天地無用
【天上界】
天界とも言う。
神と天使が住まう世界。
限られた一部の者しか、その姿を見ることがないと言われている神。
俗に言う『神様』である。
そして、その大半を占めているのは、穢れなき天使達。
白き翅を身にまとい、大胆に拡げ、大空を舞う。
そのほとんどが金髪碧眼の美しい姿をしている。
一片の曇りもない、身も心も自由な世界。
但しーー
【堕天使】
天使が混沌へと堕ちた成れの果ての姿。
天界からの皮肉で出来た童謡がある。
その背中にもはや翅などない。
真っ黒に染まった黒髪と、漆黒にくすんだ瞳。
そして、堕ちる時の反動か、とてつもない身体能力を身に付けると言われている。
堕天使になる条件はたった二つ。
自分から堕ちるか、他人に堕とされるか。
堕ちた先がどこなのか、それは誰も知らない。
但しーー
【下界】
主に人間が大半を占める世界。
その他には動物、魔獣、そして世界の発展が生んだ自律型自動歩兵。
魔法、などと言う技術を遣う者は、既にこの世界から消え失せた。
魔女狩りのせいだ。
世界の王は自らの地位を脅かす存在として、ある時一斉に狩り始めたのだ。
子供も年寄りも女も何も問わず。
数十年の時を経て、その家系も血筋もいなくなり、そこから世界は一変した。
おかげで魔獣の姿を見ることも少なくなった。
本能だろう。
彼らは人間から隠れるようにひっそりと、だが確実に数は年々減ってきていた。
武器と科学が支配する世界。
但しーー
【自律型自動歩兵】
自らの意思を持って行動する人型機械。
人類が生んだ最高傑作となる。
どこでプログラミングされたのか、不思議と人は襲わないようになっている。
街の平和と秩序を守り、或いは人々に知識を提供するとして、長い年月人類の中に溶け込んでいた。
だが、ここ数年、勝手に暴走する自動歩兵が増えてきていた。
それも爆発的に。
それらは全て『半自律型自動歩兵』と呼ばれている。
この暴動に伴い、武器の開発も早々に進められた。
剣では太刀打ち出来ない為、銃器が開発されていったのだ。
だが。
彼らは知らない。
『半自律型自動歩兵』とは即ちーー誰かが意図的にプログラムを改変した人型機械であると。
但しーー
それらは全て輪廻を繰り返し、転生するものである。
例 外 な く 。




