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止まり木亭  作者: 桂まゆ
第1話 冷えたビールあります。

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間話

ダンジョン攻略再開後の、「止まり木亭」。

まだレミィとルーイの正体は分かりません。

「またひとり、送り出しちゃったね」

 四人を見送った後、ルーイが「ふふっ」と笑いながら告げる。

 その「ふふっ」が怖いとレミィはいつも言っているのだが。

「エイラちゃんが本気になっちゃったからねー。だから、あの三人は安心だね」

「そう? 僕は楽しそうな予感しかしないけどねー」

「不幸の貴公子に言われるとはね……」

 レミィが両肩を抱きながら、首を振る。嫌な考えを脳裏から追い払うように。

「そういうお店じゃないんだけど。エイラちゃんが本気になったから、そういう道が通ったわけだ。あんたの予感は当たらないよ」

「本当に、レミィはお人よしだね」

 くすんと、ルーイが笑う。

 白皙の美貌に、紅の唇が吊り上り、なんともいえない艶めかしいものを感じさせる。

「私に色目使っても無駄だって」

 苦笑する、レミィ。

「いつか、無駄じゃなくなるかもよ?」

 上目遣いにレミィを見る、グレイの眼。だが、美貌の青年にそんな目で見られてもレミィは顔色を変えもしない。それどころか、カウンターから少し乗り出した細い身体を、ぐいと中に押し込む。

「いつまで、さぼってるつもり? ルーイ。お客さんがお待ちだよ」

 自分もホールに戻るべく、ルーイに背を向けて、レミィがボソリと続けた。

「あっても良いじゃない。人に必要とされて、いっときだけでも、幸せになれる酒場」

「酒が飲めない人はどうするのさ?」

「酒が飲めない奴に、酒場は必要ないでしょ? その人に必要なものなんて、私には一生解らないかもしれないけどね」

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