第1562話 ミルカタ中央教会までは長い
私は富農の娘という設定なので、レギナ修道院外の売店で高級お菓子を買い込んだ。
ミラナとアントンがうらやましそうにしておる。
うしし。
まあ、後で分けてやるから。
坂道を下りて盆地の街を目指す。
銀鉱山のある都市だから結構流行ってるね。
人通りが激しい。
アイアンリンドと湖岸都市を繋ぐメイン街道が北と東に通っている、交通量も多いね。
「帰りはあっちの街道を使って王都を目指すのさあ」
「サフラン大聖堂を通るために山の脇街道を使ったんですのね」
「そうそう、また道が太くなって綺麗になるよ」
それは何よりだなあ。
人通りが多くなると、尾行しているであろうジョルジュも気軽には攻めてこれないだろう。
街を貫く王都街道に乗り、街外れの中央教会を目指す。
というか、なんで中央教会がそんな所にあるんだ。
「ああ、火事で燃えたんで移転さね、三十年前だな」
「そうなんだ」
前はちゃんと都市の真ん中にあったらしい。
活気のある街、活気のある街道を歩くとなんだかわくわくするね。
街を歩いている人は、ゴツイ坑夫さんが多いかな、銀山なので、アクセサリーショップもあって、結構安い。
アントンがいいなあという顔をしているが、あんたの財布では買えないから。
「銀製品は素敵だが、金がない」
「アクセサリーとかほしいですわねえ」
「でも金がない、ちくしょう」
「まあ、洗濯で今晩稼ぎな」
「がんばりますわ」
「お菓子も買えないからな」
街に入ってから結構歩いて、中央教会に到着した。
お、結構新しい。
三十年前に再建というから、新しめの教会だな。
教会は古いところだと百年物が結構あるし、二百年三百年物も、わりとあるね。
西洋建築は石で作るから、けっこう持つんだよね。
ヒューイとクリスティーナを連れて厩舎へと向かう。
どの教会でも厩舎の場所と作りは一緒だから解りやすい。
この教会は厩舎も結構綺麗だな。
《なかなかいい》
ヒューイさんもご満悦だ。
マメちゃんを地面に下ろし、荷物を下ろしていく。
クリスティーナに水をやり、飼い葉をやる。
マメちゃんも煮こごりタイムだな。
辺りを見回してから、ヒューイに生肉をあたえる。
《うまいうまい》
「たんとくえ」
《たべるぜ》
ダルシーと一緒に宿坊に入る。
今回はまた六人部屋だな。
部屋に入ったらいつもの障壁虫退治をする。
作りはしっかりしてるから、障壁補強は要らないな。
ベッドに寝転んでマメちゃんをかまいながらのたのたする。
アントンはいつものように髪をとかし、ミラナは私が渡した地図を見て楽しんでいるね。
「マリー、食事前に洗濯をしよう」
「そうだねお姉ちゃん」
「お、私たちも営業しよう、アントニアさん」
「そうね、稼がないといけないわ」
アントンもなんだかしっかりしてきたな。
私とダルシーは洗濯室に直行、ミラナとアントンは各部屋を回り、洗濯物営業をしていたようだ。
意外と沢山の汚れ物を持って洗濯室に来た。
「大漁大漁、わはは」
「ちゃんと洗って分別して返さないといけないからごっちゃにしてはいけませんわ」
「おお、そうだね、どうしよう」
私は鞄から小袋の束を出して二人に投げ渡した。
「おお、マリー、ありがとう、それぞれの袋でまとめるか」
「そうね」
洗濯機は魔石も沢山あって無料だった。
さすが流行ってる街はちがうね。
乾燥器は無いが干し台はあった。
わあっと洗濯をすると、なんだかさっぱりする感じだね。
干し台一杯に洗濯物がはためくのだ。
「よし、明日の朝、出発前に取り込んで畳んで元の人に戻そう」
「そうね、ミラナさん」
洗濯をしていたら、良い時間で、私たちは食堂へと向かった。
「この教会の食堂はどうかな」
「わりと流行ってる都市だから、美味しいかもしれないわね」
「荒くれ料理が出ないかな」
それは、どんな料理なのか、ミラナよ。
食堂に行くと、みなさんテーブルに着いていた。
私たちが席に着くと、ヴィヴィアンヌさまがうなずいた。
ディナーもプレートだね。
どれどれ。
おお、なかなか豪華で良い匂いだな。
味はどうかな。
「日々の粮を女神に感謝します」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
ヴィヴィアンヌさまの食事のご挨拶を復唱して晩ご飯が始まった。
パクリ。
おお、なかなか良い塩梅だね。
豚の分厚いソテーと枝豆スープ、豆のサラダに黒パンだね。
美味い美味い。
「なかなか当たりだね」
「そうですわ、美味しいですわね」
「洗濯も沢山やって、お小遣いも増えそう」
「おやつを買いますわ」
なかなか微笑ましいね。
労働は美しいのじゃ。
ご飯を完食したあと、久々のお風呂に入って汗を流した。
ああ、さっぱりするね。
ホカホカになって、小綺麗なベッドですやすやと寝たのである。
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