軽そうな男性が話し掛けて

くる。


「あっ、はい。よろしくお願いします」

少し戸惑った感じに挨拶してしまうアレク。


すると後ろからアレクとハンスに割り込む

ように若い女性が現れる。

「ちょっと!いきなり、それはないでしょう?アレク君が戸惑ってるでしょうが!」


「挨拶なんて、こんなもんだろう?リタは

固過ぎるんだよ〜俺様みたいに自由に生きて

みろよ?な?」


「アタシは、固くないわ。真面目なだけよ」

不機嫌そうにリタと呼ばれた女性は

言い放つ。


「こら!お前ら!自己紹介もしないで

口喧嘩を始めるな……アレク君も困るだろ」

リーダーの男が、その場を諌める。


その後は、皆がテーブルにつき酒がくると

グラスを合わせて顔合わせが始まった。


「先程は、すまないな。ウチのパーティーは

優秀だがうるさいのが欠点でな……

改めて自己紹介させてもらうおう。

俺は、栄光グローリー・ソードのリーダー フベルド 戦士だ」


フベルドは30歳で身長180cmと大柄で

黒髪に黒目とあご髭が特徴の人だった。


「じゃあ、次は俺様だな!名前は ハンス

パーティーでは狩人担当だ。聞きたいこと

があれば遠慮なく聞きな?色々と

教えてやるせ?夜のみ……っあた!!」


後ろからリタさんに叩かれ、頭を抱える

ハンスはオレンジ髪に灰色の目。ハンサムで

身長170cmで25歳らしい。かなりのお調子者に見えた。


「最後だけど、アタシはリタ。魔法士だ。

一応、剣も使えるから覚えておいて」


リタは身長160cmの17歳、赤毛を三つ編みにして肩から下げていた。オレンジ色の瞳をしている。なんだかお姉さんっぽい雰囲気を感じた。


「Fランク冒険者見習いのアレクサンダー

です。アレクと呼んで下さい。一応は

狩人で剣を少々使えます。皆さん

よろしくお願いします!」

アレクは3人に、向かって一礼する。


「ああ、よろしくなアレク君」

頼りになりそうなフベルドさん。


「俺様が色々、教えてやるから安心しな!」

色々と心配なハンスさん。


「あんた……アレク君に変なこと教えたら

ぶっ飛ばすからね?アタシがしっかりと

教育してあげるから安心してね?アレク君」

面倒見が良さそうなリタさん。


三者三様の性格をした冒険者が、揃っていた。


「どうだ?中々に面白そうな顔ぶれだろう?

冒険者としての腕も良いし、ぼーやも

色々学べることも多いと思うぞ?」

上機嫌な師匠が、話しかけてくる。


「そうですね、戦士に狩人に魔法士と

師匠を入れてもバランスのいいパーティー

ですね!今度の旅では学ぶことが多そうで

楽しみです」

(本格的な冒険者としての旅は初めてだった

こともあり少し不安を感じていたけど……

このメンバーとなら、やっていそうかな?)


そんなことを考えているとフベルドさんが

アレクに話し掛けてくる。

「ルシアから、弓メインだと聞いているが、

剣の方も強いんだろ?大したものじゃないか」


「いえ、弓も剣術も未熟で今日も友人に

訓練で負けたばかりです。実戦での経験も

少ないですし……それにまだ人を相手に

したことはありません」

自然と声のトーンを落ち感情が出てしまう。


「そうか……人を相手にするのと魔物を

相手にするのでは何もかもが違うからな。

アレク君が思い悩むのも当然だ。

こればかりは、答えがある訳じゃないし

何が正しいかなんて分かりもしない。

ただ、楽な道を選ぶか辛い道を選ぶか

選択する時がくるかもな……」

人生の難しさを語るフベルドさんの顔には

推し量ることのできない想いがあるようだった。


そんな、重い雰囲気を変えるように

ハンスさんがアレクに近づいて肩を抱いてくる。

「かあー、リーダーは真面目だね〜

せっかくの休みなんだから、こんな時は

楽しまないと損でしょうが!なぁアレク?」


「そうですね、真面目な話も好きですが……

楽しい話は、もっと好きですよ?ハンスさん

は恋人はいるんですか?」

アレクも話に乗り話題を変える。


「おっ!攻めるねぇアレクは!俺様には

国中に恋人がいるのさ……なんたって

夜のスキルが絶好調だからな!」

酔っているのか唐突な下ネタをぶっこんで

くるハンスさんが質問を返してくる。


「それは、そうとアレクはどうなんだ?

恋人の1人もいるのか?っていうかアレの

経験はあるのかよ?」

下品な顔でハンスが問い詰めてくる。


「僕は恋人はいませんね。女の子の知り合い

はいますが雰囲気的にも、そうことになったりしませんから。アレの経験もまだですよ」

さらっと答えるアレクにハンスは驚く。


「アレクは、変わってるな〜アレクの歳の

やつに、この手の話をすると動揺したり

するんだが……やっぱり近くに美人が

いると余裕になるもんかね?」

ハンスさんが師匠の方を見ながら

こちらを見比べて聞いてくる。


「師匠は、例外でしょ?そういう目で

見たことはありませんね……ハンスさんは

師匠のことどうなんですか?」

お返しにハンスを問い詰めるアレク。


「ルシアさんは、ダメだな……俺じゃ

相手にならないわ。攻めても全然

動じないし、まるで山を相手にしてる

気分だよ」

降参のポーズをとりながらハンスが

言い放つ。


「ハンスさんでも、ダメなんですね〜

やはり師匠は別格なのか……」

何故か納得だと思っているとハンスとアレク

の視線に気付いたルシアが話し掛けてくる。


「ほう?人を酒の肴にするとは

いい度胸だな?ハンス今日は付き合って

もらうぞ?さあ飲め飲め!」


「あ〜〜、アレク助けてくれーー」

師匠に連れて行かれたハンスに合掌して

成仏するように祈っておく。


「ハンスさん、成仏して下さい……」


「やっと、うるさい奴がいなくなったわね。

どう?アレク楽しんでる?」

頬を少し赤らめリタが話し掛けてくる。


「はい、皆さんと色々な話ができて

楽しいです!あとはお酒が飲めれば最高ですね」


リタの顔を見ながら素直な感想を漏らす。


「それは、もう少し大人になってからね!

あのバカに影響されちゃダメよ?アレクには

まだ早いんだから……」

世話焼きのお姉さんのようにリタは話す。


「リタさんは、姉弟なんですか?

僕の扱いにも慣れたものを感じるんですけど……」

推測を確かめるように質問する。


「あら?分かる?アタシは長女でね

下に弟が3人いるの!悪ガキばっかりで!

アレクのように落ち着きがある子達だと

良かったんだけどね」

文句を言いながらも優しさを感じる声に

家族を大切にしていることがわかった。


「家族を大切なさってるんですね……

僕も少し両親のことを思い出します。

元気にしてるかな?父さん、母さん……」

(まだ1年くらいしか経ってないのに

寂しさを感じるなんて精神的に子供っぽさが

抜け切ってないな……いや、これが普通か)


「寂しくなっちゃった?まだ子供だものね。

当然よね……私だって長く離れていると

家族が恋しくなるもの」

からかうことなく共感してくれるリタ。


「早く立派な冒険者になって両親に

顔を見せに行きたいですね……」

まだまだ先が長そうな予定にアレクは内心

少しだけがっかりする。



この日の顔合わせでパーティーメンバーの

ことを徐々に理解できてきたアレクは

ルブルム王国に向けて旅立つことになる。





















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