結婚するくらいなら家出しますわ。
私は一週間後に結婚する。
いわゆる政略結婚というやつだ。
今私は16歳。これから社交界にデビューというところだ。
そして私が1週間後結婚する相手と言うのは50歳のへたすれば祖父の年齢の人だ。
そんなロリコン野郎に嫁ぐ気はさらさらない。憐みの視線と言葉は聞き飽きた。白馬の王子様なんてものはただの幻想。
だから、今日私は・・・・家出します。
侍女にばれないように家出の用意をする。母と父はひたすら私に謝るばかりだった。それは私に諦めろということなのだと私は解釈した。兄たちはどうにもできない己の力の無力さに嘆きそれでも剣や銃を持って相手方を倒しに行こうとしてくれた。(全力で止めたけれど)
うちはそこそこに名のある貴族で本来ならばいやと言えば縁談なんて断れるのだ。
けれど今回ばかりはそうもいっていられない相手・・・・・公爵様だ。
12歳のころから目を付けられて、ここまで逃げてきたがとうとう結婚が決まってしまった。
家族に迷惑をかけないためにも結婚した方がいいとわかっているのだが・・・考えただけで鳥肌が立ち吐き気がする。
私が家出をすることで家に迷惑がかかるが、そこは兄たちがしっかりと支えてくれるだろう。
でも、迷惑は最小限に留めたい。私が家出することに家族が関わっているとなったら迷惑どころの話ではないだろう。だから私は誰にも気づかれないように少しずつ準備して今日、誰にも告げず出ていく。
家出、とは言ってももうここへ帰ってくることはないだろう。
今はみんな寝静まる時間だ。そして侍女には2,3日部屋にこもると言ってある。
玄関から出ると扉の音がうるさいので部屋の窓から飛び降りることにする。私の部屋は2階だ。少々飛び降りたところで足を痛めるのが関の山だろう。
最後に自分の部屋を見渡す。
決して女の子らしいとは言えない、急所の本や武術に関しての本がぎっしり詰まった本棚。ベットの上には誕生日に兄からもらった大きなくまの人形が座っている。そして机の上には家族、この屋敷に仕えている人たちそれぞれに向けた手紙が置いてある。
ずっとここで生活してきた。不自由なんて何一つなかった。
私は甘いお嬢ちゃんだったのだ。
でも、そんな生活ともお別れだ。後悔はたくさんある。楽しかった思い出が私の後ろ髪を引く。
大丈夫。きっと兄様たちならこの家を潰したりしない。そう最後に言い聞かせて、私は窓から飛び降りた。




