第1560話 お腹を空かせて出発
とりあえず、こっそり巡礼団全員に『ヒール』を掛けて、お腹を壊さないように予防して寝た。
あのソーセージはやばかったからね。
こんなメシマズ教会で病気で停滞は辛すぎる。
朝、起きるとお腹が空いていた。
まあ、しょうがないね。
「うーん、朝はアレを食べるのか」
「パンだけ食べて出発して、どこかで買い食いをしよう」
「金がない」
それは切ないな。
なんか、ゲッソリやつれた尼さんが部屋に入ってきた。
「申し訳ありませんが、昨日の晩餐の料理が良く無かったようで、こちらの尼がお腹を壊して寝付いています、皆様は大丈夫でしたか?」
バルバラさんが巡礼尼さんたちの健康をチェック。
まあ、大丈夫だよ、私が昨日『ヒール』しといたから。
「私たちは大丈夫ですね、あのソーセージは一口食べて、危なそうなので残した人が多かったようです」
「まことにご迷惑をおかけしました、それで、真に心苦しいのですが、胃腸薬などが余っておりましたら、少々分けていただけないかと……」
ダルシーが鞄を開けて、キュアポーションを一瓶、尼さんに渡した。
「ああ、助かります。あら、オルブライト商会製ではないですか、よろしいのですか?」
「はい、まだ一本ありますので、お使い下さい」
「ありがとうございます、感謝いたします」
私が出張って行って、『ヒール』掛ければ一発だけど、まあ、この教会の責任だから、そこまで面倒は見てやらん。
話を聞くと、治癒魔法が使える尼さんが熱を出して寝込んでいるそうだ。
薬は要るよなあ。
朝ご飯の準備はしてくれないそうだが、パンは貰えた。
パンは安全だからな。
水を飲みながらパンを囓る。
なかなか質素だなあ。
「なんか、気持ちがしょんぼりするな」
「お昼もパンだけでは無いわよね」
「それは辛い」
「本日は少し距離を稼ぎ、鉱山都市ミルカタまで行きます。お昼は途中のレギナ教会で頂きます」
レギナ教会と聴いて、おばちゃん尼さんたちが喜びの色をあらわにした。
「美味しい所なの?」
「お菓子を作ってる修道院よ、前に寄ったけど、美味しかったわ」
「お菓子!」
「お菓子!」
ミラナとアントンの目の色が変わった。
お菓子の修道院か、マルコアス教会みたいな感じかな。
あっちはクッキーが名産だったが。
「切り株ケーキが有名でね、ケーキ生地を木目みたいに何層にも重ねて焼くのさあ」
おお、バームクーヘンではないか、バームクーヘンを作っている修道院があるのか。
それは期待が高まるね。
メシマズ教会の後でもあるしね。
厩舎に行き、ヒューイとクリスティーナに荷物を積む。
ヒューイとマメちゃんのお食事は私の荷物からだから安心である。
クリスティーナも只の飼い葉だから問題はなかろう。
ヒューイとクリスティーナを連れて、ダルシーと一緒にリーザ教会の入り口まで行くと、みんな隊列を作って待っていた。
「さあ、出発します」
しかし、パンと水だけだと結構辛いね。
お昼まで三時間は山道を歩かねばならないね。
山は結構深くなってきて、道も寂れてきた。
たまにサーチを掛けて、周囲を警戒するが、ジョルジュが追跡している気配は無い。
(お腹が空いた~)
しょうがないなミラナは。
「飴食べる?」
「たべるう!!」
収納袋から遠足のおやつの残りのキャンディ瓶を出してミラナとアントンに一粒ずつあげた。
「マリーはどうしてそんなにお菓子をもってるんですの?」
「金があるのでちょこちょこ買っている」
「良いですわね」
なんかアントンが悔しそうである。
まあ、魔法学園にいたころはお金も使い放題、お菓子もお酒も飲み食い放題だったろうからなあ。
あと、麻薬もやり放題だ。
アントンは基本的に我慢が足りない感じだよね。
山道を行く。
見渡す限り、山また山だ。
木曽路はすべて山である、という書き出しはなんだったっけか。
楢山節考だったっけかね。
まあ、そんな感じで、コルネリア山脈の低い所を繋いで歩いて行く感じだね。
一応渓流沿いを歩いているけど、水場が少なくなっている。
見つけた時に水筒を満タンにしとかないと、悲しい目にあうのだ。
渓流まで下りれば水は汲み放題だが、山道特有の構造で、なかなか河原が無い。
切り立った崖とかだからなあ。
ちょっと水くみに行くのは無理があるね。
しかし、人間は通行の為に、崖を切り開いて街道を作ってしまうんだなあ。
凄いね。
ミラナの飴くれ攻撃に耐えながら、三時間ほど歩ききって、山の峠のレギナ修道院に着いた。
ああ、糖蜜の良い匂いがするね。
よだれでそう。
ここから、坂を下りると鉱山都市ミルカタが広がっている。
食事をして、坂を下りたら、すぐみたいだね。
はあ、お腹がすいたよ。
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