第1585話 オルブライト領城で薬膳晩餐
子供とアダベルを引き連れて領城へと戻る。
ヒューイさんは勝手に厩舎に戻って行った。
相変わらず手間いらず騎獣だな。
領城の三階にリビングがあって、ソファーに座ってくつろぐ。
子供達は床に寝転んだり、窓から街を眺めたり、したい放題であるな。
私はお茶を飲みながらルーベラっぽいクッキーをカリカリ食べる。
アダベルもソファーでふん反り返ってルーベラをひとつかみとってバリバリとかみ砕いた。
「この城はアイアンリンドより居心地がいいな」
「そう? 曾祖父の代に作られたお城なのよ」
「その頃から錬金薬の領なの?」
「そうね、錬金薬というよりも、市販薬の領ね、錬金薬は父と母の代で築き上げたのよ」
「カロルの父ちゃんは?」
「北海大迷宮にいるわね、プラチナ冒険者で滅多に帰ってこないわ」
カロルのお父さんはネグクレトというか、まあ、ほっぽり出しているのだなあ。
お母さんは錬金術師でオルブライト商会を発展させたようだ。
「カロルも複雑な家庭だな」
「まあ、そうね」
カロルはアダベルに笑いかけた。
「晩餐の前にお風呂に入ろうか」
「お、領城にお風呂あるの」
「ええ、地階に大きい浴場があるわよ」
「お風呂は助かる」
巡礼してるとお風呂が無い教会も多いからね。
旅の汚れをお風呂で落とそう。
カロルと子供とアダベルと一緒に階段を下りて領城の浴場へと入る。
重厚な石造りの浴室で、高い所に明かり取りの小窓がある。
浴槽も大きくて、お湯が張られているね。
魔導ボイラーの沸かし湯っぽいな。
脱衣所で服を脱ぎ籠にいれる。
子供の服も脱がしてあげる。
浴室に入り、かけ湯をして、湯舟に入った。
おお、なかなか良い湯だな。
明かり取りからの光だけではたりなくて、魔導灯が点っている。
子供達もお風呂に入って騒いでいる。
アダベルは泳ぎ始めた。
みんなで入るお風呂は良いね。
洗い場に出るとダルシーが現れて背中を流し、髪の毛をあらってくれた。
「ああ、ダルシーに洗って貰うのも久しぶりだわ」
「なかなか、姉妹だとお世話は難しかったですね」
「ダリアお姉ちゃんも大好きだったけどね」
「あ、ありがとうございます」
ダルシーは真っ赤になって挙動不審である。
髪の毛も洗って貰って官能的だね。
湯舟に戻ると、ダルシーはそのまま、子供達を洗い始めた。
「ああ、安らぐなあ」
「巡礼の旅は大変そうよね」
「いろいろ不便でねえ、収納袋のジュースとか干し肉とか出せなくてね」
「いろいろ大変だったわね」
「苦労した分、道の思い出をくっきりと思い出せるよ」
「いいわね」
来年はカロルとコリンナちゃんと一緒に巡礼するかな。
北回りで。
巡礼はなかなか楽しいからね。
いろいろな教会に泊まれて面白いしね。
お風呂に入ってさっぱりしたので脱衣所に出て、バスタオルで水気を拭いて、ドライヤーをダルシーに掛けて貰う。
モイーンモイーン。
子供達も脱衣所で体を拭いて、服を着て、アンヌさんにドライヤーを掛けてもらっていた。
「オルブライト領城のお風呂はいいなっ」
「ありがとうアダベル」
どやどやとみんなで階段を上がり、リビングルームでのんびりする。
窓から見える山塊の稜線に日が沈んでいく。
窓際に行くと眼下にファルンガルド大聖堂が見えた。
巡礼団のみんなはそろそろ晩ご飯かな。
ちょっと寂しい感じもするね。
晩餐ができたと家令さんが報告に来た。
みんなでダイニングホールへ移動する。
「お、おお……、薬膳?」
「ええ、オルブライト領だから」
「そ、そう」
まあ、結構美味しいから良いけどね。
野菜中心だけど、肉とかお魚もちゃんとあるし。
「菜っ葉多い」
「体にいいのよ、アダちゃん」
「ぐぬぬ」
カロルと向かい合って座った。
メイドさんが食前酒を勧めてくれた。
なんかの薬酒らしい。
ちょっと口を付ける。
うん、ジンだな、意外に強い、薬草が漬けられていたのか不思議な後口だな。
菜っ葉のスープに、お魚の香草焼き、豚肉の薬草包み、ハーブサラダ、白パンであった。
結構美味しいな。
まあ、子供達には少々不評みたいだが。
「うん、美味しいね」
「良かった、薬膳は人気が無いから」
「意外に薬草包みの豚が美味い、おかわり」
「かしこまりました」
アダベルはお肉好きだな。
「私はお魚が好きだな」
「おかわりする?」
「いや、豚さんもあるし、良いよ」
結構お腹いっぱいになるしね。
あと菜っ葉のスープの菜っ葉が結構多い。
やっぱり子供はお魚を残すなあ。
お肉が好きか。
食事が大体終わるとデザートとお茶が出て来た。
「ケーキケーキ!」
「城下の甘味屋さんのよ」
「これは美味しい」
明日、寄ってキンボール家にお土産として買おう。
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