新しい世界とチュートリアル
「申し訳ない。次の人生は幸多からんことを祈る。誰が聞き届けてくれるか解らんがな。」
こんな言葉が聞こえた気がした。
こうして俺は元世界に別れをつげ新天地にやってきた。
・・・・・・この世界の事を確認しよう。チュートリアルとゆうヤツだ。
この世界の名は 『主神の世界』 と言う。
主神の名前がこの世界の名前なんだが神の名を口にするのは不敬とされ、誰も主神の名を知らない。
よってこの世界の正しい名は神しか知らない。
オモイカネ様の言った通りこの世界は、剣と魔法の幻想な世界だ。
世界に住まう種族は人族、獣人族、魔人族、竜族、エルフ族、ドワーフ族、亜人族となる。
人口は約五十億人。
人族が一番多く二十億人ほど。
次いで魔人族が十五億人。
獣人族が十億人、その他の種族が五億人少々となる。
そうそう、俺は結構驚いたんだがこの世界は種族間の差別がほぼない。
人族も獣人族も魔人族もエルフ族もドワーフ族も亜人族も竜族も全て主神が創ったとされているためだ。竜族以外はそれなりに仲が良い。
ただし竜族だけは例外だ。
竜族は高い霊格と強い力を持つ種族だ。
それも当然、かつて神が主神しかいなかった際に地上世界の管理者として産み出されたからだ。例えが悪いが地球で言うと竜族は人間、その他の種族は獣と言う位、精神、知性、能力が隔絶している。
特に古代竜と言われる種は主神以外の神々よりも歳上で下級神クラスの力を持っている。そのため過去に竜族が他の種族を支配していた(もっとも主神が竜族に他の種族を保護する様に命じたからだが)歴史があり、他の種族に嫌われている。
オマケに竜族の若い世代・・・と、言っても千年以上生きている個体もいるが・・・がその時の価値観のまま傲慢に振る舞うので竜族嫌いに拍車をかけている。
今現在は主神が創造した神々に世界の管理の大半を任せている。しかし神々も自分たちよりも歳上・・・古代竜達だけだが・・・相手はやりにくく、古代竜よりも若いことから竜族の若い世代を中心に好き勝手に振る舞っている。主神を怒らせない程度に。
そんな事情もあり竜族はひたすら多種族と仲が悪い。
さてこの世界の暦だが、一年が400日、13ヵ月、1ヵ月が1、12、13月を除き31日、残りの3ヵ月が30日となっている。
1ヵ月を15日づつ区切り、この区切りを荀節とよぶ。地球の感覚で言う1週間だ。
一月を前荀節、後荀節と区切り1ヶ月としている。
31日目は祝祭日なので荀節には含まれない。
この世界は太陽が2つ、月が4つあり、月が季節を司っている。太陽は1つが世界に出ている時、もう1つが主神の側にいるらしい。
ややこしいのが年末年始で13月の荀節と荀節の間で年越しする。
前荀節にあたる荀節を13月は旧荀節、後荀節を新荀節とよぶ。
旧荀節が年末、新荀節が新年となる。
旧荀節の6日目から15日目と新荀節の1日目から10日目の20日間は各月の31日目の合計10日と合わせて祝祭日となる。
この日は奴隷達も労働から解放され各神殿からご馳走が振る舞われる。
祝祭日に犯罪を犯すと主神から神罰が降る。主神の庇護が失われる程度から天使を遣わして直接断罪するものまで様々だ。
野盗やならず者、傲慢な竜族さえもこの日は大人しくなる。
次は神々と人間の関係だ。
この世界の人間達(竜族を除く多種族)は産まれた時に主神の洗礼を受ける。
この洗礼により世界の一員と認められる。この洗礼がないと社会から爪弾きにされる。嫌な言い方になるが差別の対象にされてしまう。
それ故人間達は王族、貴族、貧民、奴隷まで例外無く洗礼を受ける。奴隷だからといって洗礼を拒んだり妨害するとその者の洗礼が無くなる。故に産まれた赤子は皆平等に洗礼を受ける事が出来る。
この主神の洗礼の他に主神に代わり世界を管理している神々の庇護を受ける事が出来る。庇護や恩恵の大きさとして、
洗礼<<祝福<<加護<<<守護<<<<<聖者<<<救世主
の順番で強くなる。
聖者からは庇護を与えた神から神託と言う形で神からメッセージを受けとる事が出来る。救世主に至っては神と交信する事が出来るようになる。
もっとも聖者からは神の意向を受けて奇跡の代行をしなければならなくなるが。
あぁ、当然神々も只で庇護してくれたり恩恵を与えてくなる訳じゃない。
生物が生まれ持った魂の力、霊力の一部を洗礼を受けた神に信仰と言う形で捧げなければならない。
霊力はエルフ族がもっとも強く、ドワーフ族がもっとも弱い。
なのでエルフ族は多神の洗礼を受け、ドワーフ族は主神の他に一神の洗礼を受けて済ます。霊力は魂の力なので使いすぎると当然死ぬ。
なので複数の神々の洗礼は基本的に受けられない。
しかし、親子神、夫婦神、兄弟神、姉妹神、眷属神の間では洗礼を受けて多神の庇護を受ける事は出来る。
まあ多神教にありがちな神々の相性があるので上記の関係の神々から必ず洗礼を受け庇護や恩恵が与えられるかと言えばその限りではないが。
最後にこの世界の事情。
この世界には八つの大陸があり、内、五つの大陸に人間達が住んでいる。が、その内三分ノ一は人間が住めない環境になっている。
原因は過去に二回、異界神々からの侵攻を受けたせいだ。
一度目の侵攻を受けた時、この世界の神は主神しか居なかった。竜族と協力し天使を創造し何とか撃退したがその時に異界の神々から世界に呪いを受け生物が異形に変質しる場所が出来てしまった。
其所から魔獣や魔物が産まれ、人間達を害し始める。
この事態に主神は他の神々を創造して人間達を庇護して事態収拾しようとしたが呪いは既に定着し魔物の領域と言われる土地が出来てしまった。
数年から数十年単位で魔物の領域から魔物が『氾濫』しその周辺は人間の住める土地ではなくなった。
二度目の侵攻はつい百数十年前でかつてない規模のモノだったらしい。しかも今回は異界の神々の自爆攻撃もあり、洒落にならない被害が出た。しかも異界神々の自爆で世界各地に迷宮ができ、これも魔物の領域みたく定期的に『氾濫』し、再び遺された呪いによって今度は不死者が湧く、死魔の領域が出来てしまった。
死魔の領域は魔物の領域や迷宮以上に始末が悪く、『氾濫』してきた不死者に殺されると殺された者も不死者として甦り、『氾濫』に加わる最悪の状態となる。
人間はこの『氾濫』を『死の行進』と呼び恐れた。
この二度の侵攻でこの世界は慢性的な霊力不足となりそれを知ったオモイカネ様が、俺の受け入れと引き換えに霊力の援助を申し出たと、
「言う事情があったんですよ。」




