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あの心配そうにコッチを見つめている彼女は誰だろう?
何となく気になる。
が、今はこの場をどう逃げ切るか、なんだけれど⋯⋯私から『紹介する』という言葉が出るまで解放されそうにない。
どうしたものか⋯⋯
でも、この人たち紹介しろと言うわりにまだ名乗ってない。
これ以上付き合うのは時間の無駄よね。
「申し訳ございません。これで失礼しますわ」
「だから!わたくし達をディスター侯爵様のもとへ連れて行けばいいのよ」
まだ言っている。もう付き合ってられない。
友達は欲しいと思っていたけれど、この人たちは無理だ。仲良くなれそうにない。
「連れて行きなさいよ!」
「どこに行くのよ!待ちなさい!」
背を向けて歩き出した私の肩を後ろから掴まれた、と思ったらすぐに外れた。それと同時誰かに背を押された。
「ほら、兄貴のところに行け」
前にも同じように背を押された記憶が蘇る。
それに声も似ている。
⋯⋯フードの人?
思わず振り向いた私の目に映ったのは⋯⋯不機嫌顔の第2王子⋯殿下?
⋯⋯⋯⋯うん、声は似ているけれど違うな。
あのフードの男の人に助けられたのは3回。
偶然でも3回も助けられたと言うことは、普段から街中に居るといること。
王位継承権もある王子が王都の街を彷徨いているとは考えられない。
結論。フードの人とは違うな。
「ありがとうございます」
「礼はいい。早く行け」
眉間にしわを寄せ不機嫌顔はそのまま、まるで野良犬を追い払うようにシッシと手を振られた。
でも、嫌な気はしない。
私はもう一度頭を下げてからお兄様の元に向かった。
どうやったのか、あれだけ令嬢たちに囲まれていたお兄様の周りには誰もいない。
ただお兄様を中心に少し距離をとっているだけで、頬を染めて見つめる令嬢の多いことよ⋯⋯
「大丈夫か?」
「はい。ヴォルフ第2王子殿下が間に入ってくれましたから」
「⋯⋯面倒だな」
「え?何か言った?」
「いや、もう帰ろう」
レックス兄様が帰ると発した途端、令嬢たちの目が一斉に私に向けられた。
ええ、分かっていますとも。
お兄様を引き止めろって?そんな目で訴えられても無理。ここに残る理由はありませんからね。
では皆様、ご機嫌よう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
~ディスター侯爵家の執務室~
「なるほどねぇ」
「父上、どうしますか?」
「どうするも何も現状維持でいいと思うよ。別にベルはヴォルフ殿下を王子としてしか認識していないのだろう?」
「はい」
「まだ何も始まってもいないのに、今からそんなに気負う必要はないさ」
「そうですが⋯⋯俺はもう2度とベルにも、ウィルにも辛い思いをさせたくないんです」
「それは私も同じだよ⋯⋯その為に母国を捨ててこの国まで来たんだ。同じ過ちを犯さないために⋯⋯」
いつも稚拙な小説を読んでくださりありがとうございますm(_ _)m
誤字脱字報告ありがとうございます。
☆補足です。
読者の皆様はお気付きかと思いますが、ベルティアーナとウィルダーは回帰前とは違う性格になっています。
その理由はもう少し先で判明します!




