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異世界やりこみドMプレイ〜持たざる者から始めます〜  作者: 塚木 仁
1章 【少年期 修行と検証の日々】
13/154

魔弓ケルベロスと親友

「あれは只の魔物などでなく

ケルベロスを素材に作られた逸品だ」


その言葉を聞いて1番最初に思い付いた

イメージは3つの頭の黒い犬だった。

「師匠、ケルベロスって3つの頭を持つ。

あのケルベロスですか?」


師匠は肯定するように頷く。

「ああ、3つの頭に竜の尾を持ち蛇の立髪に

漆黒の体をした巨大な獣。Sランクの魔物

であるあのケルベロスだ」

(あれ?俺が思ってたよりも大分違う?)


「【鑑定】では魔弓ケルベロスと名前が

あることが分かったのと毒と相性がいい

ことが分かったくらいだった」


「魔弓ケルベロス……毒と相性がいい……

まだ何かあるってことでしょうかね?」


「ああ、かなりクセの武器のようだな……

魔弓なんてもの私でも聞いたことがないし

そもそもSランクの素材で弓を作ること、

自体が理解できない」


「どういうことですか?師匠?」


「ケルベロスであれば、その素材は

余すことなく活用できる。毛皮を鎧にしたり

牙や爪を剣などの材料にしたりな。

それなのに、誰もが使えない弓を作った」


「誰もが使えない弓ですか?その言い方だと

普通に弓を引けないのは魔弓であることが

関係あるんでしょうか?」


「常識的に、考えて。いくら頑丈でも

弓の弦すら引けないなんて、おかしいだろ?

あの弓は、持ち主を選ぶのだろうな……」


「だとすると、【身体強化】を、使ってる

間は魔弓に認められてることになりますね」


「まだまだ、分からないことも多い……

詳しく魔弓について分かるまで私と一緒の

時以外は使用を控えた方がいいだろう」


(確かに師匠の言う通りにした方が良さそうだな。魂を引き換えに、強力な力を発揮するとか中二病みたいな設定だったら嫌だし)

「分かりました。使用は控えておきます」



武器、防具を揃えたアレクは次の日から

中止してもらっていた冒険者ギルドでの

訓練を再開してもらうことになる。


「あの〜セシリアさん、お久しぶりです。

今日は訓練に来たのですが……」


10日ぶりの訓練に少し緊張しながらも

ギルドの受付に向かうとセシリアさんが

俺の顔を見た途端、大きな声を出す。


「ちょっと!アレク君!もう大丈夫なの!?

本当に心配したんだからね!!」


あまりの剣幕にたじろいでいると

騒ぎを聞きつけたバルド教官が現れる。


「セシリア……そんなに大声を出しては

アレクも周りも驚いてしまうぞ?」

(バルド教官、ナイスタイミングっす!)


「セシリアさん、バルドさん、ご心配を

お掛けしました。お陰さまで、すっかり

元気になりました」

謝罪も兼ねて頭を下げるアレク。


「いいさ、アレクが元気になったなら

それ以上に言うことはないからな」

ニカッと笑うバルド教官。


「大声を出して申し訳ありませんでした。

私もアレク君が元気になったなら、それ以上

言うことはありません」

まだまだ文句はあるが、我慢してくれる

セシリアさん。

(本当にバルド教官がフォローしてくれた

おかげで助かった!)


「あはは……、すみません本当っ……」

ゴブリンなどの討伐報酬の件を受付で伝え

乾いた笑顔で、この場を去ろうとすると

バルド教官から訓練所で待っているように

言われた。


とぼとぼ、訓練所へ降りて行くと

カインも待機していたのか、こちらを

見つけると心配そうに近づいてきた。

「アレク、もう大丈夫なのか?前は派手に

吹っ飛んでて心配したぞ?」


美少年カインの意外な優しさに

感動しつつ、返事をする。

「すまないな、カインにも心配を掛けた!

この通り元気になったから今日は訓練を

再開しにきたって訳だよ」


「なら、良かった!お前がいなくなると

教官にボコボコにされるのが俺だけで

寂しいからな」


「いやいや、【身体強化】を習得した

僕は、もうボコボコにされないさ!

