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自分は静かに過ごしたい  作者: SO/N
8章 降る冬の日
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102話 メリー

「…私は、もっと先輩に味見係して欲しいですけどね。」

「………なんでだ?」


なんでこんなことを聞くのだろう。理由なんて聞きたくないのに。


「それは、先輩はちゃんと評価してくれるし、優しいし、頼りになるからです!」

「…評価以外、関係なくないか?」

「細かいことは気にしちゃ駄目ですよ。とりあえず、またお菓子の味見、してくださいね?」

「……相変わらず、強引だな。」

「へへ、それが私の得意分野です。」


自分が小言を言うと、浦澤は自信満々に胸を張って言った。

…今の自分に、自信なんてあるのだろうか…いや、無いな。こんな思っていることとやっていることが違うのに、自信もクソもない。


「あ、後もう一つ。あの時、マラソン大会ではありがとうございました。」

「…何かしたか?」

「何って、肩貸してくれたじゃないですか。それに、あの時言ってくれたじゃないですか、無理するなって。」

「…余計なお世話だったんじゃないか?」


正直あれを言ったのは失敗だと思ってる。人間無理するなって言う方が難しい。


「そんなことないですよ。今年で一番嬉しかったかもです。」

「…本当か?」

「本当ですよ。」


自分が聞くと浦澤は笑顔でそう答えた。


「…………………」


本当なら、嬉しい顔をこちらもしないといけないのだろう。いや、嬉しいんだ。

嬉しいけど、嬉しくなれない。


「あ、由那だ。おーいこっちこっち!」


どうやら話しているうちに松川が来たらしい。

自分はもたれていた背中を起こし、二人の元へ歩いた。












ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー















「ふぅ〜楽しかったね!」

「私はくたくただ…」


浦澤、松川と一緒に色々な場所に回っていると既に暗くなっており、解散の時間となった。てか、浦澤の体力はどうなってんだ?マラソン大会とは立場が逆転しているような。


「……じゃあ、またな。」

「ちょ、ちょっと待って下さい!」


自分が帰ろうとすると、浦澤が止めに来た。

なんだ?


「どうした。」

「ちょっと渡すものがあるんですよ。え〜と、あ、あった!」


鞄の中をごそごそと探し、何か見つけたようだった。


「はい!私たちで作ってみました!受け取って下さい!」


渡してきたのは、袋に入ったクリスマスカラーのいろんな菓子が入っていた。


「…これは?」

「神奈と昨日作ったんです。」

「いやぁ、大変でしたよ。色付けとか難しかったし。

まあ、クリスマスプレゼントってやつですよ。」

「……こっちは何も用意してないぞ。」

「いやいや、日頃のお礼なんでいいですよ。いつもお世話になってるし。」

「…そんなことないだろ。」


日頃のお礼なんて、何もした覚えはないのだが。


「え〜いっぱいお世話になってますよ〜、最初に会った…」

「最初?どういうこと?」

「あ、いや、なんでもないなんでもない。」

「…へぇ〜。」

「…はぁ。」


浦澤は誤魔化すように言い直すが、松川は怪しそうに睨む。

このままじゃ何聞かれるか分からないし、今のうちに帰ろう。


「…じゃあ、ありがとうな。」

「はい、今度は年明けですかね。良いお年を。」

「良いお年を〜!」


二人と別れ、さっき貰った菓子を食べてみる。


「…美味しい、な。」


そんなことを言いながら、道を歩く。

普段は独り言なんて言わないのに、何故だろうな。




『メリークリスマスだよ!奏くん!』



「…………………」




メリー。そんな気分とは程遠い。

今年もあと数時間で終わりますね。

今年も色々ありましたが、まあ来年も頑張っていきましょう。それでは。


評価、ブックマークなどお願いします。

「二度も親を失った俺は今日も最強を目指す」もよろしくお願いします。

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