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ep41.あなたがしていたことをしているだけです

「…全部公爵様がしてくれたことですよ。たまには恩返しさせてください」


「………恩など、感じなくていいのに…。俺は…貴方に酷い事を沢山した。だからこれは当たり前のことなんだ…」


レオの声からは自責の念が伝わってきた。

レオが後悔して、私とたくさん関わってくれるようになったのは素直に嬉しい。


だけど、そこまでの重荷を背負ってほしいわけじゃない。


私はレオと普通に会話できればそれで十分だ。


「公爵様。私は、この世の中に当たり前のことなどないと思っています」


「…!そうだな……そうだった…」


母が生きていた時のことを思い出させてしまっただろうか。

思い出すように、レオは呟いていた。


「…はい、ですので私が公爵様にしてもらっていることは当たり前なことではありません。事実、とても助かってます。なので今日くらいは素直に甘えてください」


「本当に…ソフィアはお人好しだな」


「それはこちらのセリフですよ。結局私に綺麗な部屋も食事も、洋服まで用意してくださってるではありませんか」


あの牢屋での一件以来、レオは何故か私のために家具を新調し、洋服を頼み、食事まで用意するようになった。

その前までは、食事は招待してもらった時以外は作ってもらいはしたけど、必ずお金は払っていたし、洋服だって持ってきたものを着回していた。掃除ももちろん自分でやってた。


それでも使用人たちとは他愛のない会話をするくらいには上手くやってきていた…。一度裏切られたけど、間違いなんてものは誰にでもあるものだ。

されたことをいちいち咎めるほど私はめんどくさいやつではない。


よって、こんな良い待遇を受ける理由はどこにもないのだ。


「…それは、俺がソフィアにしたくてしていることだ」


「でしたら、私もそうです。私もしたくてしているのです。……体調が悪い時の一人は、寂しいじゃないですか…」


「……ぁぁ…ありがとう…。なら、もう少しここにいてくれるか…?」


「もちろんです。公爵様」


私がしっかりと返事をした後、やはり疲れていたのだろう。あっという間に眠ってしまった。


…先のは、私の本心だった。


伯爵家では、私がどれだけ体調を崩そうと、様子を見に来る人はいなかった。

義妹は多分心配してくれていたんだろうけど、それも義母に近づくなと言われて無理だったんだろうな。

だから、私の部屋にいたのは医者のみだ。


子供の頃の私は、それが寂しいなんて可愛い感情を抱えていた。

それも大人になるにつれて消えてしまったけど。


レオには孤独というものに慣れてほしくない。どうか今のように、使用人たちに恵まれ、私が死んだ後には婚約者にも恵まれてほしい。


レオは私の恩人だから。


◇◇◇


それから私は、自室に置いてきた本を持ってきてもう一度レオの部屋へ入った。

レオが眠っているベッドの隣に椅子を持ってきて、看病も兼ねながら本を読むことにしたのだ。


熱が引いたら感想を言うと約束をしていたから、その約束を守らないわけにはいかない。

10分ほどだろうか。私が本を読んでいると、私とレオの分の昼食が運ばれてきた。


言った通りに、レオの昼食は胃に優しいものが揃えられていた。


「ありがとう、グレイソンさん」


「いえ、お嬢様と旦那様のためですから。お皿はお下げしますので、食べ終わった後はそのままにして頂ければ回収致しますね」


グレイソンさんの優しい口調は、こちらまで心を穏やかにしてくれた。


「ええ、ありがとう。お願いするわね」


グレイソンさんが部屋を出てから、私はレオに声をかけた。


「公爵様、少しでも良いので食べましょう。起きられますか?」


「うん…ああ、大丈夫だ」


「ご自分で食べられますか?」


「……無理だと言ったら…」


少し目を細めて、何かをねだる時のようない顔をしてレオは言う。


「…食べさせてくれるのか…?」


「っふふ、この短時間で甘えるのが随分とお上手になりましたね。……どうぞ」


私は手に持っているお粥をスプーンにすくった。

そのスプーンをレオのそばに持っていけば、レオも自分の顔を少し近づけてパクッと食べる。


なんだか昔…前世を思い出した。


前世、私はよくレオにお世話されていた。私が熱を出した時も、レオは元気よく『僕が食べさせてあげる!』なんて言うものだから、その言葉につい甘えていた。


今度は私がしていると感慨深いものがある。

こうしてもう一度レオに会えたのだ。これ以上に幸福なことなんてないだろう。


ゆっくりとしたペースで食べるレオを見ながらそう感じた。


「美味いな…」


「もちろんです。公爵家の料理人が公爵様の体調が早く戻られるようにと心を込めて作ったお料理なのですから」


「…そうか。後日礼を言いに行こう」


「是非そうしてください」


何故私が得意げに?と自分でツッコミを入れたくなったが、入れてしまってはおかしな人だろうからとやめておいた。

しばらくスプーンで掬ってレオに食べさせるという動作を繰り返していると、どうやらあっという間にお粥は完食したようだった。


最後まで読んで頂きありがとうございました!

次話も見てくださると嬉しいです!

評価&グット、コメントで応援、ご指摘よろしくお願いしますm(_ _)m

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