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世界調整  作者: 虹某氏
3章【妹】
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79話 宴

「いやぁこの上ないアウェーだったねぇ」

「というより邪魔だったな」


 俺達は拠点に戻った。

 ちなみに拠点は俺の家だ。


「おかえりー」

「スーもいるのか」

「うん!」


 たまに真央が俺の部屋に転移を使ってメンバーを連れてきたりする。

 そして今いるのはスー。

 彼女はロングのピンク髪の人魚でアイドルだ。

 まぁ人魚とは言うものの能力の変化を使って基本的に足が生えているため人と大差ないが。


「アルカードは?」

「修行に行ってる。ちなみに他の人はは飲み屋で遊んだり夜で女漁りしたりするから晩御飯はいらないって」

「そうか」


 基本的に俺達の夜は自由だ。

 しかし一部の人は今も頑張っている。

 具体的に言うとルークを抑えたり……


「今日の宴は三人だよー」

「……スー。もう飲んでるじゃない」

「そりゃそうだよ。だって真央さんが帰ってくるの遅いんだもーん」

「はいはい」


 宴は毎夜のように暇なメンバーが行われる。

 俺達は何時、死んでもおかしくない。

 楽しめる時は楽しもうの精神だ。


「……スー。少しだけ力を貸してくれ」

「夜桜。アレは多分、スーの力を借りても仕方ないよ。恐らく桃花に任せるのが一番だね」

「そうか」


 たしかに桃花は誰よりも空の事を思っていて空への熱意も桁違いだ。

 彼女よりも適任はいないだろう。


「そういえば桃花は王候補にいいんじゃないか?」

「却下ー。器はあってもスペックが足りなーい」

「おい。真央! お前、煉獄龍姫を一気飲みしただろ!」


 煉獄龍姫は酒の銘柄の一つでめちゃくちゃ強い。

 一口飲んだだけ酔うのにそれを一気飲みとかどうかしてるとしか言えない。

 ていうか生きてるの奇跡。


「スー。歌えー」

「任せて! 今夜は新曲の……」

「毎回の事ながらお前らってまったく緊張感ないよな」


 少しは緊張感を持ってほしいものだ。

 でもやる時はしっかりやるし大丈夫だろ。


「ていうか夜桜ももっと飲めーー!」

「おい。煉獄龍姫一気飲みはマジで死ぬって!」

「へーきへーき。夜桜は再生するから」


 いや、たしかに再生の能力で問題ないが……

 ていうかアレは一回やったけど内臓がグルングルンになってめちゃくちゃ気持ち悪い。


「あ、夜桜。電話鳴ってる」

「……こんな時に誰だよ」


 俺は仕方なく電話に出る。

 しかしそこで重大なミスに気づいた。

 相手が誰か確認するの忘れた……


「私。アリスだけど……」


 アリス?

 たしかに電話番号は交換したがそれは俺達がエニグマに宣戦布告しやすくするためだ。

 まさか向こうからかかってくるとは予想外……


「……何の用だ」

「私も桃花から追い出されたから責任持って宴とやらに参加させなさーーい!」


 お前も追い出されたのかよ。

 まぁ普通に考えればそうなるか。


「ていうかお前はなんで宴の事を知ってんだよ」

「さっき貴方が言ってたじゃない?」

「マジか」


 言った気がしなくもない。

 ていうかここにエニグマ入れて大丈夫か?

 どっちにしろ決めるのは真央だが……


「全部聞こえたよ。私が迎えに行ってくるねー」


 そして真央は数秒だけ消えた。

 数秒経つとアリスと共に何処からともなく現れた。


「……煉獄龍姫! あなた達なんてものを!」

「アリスも飲むか?」

「飲んだら死ぬわよ!」


 まぁそこは概ね同意する。

 煉獄龍姫はガチでヤバい。


「ていうかマリンちゃんじゃん!」

「……もしかして私のファン?」


 マリンはスーがアイドルとして活動する時のネーム。

 まさかアリスが知ってるとは……


「うん! まるで人魚みたいな歌声が好きで……」

「コイツは本物の人魚だぞ」

「それホント! 人魚でアイドルとかすごーい!」


 そしていつの間にかアリスとスーが意気投合。

 忘れてるが一応、彼女の所属するエニグマとは敵対関係なんだが……

 そんな中でインタホーンが鳴った。


「やっとピザが届いたか」

「私取ってくるね」


 アリスがピザを取りに行く。

 彼女なら酒をまだ飲んでないから適任だな。


「あなた達! いくつ頼んだのよ!」

「二十だな」

「頼みすぎよ!」


 アリスはそう言いながらも頬張っている。

 たしかに頼みすぎだが俺達の場合は真央が転移を使って他のメンバーにも配るからな……


「スーちゃん! お酒!」

「はいはい」


 スーが比較的普通の酒を渡す。

 流石にアリスは一気飲みせずにコップに注ぐ。

 一気飲みは死ぬ可能性あるしやめとくに越した事はない。

 ちなみに俺の場合は多分再生する。

 真央は知らんが煉獄龍姫を一気飲み出来る化け物だ。


「ていうかお前のエクスカリバー使えば二日酔い治せるじゃねぇか!」

「そうよ! 私を崇めなさい!」


 なんというチート。

 エクスカリバーが便利すぎる。

 まさかここまで強い剣だったとは……


「何それ! いくらでも飲めるじゃん!」

「私のエクスカリバーならこのくらい当たり前よ!」

「お前が酒が出てくる物語の具現化すればいくらでも飲めるんじゃねぇか?」

「考えた事も無かった! とりあえずやってみる!」


 凄く便利な能力。

 めちゃくちゃ欲しいな。

 でもここで無闇に奪う程、俺だって下衆じゃねぇ。

 俺が奪うのは敵対した人と姫を殺せるかもしれない能力だけだ。

 そして今のアリスは敵対してるとは言い難い。


「出来たー! “酒を買いに行くネコ”の再現よ」


 場所は完全に酒場だ。

 彼女の能力は物語に出てくる生き物以外ならなんでも再現出来る。


「アリスやるねぇ!」

「それほどでも〜」


 ていうか全員酔ってるな。

 さて、俺もそろそろ煙草の時間に……


「夜桜。煙草吸うなら(けむ)いから外に出てくれ」

「ちぇ」


 完全にコイツらが酔ったら吸うか。

 俺は渋々煙草をポケットに戻した。


「さて、もう一杯いくよー!」

「よし。俺も酒いきますか!」

「いけいけー!」


 真央が俺のコップに酒をよそいでいく。

 銘柄は煉獄龍姫じゃないな。

 そして俺はゴクゴクと酒を飲む。

 やはりこの一杯は格別!


「さて、そろそろ歌うよ〜」

「おー!」


 こんな飲めや歌えやの大騒ぎは深夜の四時近くまで続いた。

 途中から酒によって真央を除く全員の記憶が消されたのは言うまでもないだろう。

次回、あの人が出ます

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