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ep17.もう疲れたんです

とうとう迎えた六日目。どうか作戦が成功するようにと願っていると、カルロスが来た。


カルロスが来る前に、心臓の痛みはなんとか治った。


ちなみにここには窓がないため、時間は分からない。

唯一分かるのは、メイドがパンを渡しに来た時が夜なのだということだけ。


時間帯が分からないというのは結構怖いもので、身体の時計も狂ってくるから眠らないなんてこともざらにある。


「あ、こんにちはカルロス」


「……っ、ソフィアちゃん…。」


「えっと、どうしましたか?」


「…今日は、やめとこうよ。拷問……。」


カルロスが泣きそうな顔をして言う。


拷問は休まずにするから拷問なのに。カルロスは元殺し屋だけど、拷問をするのには向いていない性格のようだ。


こんなに優しい人が元殺し屋だったとは未だに信じ難い。だけどカルロスは嘘を言わないから紛れもない真実なのだろうけど。


「…大丈夫ですよ。カルロス。大丈夫です。」


「どこが大丈夫なんだよ。ソフィアちゃん、今自分がどんな顔色してるか分かって言ってる?それに、僕昨日聞いちゃったんだよ。ソフィアちゃんが叫んでる時、近くにいたんだ。」


「っ?!」


誰もいないと思って声を出して痛さを軽減してたのに。

まさか聞かれるなんて思ってなかった。


前世の私なら声を出さずとも耐えられただろう。身体が慣れていたから。


だけど昨日、私は十数年振りに心臓の痛みを感じた。あまりに久しぶりで我慢することが出来なかったのだ。


「すみません、聞き苦しい声を聞かせてしまっ

て。」


「…!違う…!違うよ。僕は謝ってほしいんじゃない。もっと、自分を大切にしてほしいんだ。」


「…どうやって?」


「え」


"しまった…、間違えた…"


「…ぁぁ〜、今のはなしです。充分、私は私を大切にしています。」


「だったら…!」


カルロスが何かを言いかけたところで、地下牢の扉が勢いよく開いた。

久しぶりに聞いた大きな音に私が驚くと、何故かカルロスは舌打ちをした。


自分の雇い主にそんなことするのかとツッコミたくなったが言うのはやめた。

そんな気力私にはないから。


「公爵様…?」


どうやら私の言った計画は上手くいったらしい。計画と言うほどのものでもないが。 私の考えはまず、メイド達にはことの顛末を全てレオに話してもらう。


その上で、レオには私がいた部屋へとメイドに連れて行かせる。


そもそも今回レオがメイドの言う事を信じてしまったのは、レオが一度も私のいる部屋に行かなかったことが原因にある。

そこで思いついたのが、メイド達にレオを私の部屋に連れて行ってもらうということ。


そうすれば分かるだろう。


私の部屋にはタンスなんてないということを。これだけで、十分メイドの証言が嘘だということを証明できる。


もとより部屋を用意したのはレオなのだからタンスがなかったことは把握しておいて欲しかったけど仕方がない。


とりあえず今、レオが来た。と言うことは

私がメイドに言った作戦は成功した。


「…っ、令嬢…!今枷を外すから……。」


レオは本当に申し訳なさそうに枷を外していった。そして、外しながらレオはずっと謝っていた。


「本当にすまない…。俺は、あなたの弁明を何一つ聞かずにこんなところへ連れてきてしまった。拷問まで…受けさせてしまった…。」


「………………」


「…許してくれなくて良い。むしろ許さないでくれ。気が済むまで、あなたが痛さを感じた分だけ俺を殴ってくれて構わないから…だから、話してくれないか…。もう一度、俺と話をしてほしい…。」 


私はレオの話を聞いている余裕なんてなかった。


解放された嬉しさと疲れで、ただ漠然と、静かにつぶやくことしか出来なかった。


「………休みたいです…。公爵様」


「っ…____!っああ、休もう。ゆっくり休めば良い。好きなだけ休もう。もうあんな場所で寝る必要もない。またデザートを食べよう。一緒に街一番の美味しいデザートを探そう。」


「…そう、ですね。」


レオの顔がまともに見れない。

顔を上げる気力すらない。


ただレオの心の底から反省している声だけが聞こえてくる。


「…!枷は全て外せた。まずは治療を……!令嬢!!」


ードサッー


「っ…」


息が上手くできない。


枷は全て外れたのに、身体の自由を全て奪われているようだ。


「令嬢…!令…、ソフィア!俺が悪かった!俺が初めからあなたを信じていれば良かった…!お願いだ…もう少しの辛抱だから、それまで耐えてくれ……。」


枷が外れたのと同時に、私の緊張も解けたせいか、身体に力が入らず倒れてしまった。


全部終わったんだ。


もう疲れた。

頭が痛いから話さないでほしい。

今は静かに目を閉じていたい。


最後の力を振り絞ってレオに伝えたいことを伝えると、私の意識はだんだんと暗闇へと沈んでいく。


当分の間は目を覚ましたくないなと思うくらいには疲れていたし、今はレオもメイドも誰の顔も見たくなかった。


正直当然だと思う。仲良くなれたと思ったメイドに裏切られ、レオは私の言葉に聞く耳を持たなかった。そんな場所でもう一度みんなと話をするにはかなり気力が必要だった。


だから、少し休憩。


「…!ソフィア!!」


最後まで読んで頂きありがとうございました!

次話も見てくださると嬉しいです!

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m(_ _)m

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