第1580話 大聖堂でお昼ご飯
カロルと一緒にファルンガルド大聖堂をうろうろする。
マメちゃんも一緒だ。
ファルンガルド大聖堂はアップルトン四大大聖堂の一つで、なかなか格が高くて素晴らしい大聖堂だ。
煌びやかなステンドグラスと昔の巨匠が作った女神像がご自慢であるな。
善男善女がアップルトン全土から巡礼参拝に訪れているな。
あと、境内でヴィヴィアンヌ巡礼団の尼さん達ともすれ違う。
「アントニアさんはどうしたの、人が代わったみたい、マコトが改心させたの?」
「まさか、この旅で愛する人が出来て、失って、心が成長したんだよ」
「まあ」
カロルは花のように笑った。
アントンの逸話が気に入ったようだ。
「マコトのまわりには愛を知って心が柔らかくなる嫌われ者の人が多いわね」
「そんなには居ないし、ハゲは改心しねえ」
「まあ、あの人はまあ、しょうがないわよね」
「ハゲはしょうがねえ」
ああ、ロデムちゃんを愛して丸くなった命令さんもいたなあ。
カロルとひっついて大聖堂をまわると、学園に居る感じで良いね。
やっぱ、カロルとはペタペタしないとね。
「一緒にお昼食べる?」
「うん」
カロルに片手を取られながら食堂へと向かった。
ヴィヴィアンヌ巡礼団の人達はテーブルに着いていたので、すまんすまんと謝りながら席に着いた。
「あら、カロリーヌさま。巡礼の皆さんと、ご一緒しますか」
「はい、同じ物を頂けますか」
若い助祭さんがうなずいた。
「はい、かまいませんよ、御領主代行さま」
「ありがとうございます」
カロルはエレガントだなあ。
マメちゃんはカロルの膝の上で大人しくしている。
ランチプレートが運ばれてきた。
メニューは、マメのシチュー、ポークチャップ、キャベツサラダ、黒パンだった。
わりと質素な感じだけど、見た目が綺麗で美味しそうだ。
「日々の粮を女神に感謝します」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
ヴィヴィアンヌさまの号令で昼食は始まった。
パクリ。
おお、なかなか美味しい。
質素だけど手堅く美味しく作っているな。
「ファルンガルド大聖堂のコックさんは、名店で修行してから神父さんになった人がやっているから美味しいのよ」
「おお、そうなんだ、たしかに美味しいね」
プロの仕業でしたか。
教会関係の調理人は前歴がいろいろで水準もいろいろだね。
アントンはミラナを思っているのか、悲しそうな顔でもそもそ食べているね。
ご飯を食べ終えて、食後のお茶を飲む。
「マリーはここで巡礼団から離脱かえ?」
「そう、私とお姉ちゃんはここでヴィヴィアンヌ巡礼団から脱退しますよ」
「名残惜しいですね。我々は大聖堂で一泊して北回りで王都に帰還しますよ」
ヴィヴィアンヌさまは微笑んで、そう言った。
「巡礼はまだまだ続くのね」
「はい、アントニアさん、王都に着くまでが巡礼です」
「北回りにも良い教会は沢山あるでな、スタンプ集めをして歩きなよ」
「はい……」
アントンの旅はまだまだ続くのだな。
王都まで戻ったら、おばちゃん尼さん(元売女)の教会に行くのか。
おばちゃんは良い人だから、きっと教会も良い所だろう。
森の中で静かな生活をして信仰者としての人生を暮らすんだ。
私は立ち上がった。
「二週間の短い間ですが、楽しい巡礼の旅でした、皆さんの色々なご親切はわすれません。大神殿で姿を見かけたら、お気軽にお声を掛けてくださいね」
巡礼団のみんなが拍手をしてくれた。
なんかあったら、いろいろと仕事をおねがいしたいね。
マルトさんはホルボス教会に合唱団長として来てくれないかな。
「いやまあ、大神殿で聖女さまには気軽にはねえ」
「ダルシーさんにも恐れ多いねえ」
そんな事はないんだけどなあ。
私はカロルを連れて食堂を出た。
《出してくれ~》
そうだね、ヒューイも連れて行こうか。
私は厩舎に行き、ヒューイに鞍を置いた。
クリスティーナがちょっと寂しそうな顔をしているね。
「ありがとう、クリスティーナ、また大神殿で会ったらお世話してあげるからね」
「ひひーん」
クリスティーナは答えた。
老馬だから人間の言葉が何となくわかるのかな。
厩舎の外で、変身の鏡を握り、元の姿に戻った。
ヒューイも戻し、ダルシーにも鏡を渡して、いつもの姿に戻ってもらった。
というか、巡礼尼さん服のダルシーは目に新しい。
「メイド服に着替えてまいります」
「わかった、じゃあ、大聖堂を参拝してるよ」
「行ってきます」
カロルがいるから、アンヌさんも隠行しているんだろうな。
「うん、マリーも可愛いけど、マコトはその姿が素敵ね」
「ありがとう、うひひ」
カロルに褒められると照れるぜ。
この姿だと、すれ違う坊さんとか尼さんがぎょっとした顔をするな。
さすがは大聖堂、みんな聖女の顔を知っているっぽい。
まあ、御領主代行と一緒に参拝してるから絡んで来るような坊さん尼さんは居ないっぽいね。
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