第1564話 クリアタ宿センゲン教会でランチをいただく
大型吊り橋で渓谷を越えると、あとはまっすぐの広い道がのんべんだらりと続いていくね。
歩きやすいが眺望は山道の方が良いな。
まあ、一日歩けばアイアンリンドだ。
カーチス兄ちゃんには会えるかな?
メリッサさんには会えたけどな。
空の高くを鳶っぽい鳥が飛んでいた。
ピューイイイと鳴き声も微かに聞こえるね。
「鳥だあ、自由って感じだなあ」
「そうですわねえ」
罪人コンビがしみじみと言いながら鳶を見ていた。
おっと、香炉番が回ってきた。
御詠歌を歌いながら香炉を振って歩く。
お香は良い匂いだから好きなんだよねー。
しばらく歩いて、宿場街の馬車の駐車場で一休み。
売店もあるな。
どれどれ。
「おばちゃん、これは?」
「焦がし飴だよ。おいしいよ」
一個貰って舐めてみた。
なんだろ、はったい粉の飴かな?
面白いので買おう。
「おばちゃん、一袋ください」
「まいどあり」
ミラナとアントンが物欲しそうな目でこっちを見ていた。
「自分でも買いなさいよ、稼いだんでしょ」
「味が判らないので、冒険が出来ない」
「不味かったら悲しいじゃあありませんか」
ミラナとアントンにこがし飴を一個ずつやった。
「! あんまり甘く無いけど、美味い」
「大人しい甘さですわね、でも美味しいわ」
「甘く無いけどカロリーは高いっぽいよ」
「カロリー?」
「カロリー?」
ああ、まだカロリーは考えられてないか。
中世だしな。
「ま、甘く無い分、元気の素が沢山、体に入るって事よ」
「いいね、それ」
「買うべきですわね」
二人は連れだって売店に行き、こがし飴を買って大事そうに鞄に入れた。
私も一個口に放り込んでから鞄に入れた。
意外に後引く味だな。
あんまり偽フランスっぽくない飴だなあ。
転生者が持ち込んだかな。
デンプンから作る粉糖だから砂糖よりも安いのだ。
っても、この世界、砂糖出す迷宮があるから砂糖安いんだけどね。
どこの国も砂糖プランテーションもやって無いのに、それと同じぐらいの量が流通しているからな。
いちどみんなで砂糖ダンジョンに行って砂糖狩りしようかな。
口の中でホロホロの甘さの飴をコロコロ舐めながら再び歩く。
ダルシーにも、ヒューイにもこがし飴をあげる。
《甘くてうまい》
ドラゴンの舌は人間と同じ感じなのかね?
アダベルも普通に人間の食事を美味い美味いと食べるしな。
ここら辺はアイアンリンドに向かう高原の街道だ。
わりと平べったい。
一時間ぐらい歩くと、宿場街があって、食べ物屋や売店があるね。
街道をわっせわっせと御詠歌に乗って歩いて行くと、途中の宿場街の教会に巡礼団は入って行った。
ここが昼食の場所、クリアタ宿のセンゲン教会らしい。
私はヒューイとクリスティーナを連れて厩舎に入り、彼らの荷物を下ろし、飼い葉と水をやり、ヒューイに生肉を食べさせた。
《うまいうまい》
ダルシーはマメちゃんに煮こごりをあげているね。
馬のお世話が終わったら、私たちもマメちゃんを抱いて食堂へと入った。
みんなのテーブルの端に座って給仕を待つ。
「日々の粮を女神に感謝します」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
今日の昼食は……。
おお、豆のシチュー、鳥の胸肉ロースト、黒パンであった。
パクリパクパク。
なかなか美味しいね。
お豆のシチューには挽肉も入っていて美味い。
「平たい道は歩きやすいけど、景色は退屈だな」
「そういう時は山の方をみるんだよ」
「そうなのか」
「山は近いからね、見ていて飽きないよ」
ミラナがおばちゃん尼さんに教えられて感心していた。
山かあ、まあ、山岳地帯ではあるから、山はわりと近くに大きくは見えるね。
食事は完食。
美味しいけど、まあ、記憶に残るほどではないか。
ミラナがお食事メモを書き込んでいるな。
「ここはスタンプある?」
「礼拝堂入り口にあるわよ」
「ありがとう」
ミラナが給仕してくれた尼さんに笑顔でお礼を言った。
焼き印はあるかな。
ミラナが立ち上がったので、後に付いて礼拝堂を目指す。
「マリーは……、ああ焼き印か」
「そうそう」
ミラナは御詠歌帳の後を開いてメモ欄を確認した。
「まだまだスタンプは押せるな……。でも、もうすぐ昇天なんだが、私は何をしてるのかな」
「なんか義務でスタンプ押してるの?」
「いや、集まると楽しいから」
「じゃあいいじゃんよ」
「まあ、そうか……」
そうだ、難しい事は考えっこなしだ。
ミラナは礼拝堂の入り口で御詠歌帳にスタンプを押した。
坊さんが焼き印もやっていたので、小銭を払って杖に押して貰った。
結構たまったね。
でも、まだまだ焼き印を押す場所はあるな。
こういうのは、なかなか楽しい。
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