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俺は小物だ!

2作品目です!

できれば1日1話更新したいと思ってます。

まだ慣れてない部分も多く、至らぬ点がありますが頑張りますのでよろしくお願いします。


アスカテシア王国。

つい最近、大国ブレイン王国から独立を果たしたばかりの新興国家。

その建国の英雄の名は

ヴァルディオス・アスカテシア。

圧倒的な武と知略で国を興し、わずかな期間で周辺諸国にその名を轟かせた男だ。

……そんな化け物の息子が、俺テナート・アスカテシアである。

「おめでとうございます、テナート様!」

「本日は誠に喜ばしい日でございます」

王城の大広間。

メイドや執事たちが、次期国王である俺を取り囲み、口々に祝福を述べてくる。

「あ、ああ……ありがとう」

俺テナート・アスカテシアは、ぎこちなく笑みを浮かべた。

(やめろ、その目。期待すんな)

そんなことを言えるわけもなく、爽やかな王子スマイルを貼り付ける。

しばらくして、ようやく解放された俺は、自室へと戻るなり

「……なんで俺なんだよ!」

ベッドにダイブした。

ふかふかの感触が現実逃避を助長する。

アスカテシア王国は急成長している。

それは間違いない。

全部、親父ヴァルディオスの手腕だ。

だがその英雄も、歳には勝てない。だからこそ、次代へと国を託すことになった。

普通に考えれば

(姉さんになるはずなのに!)

俺には一人の姉がいる。

メイラ・アスカテシア。

才色兼備、冷静沈着、判断力も統率力も親父に匹敵する完全超人。

対して俺は?

姉と父に引っ張られて過大評価されてるだけのただの小物だか?

国王は姉さんがなると思って余裕ぶっこいてたらこの有様。

「なぁ、ステファニー」

ベッドに顔を埋めたまま声をかける。

「そうですね、坊ちゃま」

いつの間にか背後に立っている専属執事、ステファニー。

こいつも超がつくほど優秀だ。

「俺って、王の器あると思う?」

「ありませんね」

即答だった。

「だよな!?」

思わず飛び起きる。

「存じております」

「知ってたなら止めろよこの流れ!」

「無理です」

真顔で切り捨てられた。

「明日は王位継承の日です。諦めてください」

「いやいやいや、まだ間に合うだろ!?辞退すれば…」

「無理です。」

淡々と返される。

「くっ…!この」

「そもそも、なんで王位継承の二日前に言うんだよ!」

「言えば、坊ちゃまはすぐ逃げようとしますからね」

即論破された。

「諦めなさい、テナート」

バタン、と扉が開く。

現れたのは姉のメイラだった。

「出やがったな、肌黒女」

「言葉遣いがなっていませんよ」

褐色の肌に長い黒髪。整った顔立ちに冷たい視線。

相変わらず威圧感がすごい。

「私のことは姉上と呼びなさい」

「誰が呼ぶか。つーかなんで姉さんが継がないんだよ」

「簡単な話よ」

メイラは淡々と言う。

「私は大国との関係維持のために嫁ぐ。これが最善。」

「じゃあ俺が嫁げばいいだろ!」

「ダメよ」

即答。

「あなたみたいな腰巾着」

「自覚あるから嫌なんだよ!」

「消去法であなたしかいないの」

逃げ道を完全封鎖される。

「安心しなさい。あなたが無能でも問題ないわ」

「ひどくない?」

「周りが優秀なのだから」

ぐうの音も出ない。

「いいこと、テナート」

メイラはじっと俺を見据える。

「逃げようなんて考えないことね」

「……っ」

図星だった。

そのまま姉は部屋を出ていく。

「はぁ……」

深いため息をついた、その直後。

コンコン、とノックの音。

「今度は誰だよ……」

勢いよく扉が開く。

「おめでとうございます、テナート様!」

「ぐえっ!?」

飛び込んできた少女が、そのまま抱きついてきた。

ブレイン王国第三王女メイラルド・ブレイン。

俺の婚約者だ。

整った顔立ちに柔らかい笑み。

だがその実態は、ブレイン国王すら凌ぐと言われる天才。

「離れろ!」

「えー、いいじゃないですか」

頬を膨らませる。

「こういう時くらい、いちゃついても」

「普段は猫かぶってるもんな」

「そうですね♪」

否定しないあたりが怖い。

元々俺の父と、メイラの父が仲がいいことをきっかけにできただけの婚約。

なのに、妙に懐かれてるから困る。

しかもなお、俺の本性を知っていてこの態度。

「なぁ、俺が王になったら国が終わると思わないか?」

「大丈夫ですよ」

即答だった。

「周りが優秀ですから」

「お前もかよ!」

「それに」

メイラルドはにこりと笑う。

「私もいますし」

(外堀を埋められている)

「ん?待てよ」

テナートが少し考える。

「じー」

メイラが疑いの目を向ける。

ステファニーまで同じ目をしている。

「なんだよお前ら……」

「テナート様、またろくでもないこと考えてません?」

「……いや、もう諦めたよ」

疑いの目が痛い。


その夜。

パリーン!!

大きな破砕音が城内に響いた。

「どうなされました坊ちゃま!?」

駆け込んできたステファニーの目に映ったのは、割れた窓と消えたテナートの姿。

「くそ、やりおった……!」

「総員!王子を連れ戻せ!」

「はっ!」

ステファニーは迷わず窓から飛び降りた。

静まり返る室内。数秒後。

「へへ、馬鹿め」

ベッドの下から、俺は這い出した。

「そっちはブラフだ」

窓破壊は囮。本命はこっち。

「迷わず飛び降りるってなんだよ」

「ここ3階だぞ、あの化け物め」

「まぁでも、わざわざ鍵開けてくれてありがとうな」

扉へ向かい、静かに外へ出る。

(勝った)

忍び足で廊下を進む。

誰もいない。

(このまま城を出れば)

「あら、どこへ行くのかしら?」

「――っ!?」

正面に立っていたのは、メイラ。

「出たな肌黒女!」

「あなたの考えることくらい、お見通しよ」

「観念しなさい」

「姉さん、俺を甘く見すぎじゃないか」

「ここまでは想定内だよ!」

床に何かを叩きつける。

白煙が一気に広がった。

「煙幕か……!」

視界ゼロ。数秒後、煙が晴れる。

そこに俺の姿はなかった。

だが。

「総員、テナートはまだ城内よ」

メイラは落ち着いた声で告げる。

「ネズミ一匹たりともを逃してはなりません」

外に出ていた兵まで戻り、完全包囲。

結果

「くそ!離せよ!!」

あっさり捕まった。

「私を甘く見たわね、テナート」

「ぐぬぬ……!」

「ごめんなさいね、メイラルド王女」

「いえ、今夜は私が見張っておきますので」

にっこり笑う婚約者。完全に詰んでる。

(畜生…!なんでだよ…!)

こうして。

逃げ出したい小物王子と、

逃がす気ゼロの超優秀な連中による

最低で最高な物語が、始まった。

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