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エピローグ:相談員の瀬戸内です(再)
提供日から1ヶ月が経とうとしていた。初夏の空気は爽やかで、新緑が生き生きと輝いていた。
提供日から1ヶ月、私は休暇をもらった。臓器提供された人に会いにいったり、できたばかりのお墓に手を合わせたり、本を読んでみたり。案外あっという間に休暇は終わった。今日からまた、新しい人を担当することになる。
「川田先輩、お久しぶりです」
「あ、はるなちゃん、そっか休暇明けだね、どう?体調は」
「全然元気です。むしろ、自分でもびっくりするくらい落ち込んだりしてないです」
「…本当にいい別れをしたのね」
「…きっと見守ってくれてるので」
「うん、そうね。そしたらば、新しい子の基本情報よ。とっとと計画作って行っちゃいなさい」
「はい」
そうして受け取ったのには、こう書いてあった。
『田中由美 26歳 女性 フリーター 独身』
ふふ、なんか、この仕事始める前の私みたい。
何が正解かは、分からない。あれで良かったのかなと考える。でも、私たちは彼らを死から引き止めるためでも、死に向かわせるためでもなく、彼らの決断を彼ら自身で納得できるようにいるのではないか、そう思う。
新緑の風に吹かれて、私はボロいマンションのインターフォンを鳴らした。
「相談員の瀬戸内です」




