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第92話 校内散歩していたら、変な遺跡を発見した

 集会場からみんな出て行ったので、ぼっちであるよ。

 現在三時。

 うーん、お風呂かなあ。


 考えがまとまらないのでとりあえず集会場の外に出よう。

 施錠して外へ。


 王都の春は暖かくてうららかだ。

 長かった冬を投げ捨てるように、都民は春を喜ぶのだ。


 学園内は緑が多い。

 特に北西側はうっそうと茂った森になっている。

 森の中には小道があって、散歩ができるようになっているな。


 フィトンチッドを胸いっぱいに吸い込みながら森の中を歩く。

 王都内なので、さすがに魔物はいないが、リスとか、ウサギとかが居て、私を見て逃げていく。

 やあ、森の中の散歩はせいせいして良いなあ。


 ひゅうと風が吹き、ざわざわと森が騒ぐ。


 森の奥に廃墟があった。

 なんだろうか。

 ちょっと行ってみよう。


 近寄ると、なんだか教会の跡のようだ。


「学園の礼拝堂跡ですね」


 ダルシーが現れて、答えた。


「なんで、廃墟になってるの?」

「誰も手入れをしなかったからでしょう」


 なんと罰当たりな。

 学園内の礼拝堂に予算が付かなかったんだな。

 どれくらいの間ひっそりとここにあったのだろうか。

 石が苔むしている。

 ひょっとすると、学園よりも歴史が古いのかな?

 こんどアンソニー先生にでも聞いてみよう。


 廃屋の中に入ると、コケの良い匂いがする。

 奥には朽ちたステンドグラスの前に、女神さまの像がある。


 苔むしてんなあ。

 趣はあるけど、あんまりでもある。

 掃除をしてさしあげたい所だが、けっこうでかい像なので道具が無い。

 今度エルマーでも連れてきて、水を掛けてもらおうかな。


 私はひざまずき、両手を組み合わせてお祈りをする。


――まあ、後でなんとかするので、今は我慢してくださいな。


 ゴゴゴゴゴゴゴ。


 なんぞっ!!


 女神像の足下のブロックの一面が下にずれ、階段が出てきおった!!


「……」

「……マコトさま、危険ですので入ろうとしないでください」

「えー、だって隠し階段だよっ、私の魔力に反応したんだよ、入らないとっ」

「危険ですから」


 うるせいっ、ダルシー。

 お前の主人は隠し階段があったらすぐ入ってしまう人間なんだっ。

 という訳で隠し階段に入る。

 ダルシーも渋い顔をしながら後に続く。


 かなり古い遺跡だなあ。

 百年? 二百年?


 階段を降りると広めの廊下があって、大きいドアに続いていた。

 特にモンスターとかは居ないので、ダンジョンという訳ではなさそう。


『ライト』


 隠し階段から差し込む光が弱くなり暗くなって来たのでライトを詠唱。

 ふわりとライトの光球が移動し、壁に付けられた金具に吸い込まれ、左右の金具に光が灯った。


「光魔法の神殿?」

「そういえば、魔法学園が出来る前のここは、ビアンカ様の邸宅があったと聞きます」

「おおお、ビアンカさまの神殿なの? なにか金目の物がありそうっ」

「マコトさま……」


 なんだよう、がっかりした顔をするなよう。

 私なんか、下手をすればビアンカ様以下の俗物なんだぜ。

 処刑されないように、行動に気をつけよう。


 奥の大きな扉はがっちりと鍵が掛かっていた。

 手のひら大のプレートがある。

 これは、接触型の錠前かな。


 プレートに手を置く。

 何もおこらない。

 もしやと、光の魔力を手にまとわせてみる。

 ゴゴゴゴゴと、ドアが左右に開いた。

 おー、なんと大仕掛けな。


 部屋の中はほこりも積もっていない、綺麗な部屋だった。

 目の前の祭壇に水晶球と日本刀が置いてある。

 日本刀?


 水晶球がなんだか魔力判定式を思い出させるような物だったので、うっかり触ってしまった。

 魔力が吸い出されていく。


 ジリジリジリと雑音がしたと思ったら、綺麗な中年の女性の像が中空に浮かび上がった。


『あー、あー聞こえますかっ、あなたの脳内に直接呼びかけて、はいませんが、恐ろしく遠い過去から、マコトちゃんへメッセージですー、あ、私はビアンカー』


「……」

「……」


『いぶかしく思うだろうけど、光魔法の時空間操作で予知とかしてまーす、やり方は教えませーん、自分であみだしてねーっ』


「……」

「……」


『これから色々辛いこと大変な事があると思うから、先輩聖女の私からプレゼントだよー、蓬莱で作った光魔法の触媒機能付きの小太刀だよー。がんばってなんとかしてちょ』


 ものすごく軽いな、ビアンカ様。

 わがまま放題で処刑されたと聞くから、もっとキツい人を想像していたのだが。

 映像の中のビアンカさまは、軽く手を振って消えた。


「……小太刀かあ」

「二刀流になりますね」


 意外にユニコーン短剣も腰に差していると邪魔なんですけどね。


 小太刀を手に取った。

 思ったよりも軽いな。

 鯉口を切って抜く。

 ふわああ、二百年ここに放置してあったとは思えないぐらいの綺麗さだな。


 光の魔力を柄に流して見る。

 ほわりと、白く刀身が光る。


『ライト』


 光球がふわりと離れる。

 おお、二倍ぐらいの光量になるぞ、これは便利。


 小太刀の使い方を覚えないと。

 コイシちゃんに教えて貰おうかな。


 とりあえず、ビアンカさま、小太刀、ごっつあんです。


 しかし、光の時空間魔法で予知?

 どうやるんだろうという疑問もあるが、予知できてたなら、ビアンカさまはなんで処刑されたんだろう。

 逃げればよかったのになあ。

 疑問がわくなあ。


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― 新着の感想 ―
[良い点]  おおっ ここに来て急展開! 歴史に裏があるのワクワクしますね!
[一言] 出奔したか隠遁でもしたのかね
[良い点] ビアンカーさん、案外に軽いですねw しかし予知魔法が存在するか、なら我儘の所為で処刑されたという説法は本気に怪しいかも。
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