第1565話 歩いて歩いてアイアンリンド城に入る
杖に焼き印を押して貰い、教会に入った。
ミラナは食堂に戻ったようだ。
おしゃべりでもするのかな。
教会の礼拝堂に入り、ダルシーと一緒に女神像にお参りする。
――無事に一行がアイアンリンド城に入れますように
アイアンリンドまでは大丈夫よ。
と、聞こえたような気がするが、気のせいであろう。
巡礼団の修道女さんもお参りしているね。
私たちは厩舎に入った。
ダルシーと一緒にヒューイとクリスティーナに荷物を積んでいく。
マメちゃんが駆け回っているな。
《午後も歩きだな》
「そうね、がんばろう」
《飛びたくて、羽がうずうずする》
「帰ったら一杯飛ぼうね」
《わかった》
ヒューイはお利口さんだな。
ダルシーと一緒に、ヒューイとクリスティーナを引いて教会の出入り口へと行く。
巡礼団はもう隊列を組んでいて、私たちが後に付くとゆっくりと歩き始めた。
やっぱ、夏の街道は暑いわ。
汗がガンガン出るね。
お水もガブガブ飲むので、水場での水の補充が欠かせない。
のんびりとほこりっぽい街道の上を歩く。
午後になって陽炎が立ってゆらゆらして、逃げ水も見えるね。
逃げ水を割るように荷馬車が近づいてくる。
歩く歩く歩く。
一時間に一回ぐらいに休憩を取る。
水を汲んだり、お菓子を食べたり。
近くに牧場があるのか、牛くさい匂いがするね。
ンモーと声もする。
売店で牛乳も売っていたので飲む。
うまいうまい。
ぷはーっ。
「いいな、牛乳、おばちゃん、私にも」
「私もいただきますわ」
真似すんな、二人とも。
ミラナもアントンも牛乳瓶を一気飲みして、白い髭を付けてプハアと息を吐く。
牧場からの絞りたてみたいで、濃くて美味しいね。
街道街の中央、石畳の道を行く。
ここは何の街かな。
「お、革細工の街か」
「色んな物がありますわね」
軒先に、ベルトとか、鞍とかが並べられていた。
皮をなめす変な匂いが漂うね。
革細工の街を抜けると坂道になっていて、丸い盆地の街が広がっていた。
おお、クレーターかな。
色々な街があって楽しいなあ。
遠くの山に、大きな街が見えてきた。
「アイアンリンド城だよ」
「でっかいなあ」
「ブロウライト辺境伯のお城ですわね」
でかい街なので、見えても中々近づいてこない。
《おお、行った事のある城》
セージ君はいるかな。
と、思ったら、緑色のワイバーンが空から羽ばたきながら降りて来て、アイアンリンド城の中に消えて行った。
「おおー、ドラゴン」
「ワイバーンですわ、アイアンリンドの守護竜になったセージさまですね」
アントンはよく知ってるなあ。
「でっかい竜はすげえなあっ」
ミラナはワイバーンを初めて見るのか。
大悪魔だったのに。
しかし、飛空艇で来たときよりもずっと、街の解像度があがるねえ。
徒歩旅はすごいや。
つづら折を登って行き、通関をして、我々はアイアンリンド城に入った。
アイアンリンドは巨大な城塞都市でなかなかがっちりした感じだな。
お、カーチス兄ちゃんとエルザさんが馬に乗って北門からやってきた。
野鳥を馬に吊しているから狩りでも行って来たかな。
カーチス兄ちゃんは私たちを見ると眉を上げてにっこりと笑った。
「なんか最近尼さんに優しくなるよな」
「領袖を思い起こさせますものね」
にゃろー、領袖はここだー!
と言いたいが、言わない。
「辺境伯のお坊ちゃん閣下と許嫁だねえ」
「結構イケメンだな。お、背中に、え、ホウズかあれ?」
「良くわかりますわね、聖剣を借りているらしいですわよ」
「まじかー、えー、許嫁の人の腰に、リジンかあ!」
ミラナは聖剣に詳しいな。
昔に見たのかな。
「あの二人は聖女さまのお友達だからね」
「教会から借りたらしいよ」
「そんな、すげえなあ」
「伝説的な聖剣を私物化して、いけませんわっ」
「いいじゃん凄い剣なんだし」
聖剣は自我あるからね。
宝物庫に入れとくと可哀想だし。
私たちは隊列を組んで、アイアンリンド教会へと入る。
わ、狂信者のリンドン師が出迎えてくれたぞ。
というか、普段は好々爺な感じだね。
「よくいらっしゃったね、ヴィヴィアンヌ師、聖女様はどうだい?」
「王都でご機嫌良く過ごしていらっしゃいますわよ、リンデン師」
ちらちら私を見るのをやめてください、ヴィヴィアンヌさま。
「そうかいそうかい、それは何よりだね。ああ、私も何とか一目聖女様を見て、お話などしてみたいものだねえ」
「おいちゃん、聖女さま好きなのか」
ミラナは口の利き方をしらねえ。
「そうだとも、本当にあのお方は素晴らしい方だ。属性識別式の時からずっと気を付けて見ているが、日に日に可愛らしく愛らしくおなりで、私はもう、本当にたまらんのだ」
うん、リンデン師、きしょい。
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