ボロ雑巾くらいにしかならない!」


「ふっ、それじゃあ大して変わらんだろう」


軽い冗談を交わす程に挨拶をしていると

お互いに教官が登場し、その場を離れる。


「アレク、まずは復帰おめでとう。

10日も間が空いたからケガの具合が

悪くなったのかとセシリアがずっと心配

していたから。後からフォローしてやれよ?」


「はい!了解いたしましたバルド教官!」

バルド教官の大人力に尊敬を覚えながら

訓練の話を続ける。


「前回は、剣術と体術は教えたと思うが

今回は盾術も一緒に教えていくぞ」


「はい、【身体強化】も覚えましたので

一緒に訓練してもいいですか?」

もちろん、【身体強化】は弱の方である。


「ああ、構わないぞ。使えるスキルがあれば

ガンガン使って慣らしておけ」


こうして、ギルド地下訓練所での修行は

開始され地道なスキル習得と熟練度を高める

日々が長く続くことになった。


アレクの朝は早い、5時に目を覚ますと

朝食の準備をしてから【魔力操作】をこなす。

朝食後は筋トレを行い身体を温める。


冒険者ギルドに向かう間に歩きながら

【気配探知】【魔力探知】を同時に使用する

訓練を行う。


ギルドに着くと、教官が来るまで訓練所で

走り込み・【投擲】・【弓術】の訓練を

済ましておく。ちなみに練習用の刃の潰れた

ナイフや練習用の弓と矢を使っているので

魔弓は封印中である。


教官が来ると剣術と体術の訓練を行い

お昼休みを挟んで実戦形式の模擬戦で

盾術を踏まえて訓練を行う。

訓練中に【歩行術】と【身体強化】の

使用も忘れない。


15時前にはギルドを離れ、行きと同じ

スキルの訓練を行いながら拠点に帰る。


拠点に帰ると家事と料理を作り

師匠の、帰りを待つ。


師匠と食事を取り魔法の授業を受け

風呂に入って【魔力操作】を訓練して

寝る。


このストイックな生活を週5日続け

休みの2日間は師匠ともに薬草採取や

錬金、基礎魔法の訓練を行っていた。


ハードな毎日だったがスキルの熟練度の向上を肌で感じることで成長を、確認し

強くなる楽しみを見つけられるようになっていた。



ギルドで訓練を始めてから1カ月が経とうと

していた頃、アレクは悩みを抱えていた。


今までは、スキル習得はイメージ力を活用

することで比較的早くできていたが……


前世で剣道や柔道や格闘技など武術に

興味がなかった為に明確なイメージが

持てず剣術と盾術と体術のスキル習得が

いまだにできていないでいた。


「こんなところで、持たざる者のペナルティ

を再確認することになるとは……」


訓練所の昼休憩中に壁に背を預け、俯き

ながら独り言を呟いていた。


「よう!どうした?元気がないじゃないか?

彼女にでも振られたか?」


美少年カインが、不思議に思ったのか

話し掛けてくる。


「彼女がいない僕に、その質問はダメージが

大き過ぎるから勘弁してくれ」


「それは、すまなかったな。で?何に

悩んでるんだアレク?」


カインとは、訓練を再開してから何度か

一緒になり。その度に少しずつ話すように

なっていた。

(カインから彼女の話とか珍しいな、コイツ

婚約者とかいそうだから変に聞き返すと

ダメージ受けそうで怖いんだよな)


カインに勝手なイメージを描きつつ

悩みを正直に話すかアレクは迷っていた。

何故ならカインはアレクより早く半月ほどで

【剣術】や【盾術】【体術】を習得したらしく今は得意な【槍術】を組み合わせた訓練を

教官と行っていたからだ。


簡単に言えば嫉妬と劣等感で素直に

カインにコツを聞くことができずにいた。

(我ながら、こんな精神状態になるなんて

情けないな……)


カインは、いい奴だ。最初は美少年だからと敬遠していたが俺が元気がない時も

今回のように話し掛けてくれる。

(思い切って正直に話してみるか!)


そう決心してカインに悩みを告白する。

「実はな、【剣術】【盾術】【体術】の

訓練が思った以上に上手くいかなくてな。

カインは、同い年なのに僕よりも先に

訓練を終えただろ?笑い話だがカインに

対して嫉妬したり勝手に劣等感を抱いて

訓練のコツを聞くのを躊躇してたんだ……」


俺の本音を、カインは真剣に聞いてくれて

いた。そして俺の横に腰を下すと語り始める。


「俺はな、アレクのことを尊敬してる。

同じ冒険者見習いなのに、驚くほど色々な

ことに挑戦して自分の力を高めている」


カインは、独り言のように話を続ける。

「アレクは、知らないかもしれないが

冒険者の間で結構な噂になっていてな……

強い精神力を持つ男の子で弓を操り錬金も

こなす。めちゃくちゃ怪力だとかの噂も。

バルドさんや受付のセシリアさん

薬屋のドロシーさん、武具店のグラウェさん

色々な人達が気に掛けている期待のルーキー

っていうのがアレクの評価なんだぜ?」


(そんな噂が流れてたのか……知らなかった)


