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Episode 20 : 星空は永遠に

※注意・今回の話には残酷な描写があります。苦手な方は十分に覚悟をしたうえでお読みください。

 また、今回の内容を飛ばしてしまうと物語に重大な欠陥が生じるというわけではありませんので、どうしても苦手だという方は読み飛ばしていただいても問題ありません。

真っ黒なキャンバスに広がるのは様々な色に輝く綺麗な星空――



先程から窓の外を見ては「はぁ」と感嘆の息が漏れ出してくる。

後ろから聞こえてくるのは静かなクラシックミュージック。

ここは宇宙――しいていうなればそんな宇宙を満喫するために用意された遊覧船の客室の一つだ。

部屋の中にあるのは見るからに高そうな家具、そして壁にかかった意味の解らない絵画。

振り向いてそれらを確認すると少女は今度はため息交じりに「はぁ」と呟く。

ため息を吐いた少女は自分の衣装を見てさらにため息を吐いた。


(奮発して買ったんだけどなぁ……)


少女の服装は、惑星の地上で暮らす極々一般的な人々にしてみれば十分高価な物であった。

此処に来る少し前に、家族とともに町一番のブティックへ行き、そして貯金箱の中に溜まったお金をすべて使い買ったのだ。

しかしそんな少女にとってはとても高価な服も、この部屋と合うかと言われれば、まだまだ安っぽい感じがしてしまう。

そう思いながら再度ため息を吐いた。



少女は手元の紙、部屋の暖色系の光が反射しキラキラと表面が光かるチケット。

それは遊覧船のチケットで、『惑星コンスール~惑星ネブラスカ行き』と書かれていた。


(まさか当たるとは思わなかったなぁ)


