第十四話:ちょっと
あれから数週間が経った。
正直、沢山のことが短い期間中に起こりすぎて、いろいろと面倒になってたから、こういうカットはありがたいものだ。
結論から言うと、僕は師匠に修行をつけてもらうことになった。
あ、師匠っていうのは久遠ちゃんのことね。
久遠ちゃんって呼ぶと蹴られるんだもん。
まぁそれも良いけど。
僕としてはプレイにリョナはNGだから、一応師匠って呼ぶことにした。
それだけ。
『ただの人間が儂の『人間から視えなくナール』を無視できるのと、生物なのに霊力が全くないのは珍しいし面白いしで、見てやりたくなっただけじゃ』
と、当人は言っているが、人間から視えなくナールってなんだろう。
それだけが気になることだ。
それから数週間、毎日あそこの神社でボロ雑巾のように扱かれている。
あ、シゴかれてるってそういう意味じゃ―――――。
そのおかげで、割と強くなった気がする。
多分。
というか、強くなっててもらわないと困るしね。
「おーい、カミロ氏ー!一緒に帰らぬか?」
「お、中鳶か。いいぜ」
そして、戻るは現在。
学校が終わって、家に帰ろうとしているときに僕の背後から声をかけてきたのは、少し前にできた友人、中鳶檐。
美玲のアルティメットコミュ力によってゲットされたオタク男子である。
天然パーマ、眼鏡、汗かき、少々太り気味という、なんともそれっぽい生物だ。
僕と色々と趣味や思考が合うため、美玲と同じくらい仲が良い。
「カミロ氏はさー、何カップが一番好き?」
「その女の人のタイプにも寄る」
今は下駄箱から校門に向かいながらくだらないことを話している。
「じゃあ、ただ単に可愛いだけの女の子。イケメンとか清楚とかセクシーとか、そういう属性は無しの無属性ヒロイン」
「それならDかな」
「え~D?えっと、A、B、C、Dだから、そこまで大きくなくない?」
「いいんだよそのぐらいで。じゃあお前は何カップなんだよ」
「そりゃKでしょ」
「理想高すぎんだろ」
美玲もそっち系の会話はできるが、如何せん女子なため、少し気まずいので中鳶とこういう会話ができるのは割と楽しい。
「そもそも僕女児の方が好きだし」
「うわ、カミロ氏ロリコン?」
「違う、ロリコンじゃない。ただ小さい女の子が好きなだけだ」
「そういうのをロリコンというのでは………?」
それに、僕の場合はロリコンだとしても、ロリコンという名の紳士だし。
「じゃあ憧れる属性は?」
「そりゃあ断然、男の娘――――」
僕が中鳶の質問に答えようとした瞬間、校門近くでなにやら騒いでいる生徒が見えた。
「なぁ、良いだろ?ちょっとだけだからさw」
「そうだぜ。げっへっへ。アレをちょっとするだけだからさw」
「そうそう、ちょっとをちょっとして、ちょっとしまくるだけだからさw」
ガタイの良い明らかに不良に見える男子生徒三人が誰かに向かって下品な笑いで話しかけている。
「こ、困りますよ…そんなこと………」
その先に居るのは、うちの制服を着ている小柄なとんでもなく可愛い女の子。
その子は困ったような表情で、その不良ABCに詰め寄られていた。
「これは…」
「そうですな………」
それを見た僕と中鳶の思考は一つに固まった。
「「助けて好感度を上げよう」」
見た感じ、あの不良どもはそこらの奴らよりは強そうだが、鍛え、磨いた僕の肉体に比べれな容易いだろう。
「では、吾輩から………」
「行くのか中鳶!」
中鳶は制服のボタンをはずし、ネクタイを緩める。
汗っかきなため、あまりカッコよくはない。
「おい」
中鳶は眼鏡をくいっとして、少し声を低くする。
(止めな。その子が嫌がってるだろ?)
中鳶は『おい』の後の台詞を心の中で言い放った。
「いや、言えよ」
「ちょ、ちょっとイザとなると怖くなって………」
ったく、しゃーねぇな。
「僕に任せな」
「さすがはカミロ氏、そこに痺れる憧れるぅー!!」
おいおいよせよ。
恥ずかしい。
「おい」
僕は髪をかき上げ、少し声を低くする。
「や、やや、やめろぉ?その子がい、嫌がってるかもしれませんだろ。はい」
「カミロ氏………」
僕は精一杯声を振り絞って、不良ABCに叫ぶ。
叫んだはず。
「あ?んだてめぇ。何処見ていってんだ!?」
それに気づいた不良Aは僕に叫ぶ。
「フッ、見ればわかるだろ?てめぇらに言ってんだよ」
「いや、じゃあこっち見ながら言えよ」
不良はあきれたような声で僕に言う。
それもその通りだ。
僕は不良たちとは全く別の方向に決めポーズをしているからだ。
「いい度胸じゃねぇか」
「てめぇら二人もちょっとしてやるよw」
それに合わせて不良BCもヤンキームーブをかましてきた。
それと中鳶、「え?吾輩も?」とか言ってビビッて逃げようとするな。
「まぁ取り敢えず、カワイ子ちゃんとてめぇら二人。まとめて校舎裏来いや!」
「ちょっとしてやるぜゲへへへw」
「ポテチ食った後の手でコントローラー触られるくらい嫌な思いさせてやるぜw」
そうして僕と中鳶、そして泣きそうな表情の可愛い子は一緒に校舎裏に連れて行かれたとさ。