「正直言って、同じ冒険者見習いとして

俺も嫉妬したさ。だから、せめて昔から

続けてきた武術だけは負けたくないと

思った。アレクが訓練を休んでいる間に

必死に訓練を積んでスキルも覚えたし

槍術にも磨きをかけた」


「カイン……」(そんな風にカインが考えて

いたことを、まったく気が付かなかった。

むしろ、俺のことなんて眼中にないと

思っていたのに……)


「けど、今日アレクが自分の気持ちを

俺に正直に話してくれた時に思ったんだ……

なんて、アレクは心が強いやつなんだってな。

俺がアレクだったら自分の感情を優先して

きっと弱みを見せずに取り繕っただろう」


そこでカインは、アレクに向き直り

視線を合わせる。

「だから、決めた!俺はアレクが

強くなれるように協力するぜ!ここまで

お互い正直になったんだから親友と言っても

いいだろう?」


「ありがとうカイン……僕のことをカインが

そんな風に考えていたなんて知らなかった。

僕はカインのこと勝手に敵視したことも

あるし酷いことを思ったこともある……

もし、それでも許してもらえるなら……

僕の親友になってほしい!」

アレクは立ち上がりカインに向かって手

を差し伸べる。


「今までのことは、お互い様だ、

今日から俺とアレクは親友だからな」

カインもアレクの手を掴み立ち上がった。


こうして俺は、この世界で初めての親友と

共に歩き出すことになった。


それから、俺達はお互いの事について

色々と話すこととなる。


俺は、村で生まれたことから

師匠と出会い王都に来て冒険者見習いに

なったことや最近の訓練所で吹き飛んだこと。


カインは、元々貴族の家に生まれ槍術を

習い。家庭の事情で家を飛び出し

冒険者になろうとしていることなど。


お互い全てを話した訳ではなかったが

人は誰でも触れられたくない事の

1つや2つあるものだと思えたし

聞かれれば答えようと考えたが……

お互いにそうしようとはしなかった。


「アレクは、【剣術】【盾術】【体術】の

コツを知りたいみたいだけど?それは具体的には何のコツを知りたいんだい?」


「うーん、具体的にって言われると困るんだけど……実際にやっても正しい動きとかの

イメージが分からないからスキルの習得が

遅いと思うんだ」


「自分が、どう動けばいいか。相手の行動に

対しての自分の行動のイメージか……

じゃあ、実際に戦ってるところを見せて

もらったらどうかな?」


「どういうこと?っていうか誰に見せて

もらうんだ?」

アレクは見せてもらう人が思いつかずに

素直に問いかける。


「俺の教官とアレクの教官が戦うところを

見せてもらうんだよ!武術だと

見取り稽古って言って、見て技術を盗む

稽古のことをそう呼ぶんだ」


(それなら、動きのイメージが湧くし

勉強になるし助かるな)

「それなら、イメージしやすそうだ!

早速、教官達がきたらお願いしてみよう!」


「ああ、こっちの教官にも話すから

今日は見取り稽古と、その動きの模倣もほうを目的に訓練してみようぜ!」


その日、バルド教官とカインの教官に

お願いし片手剣と盾を使った模擬戦を

何度も見せてもらい。その動きを

模倣もほうするように習得していく。


自分でも、驚く程に技術を吸収でき

教官達もカインも模擬戦を繰り返すたびに

俺の成長を感じたようで大変驚いた顔を

していた。


訓練後、カインは予定がないとのこと

だったので拠点に招待して助言のお礼と

して夕飯を振る舞った。

(まぁ、俺の料理だから大したことない

普通な内容だったけどね)


カインに師匠を紹介すると、2人で住んで

いることを驚いていた。

「こんな綺麗な人と、2人きりとなると

アレクも大変じゃないのか?」なんてことを

小声で聞かれたが相手が師匠なので

冷たい目で「死んでも何もないから」と

返答しておいた。


こうして、楽しい時間は過ぎていき。

成長できる喜びを滾らせながら1日を終えた。


「明日から、もっともっと強くなる……」

なぜか、その時にカインと一緒に冒険者を

している光景が思い浮かぶ

「あいつとなら、世界を回る冒険も

楽しいかもな……いつかは、それも」


そんな独り言も、やがては寝息に変わり

静かに夜は更けていった。























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