少女はそんなチケットを見て顔をにやつかせる。

遊覧船のチケットは高価で、少女の様な一般の人々が普通は買える様な値段ではなく手にする機会などほとんどない物なのだ。

しかし偶然にも、少女は雑誌の懸賞で遊覧船のチケットが賞品に有るのを見つけて応募、そして見事当選しそのチケットを手に入れることができたのだ。

テレビ番組のドッキリ企画なのではないかと当選から数日間は思っていたが、数日後に本当にチケットが届くと親共々、一日中燥いで喜んだのはいい思い出である。


目線をチケットから離し、それから再び窓の外を眺めた。

この外に広がる宇宙のどこかに神様がいるのならありがとうと伝えたい。

おもむろに鞄を漁り、中から小さなカメラと三脚を取り出した。


「ふふっ、あとでお兄ちゃんに撮った写真、みせてあげよっと」


そう言いながら笑みを浮かべる少女。

彼女は世間一般的に言えばブラコンである。

兄は軍に入ったきりほとんど家に帰ってこず、この旅行には参加することはできなかった。

と言うよりはこの旅行に行くこと自体を伝えられずにいた。

なぜなら兄とは月に一回だけ星間通信で顔を合わせるだけなのだ。

次に話せるのはちょうど2週間後、丁度この遊覧船の旅の終わりと同じタイミング。

そしてこのカメラはその時に見せるための写真を撮ろうと買った物だ。


三脚を組み立てその天辺にカメラを載せ固定する。

そしてカメラのモニターを確認、カメラが水平になっていることをしっかりと確認する。

流石は高性能カメラと言ったところか画面の画素数が高いのか画面越しに見える景色は肉眼と同じかそれ以上に鮮やかに見えた。

父親がボーナスをはたいて買っただけの事はあると思う。

少女はそう思い納得すると、ソファーでくつろいでいる両親のもとに駆け寄った。


「お母さん、お父さん写真撮ろっ!」


ソファーでくつろぐ両親を無理やり引っ張り窓枠に連れて行く。

次にカメラのもとに駆け寄りタイマーを設定する。

そしてシャッターボタンを押すとそのまま両親の間に飛び込んだ。



「ちゃんと笑ってよ! ハイッ チーズ!」



カシャッ――という音と供にフラッシュが点灯した。



少女は胸いっぱいの満足感に浸り顔が笑顔になる。

そんな少女を見て両親が困った様に笑いかけた。



「エレナ、そろそろ写真はいいだろう。もう写真はいっぱい撮ったろう」


少女の父親が笑みの中に疲れの表情を浮かべる。


「嫌よ。だってお兄ちゃんにいっぱい見て欲しんだもん」


しかし少女はそんな父親の意見など聞く耳すら持っていない。

ドブラコンなのかもしれない。

そんな少女に両親はもう一度、困ったような笑いを少女に向けた。


今日だけで50回目なのだ、そろそろ休ませてほしい。

そんな事を思っていても、少女の溢れんばかりの笑みを見るとそんな事もつい言いにくくなってしまう。

両親もまた自分たちの子供を愛しているからである。


「エレナ、少しだけ写真を撮るのは休憩しましょう? もうお母さんもクタクタだわ」


見た目だけなら少女とさほど変わりなく見える少女の母親が、少女の肩に手を当てて宥める。


「え~……お母さんまでそんなこと言うの?」


可愛らしい顔を歪めて不満を漏らす少女。

若さとは有り余る元気の事を指すのかもしれない。

少女の母親はそんな事を思い、思わず笑みを漏らした。


そして暫くカメラと見つめ合っていた少女は両親の顔に滲み出ていた疲労にやっと気づき、そして渋々了承した。

両親の顔に安堵の表情が現れる。


「じゃあ、ビデオモードで取るのはいい?」


しかし諦めきれなかった少女は最後の切り札と言わんばかりにここにきて爆弾を投下する。

安堵の表情は一遍、しかしまあ、ビデオなら一々澄まして固まるという動作をしなくて済むと思い、


「まあ、それなら……」

「……いいわよ」


両親はやれやれと額に手を当て頷き了承した。

それでもすぐさま少女がカメラに手を伸ばそうとした時は流石に止めさせたが。


「せっかくの宇宙旅行なんだからもっと写真以外も楽しみなさいよ」


母親がカメラをさっと取り上げ、少女の鞄にカメラをしまおうとする。

しかしそれを素早く少女は止めにかかった。


「せっかくの宇宙旅行だからこそ撮るんじゃない」


少女は小さいころから宇宙に行くのが夢だった。

カメラで写真を一杯撮るのにはそういう理由もある。

一時たりともこの窓の外に広がる空間を見逃したくないのだ。

少女はカメラをビデオモードに変えると窓の外の景色を撮り始める。

宇宙に夢中になる少女、そんな娘の姿を見て、母親が父親の方を向いた。


「はぁ、まったくもう……なんでエレナもアレックスもこう、宇宙の事になるとキラキラしちゃうのかしら、ねぇあなた? 」

「うぐっ……ま、まあ母さん、折角の遊覧船の旅なんだゆっくりしようじゃないか」


父親は立ち上がると、アンティークのテーブルの上にあった、これまた高そうなグラスに入った酒を一杯飲むと軽く笑い誤魔化した。

そんな父親の様子を見て母親が苦笑する。


「まったく、碌な甲斐性も無い癖に、出会った時から宇宙に行くんだ~って言ってわよね」

「い、良いじゃないかこうして来れたんだから」

「ふふっ、30年たってやっとよ。しかも子供に連れられて」


母親は口に手を当てて、上品に父親に笑いかける。

少女の母親が、少女の父親と出会ったのは17の時だった。

出会ったのは地元で行われたイベントで、彼は彼女の2歳年上のナイスガイだった。

そして同時に優秀な青年でもあり、その夢は宇宙に出て宇宙で暮らすことだった。

そんな彼にひかれた彼女は直ぐにプロポーズ。

そして1年後には結婚して第一子も授かった。

さらにその7年後、第二子を授かる。

もうこの頃には宇宙に行くなど夢のまた夢でこうして宇宙に来られる日が来るなんて思ってもみなかったのだ。

そして数週間前に娘が慌てた様子で懸賞で宇宙に行けるチケットを手に入れたと叫びながらリビングに入ってきた時、彼女もそして彼も盛大に喜んだものである。


「ま、まあ子供だってなんだって来れたんだからいいじゃないか……にしても母さん、君は30年前と何にも変わらないな。俺はこうして皺皺になっていくって言うのに」


父親はまたグラスに酒を注ぎつつ母親に問いかける。

少女の母親と出会ったとき、彼は彼女の事を天使か何かと見間違え、その見た目の美しさに思わず手を合わせてしまったというエピソードがある。

そしてそれからかれこれ23年がった今、目の前にいる彼女はその時と見た目はさほど変わっていないように思えた。


「そうかしら? これでも十分に歳はとってきたと思うけど」


髪をかきあげ溜め息交じりにそんなことを呟く母親を見て、父親は小さくドキリとする。

可愛らしく首をかしげた彼女はとてもじゃないが40代には見えない。

家族的な贔屓を抜いても20代後半の見た目を保ったままだった。

所々に小さな皺が見えなくもない、かもしれない。

彼女は一緒に歳をとって皺皺になりたいと語っていた。

幾らそう見えなくても言っても言っておこう。


「そう、だな」


互いに見詰め合うとお互いに小さく微笑みあう。



「――ねぇ、私もいるんだけど」


不意に横から声をかけられる。

その声の持ち主はカメラを構える少女で、二人を目を細くして軽く睨み付けていた。

またもや父親と母親は見詰め合う、そして今度は娘の方に視線を送る。

そんな様子に少女の顔は赤くなると同時に俯いた。

そして少女がもう一度顔を上げると、今度は三人で見つめ合い、ドッと賑やかな笑い声が室内に響いた。


「ねぇ、それにしてもお兄ちゃん何処で働いてるのよ」


少女はふっと疑問に思ったことを口にする。

彼女の兄は15歳の時に航宙軍に志願した。

その理由は『この親にしてこの子あり』をまさに体現するような形で「宇宙に行きたい」というものではあったが。

そして兄は地元の軍の運営する訓練学校に入ると、元々優秀だったのもあり卒業するときにはパイロットとなっていた。

その後、兄は少女と家族が住む宙域の駐留軍の空間戦闘機のパイロットであったのだが、どういうわけか数年前から異動を繰り返した後、とうとうその任地が分からなくなってしまったのである。

