間話
ダンジョン攻略再開後の、「止まり木亭」。
まだレミィとルーイの正体は分かりません。
「またひとり、送り出しちゃったね」
四人を見送った後、ルーイが「ふふっ」と笑いながら告げる。
その「ふふっ」が怖いとレミィはいつも言っているのだが。
「エイラちゃんが本気になっちゃったからねー。だから、あの三人は安心だね」
「そう? 僕は楽しそうな予感しかしないけどねー」
「不幸の貴公子に言われるとはね……」
レミィが両肩を抱きながら、首を振る。嫌な考えを脳裏から追い払うように。
「そういうお店じゃないんだけど。エイラちゃんが本気になったから、そういう道が通ったわけだ。あんたの予感は当たらないよ」
「本当に、レミィはお人よしだね」
くすんと、ルーイが笑う。
白皙の美貌に、紅の唇が吊り上り、なんともいえない艶めかしいものを感じさせる。
「私に色目使っても無駄だって」
苦笑する、レミィ。
「いつか、無駄じゃなくなるかもよ?」
上目遣いにレミィを見る、グレイの眼。だが、美貌の青年にそんな目で見られてもレミィは顔色を変えもしない。それどころか、カウンターから少し乗り出した細い身体を、ぐいと中に押し込む。
「いつまで、さぼってるつもり? ルーイ。お客さんがお待ちだよ」
自分もホールに戻るべく、ルーイに背を向けて、レミィがボソリと続けた。
「あっても良いじゃない。人に必要とされて、いっときだけでも、幸せになれる酒場」
「酒が飲めない人はどうするのさ?」
「酒が飲めない奴に、酒場は必要ないでしょ? その人に必要なものなんて、私には一生解らないかもしれないけどね」




