第1582話 オルブライト領城探訪
ファルンガルド大聖堂を味わい尽くした、ので、カロルのお家、オルブライト領城にお邪魔することにした。
私の後ろにカロルを乗せて、ファルンガルド中央通りに出てヒューイをシタシタと走らせる。
真っ白な竜馬はやっぱり目立つね。
「おお、聖女さまだ、巡礼服が清楚だのう」
「我らが御領主代行さまも乗っているわね、仲良しね」
「魔法学園でご学友らしい、なんとも可愛らしいお二人だな」
街の人達が噂しているぜ。
照れくさいぜ。
《見られているな、派手に飛んではどうか》
「飛ぼうか、ヒューイ!」
《飛ぼう飛ぼう》
巡礼中は荷物を積んで歩かせていただけだったからな、たまには派手に飛ばせてあげよう。
ヒューイがバッサバッサと羽ばたき始める。
路上の埃が巻き上げられて少々煙い中、彼は宙に飛び上がった。
わあ、やっぱり空からの街は綺麗だな。
うん、遠くアイアンリンド城も見えるね。
「カロル、領城は空中から入れる?」
「昔、使われていた飛空艇の発着台があるわ、そこにつけてちょうだいね」
「了解」
収納袋からゴーグルを出してつけた、カロルにも渡した。
ゴーグルをつけると風が目を刺激しなくて良いね。
ヒューイはオルブライト領城をくるりと一回りして、塔に付けられた着陸台の上に乗った。
「立派なお城ね」
「すごいでしょ。歴史もあるのよ」
そうだろうなあ、重厚な感じのお城で、成金が作った安っぽさは微塵も無かった。
腕の良い建築家が潤沢な資金で実直に作った一流のお城だな。
カロルがヒューイから下りた。
私も下りる。
「はい、ありがとう」
カロルがゴーグルを外して渡してきたので、受け取って収納袋に入れた。
塔の発着場からは、ファルンガルドと田園風景の広がりが見えた。
ああ、綺麗だなあ。
お金が潤沢にある領特有の景色の綺麗さがある。
街道や町並みが良い感じに整備されて住みやすそうだ。
さすがは、アップルトンで一番住みたい街ナンバーワンであるよ。
「これはこれはカロリーヌさま、このような場所に」
「ああ、フリオ、お客様よ、聖女マコト」
「ああ、これはご尊顔を拝したてまつり光栄でございます、聖女さまが魔法学園でカロリーヌさまと仲良くしていただいている事は風の噂で聞き及んでおりまして、まことに嬉しく感じておりまする」
フリオさんは家令さんかな、中年で朴訥そうで、良い人っぽいね。
「初めまして、マコト・キンボールです。王都ではカロルに本当に仲良くしてもらっていて、今回は呼ばれてないのに、巡礼団に混ざって、王都から歩いてきました」
「おお、それはそれは、ご苦労をなされましたね」
「マコトは今晩領城で泊まるから、寝室の用意と晩餐をおねがいね」
「はい、かしこまりました」
私はヒューイの手綱を持った。
「フリオさん、厩舎はどこかしら」
「はい、領城の裏ですよ、階段がございます、ご案内いたしますよ」
「私が案内をするわ、あなたは歓迎の準備をおねがいね」
「かしこまりました」
カロルは発着場の端にある階段に誘った。
私はヒューイを引いて階段を降りて行く。
大きいお城だなあ。
階段を下りて領城の裏に行くと大きい厩舎があって、騎士団の連中が馬の世話をしていた。
「お、御領主代行、なんですか、この凄い竜馬は、聖女さまの騎獣といっても不思議ではないですな」
「聖女マコトの騎獣のヒューイよ」
「こんちわー」
「わ、確かに聖女さま! 絵姿のそのままですね。いらっしゃいませオルブライト領へ」
「騎士団長のマルコよ」
「お見知りおきくださいませ」
「若いイケメンの人は?」
「ああ、カルロね、彼は副騎士団長よ」
「昨日はカルロたちとお知り合いになられたようですな」
「ヒューイを預けたいのだけど」
「かしこまりました」
馬丁さんが現れてヒューイを馬房に連れていった。
《のんびりするぜ》
「二週間の徒歩旅ありがとうね」
《気にするな、楽しかった》
ヒューイは良い子だなあ。
厩舎から出ると、騎士団の練兵場であった。
お城の裏側で訓練させているみたいだね。
なんだか、精鋭揃いで水準が高い騎士団だな。
伯爵領水準じゃないぞ。
「マコト、こっちこっち、庭園でお茶をのみましょう」
「わあ、良いね」
カロルの案内で、色とりどりのお花が咲いた庭園を歩き、東屋で一休みである。
アンヌさんがお茶ワゴンを引いてきて、入れてくれた。
カプカプと飲む。
おお、さすがにアンヌさんのお茶は美味いな。
「カロルは二週間何してたの」
「……仕事。四ヶ月書類が溜まると酷いわね」
「あちゃあ」
まあ、御領主代行でないと決済できない書類なども多いだろうしね。
「ちょっと書類で体が鈍ったから、隣領の人の陰謀にのって暴れようと思ったら、マコトが来たのでびっくりしたわ」
「ああ、判って来たんだ」
「さすがに、陰謀が雑すぎたから、晩餐会を脱出して、騎士団を突入させるだけの仕事、と思ったら、関係の無い尼さん巡礼団と楽士さんたちを始末するとか言い出すから困っちゃったわ」
「馬鹿の人は何をするか判らないから困るよね」
「本当にねえ」
私たちはお茶を飲みながら笑い合った。
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