前は月に一度、家に帰ってきては家族に顔を出し、毎週のように連絡をくれたのだが、これまた数年前からは月一で連絡しかしてこなくなった。

そんな兄に少女は内心腹を立てつつも何度か居場所を聞いたのだが、兄は笑ってごまかすばかりで教えてはくれなかったのである。


「まあアレックスにもアレックスの事情があるのよ」


今にも怒り出しそうな少女を母親が窘めに入る。


「……そうね、お母さんがそう言うならそうよね。お兄ちゃんはきっと私たちにもいえないような凄い仕事をしてるに違いないわ」


少女は直ぐに納得した。

兄の最近のつれない態度に少女が腹を立てそれを母親が窘める、宇宙に来てもいつも通りの日常だった。



そして気を取り直した少女が改めて窓の方を見ると、不意に視界を何かが横切って行った。



「――なにか、通った」



少女は窓に張り付き窓の外を眺める。

しかし外は相も変わらず真っ黒でそこに宝石をちりばめたような世界だった。


(気のせい?)


少女は首を傾げつつも窓の外を凝視する。


「どうしたエレナ?」


父親が窓のほうに歩きつつ、不思議そうにしている少女に尋ねた。

少女は、父親の方には向かないで窓の方を見つめたまま喋る。


「何かが、こう、横切った気がしたの」

「宇宙ゴミとかかもな」

「ううん、もっと大きなものな気がする」

「近くかい?」

「うん、たぶん…………」


少女はさらに目を凝らし窓の外を睨み付ける。


その時だった、船が左右に大きく揺れた――


「きゃっ!」

「大丈夫か!」

「何があったの?!」


バランスを崩しかけた少女は父親に抱きとめられ、母親は近くの家具につかまった。

断続的に続く左右の揺れはなかなか収まらない。


様子がおかしい―――


その場にいる全員がこの突然の出来事に不信感を抱く。

宇宙で船が揺れるなんてことは普通ないはずなのだ。


「様子を見てくる」

「あなたっ!」


父親が母親の制止を振り切って部屋をかけて出て行く。


扉が開いた瞬間、廊下から大勢の悲鳴と怒声が聞こえてきた。


そして出て行った父親が一目散に部屋の中に戻ってきた。




「海賊だっ!」




その父親の叫び声とともに沈黙が部屋を支配した。


「そん、な……なんで」


少女の母親が膝から崩れ落ちる。

そしてその顔は見る見るうちに真っ青になっていった。


一方、少女は今起きている最悪の事態を飲み込めずにいた。

地上で暮らす少女にとってニュースで、しかも名前だけしか見たことのない海賊など、おとぎ話に出てくる怪物ぐらい現実味がない物でしかないのだ。

それが偶然にも、自分たちの乗る遊覧船を襲ったなどという出来事は、少女にとって到底受け入れがたい物であった。

だからこそ少女はこの時、なぜ父親と母親がこんなにも狼狽しているの皆目見当が付かないでいた。


「エレナッ! こっちだ!」


少女が呆然と立ち尽くしていると、父親が少女の手を引っ張り部屋の奥にあるクローゼットの中に押し込む。

父親の慌て様に少女はさらに困惑した。

なぜここまで慌てる必要があるのだろうと。

そして言われるがままにクローゼットの中に押し込まれると父親はその扉を閉めようとする。


「ねぇ、海賊って本当にいるの?」


そんな少女の疑問に慌てていた父親は呼吸を落ち着かせ頷いた。


「ああ、いる。だからエレナ、絶対に此処から出るんじゃないぞ。いいな?」


何時にもなく真剣な表情をした父親に圧倒された少女は、首を縦に振るともうそれ以上は何も聞かないことにした。

一方で少女の父親もそれを見届けるとゆっくりとクローゼットの扉を閉める。

クローゼットの扉は薄らとスリット構造になっていて扉から多くの光が漏れ出している。

内側の少女は扉に張り付く、そして目を凝らしてみると向こう側の様子が見えた。

少女はそこから外の様子を窺うことにした。


先ず見えたのは、父親が母親をゆっくりと抱きしめているところだった。

それから耳を澄ますと小さいながらに怒号と悲鳴、そして多数の銃声が聞こえた。


(本当に、海賊なの――)


少女は此処に来てやっと自分の置かれている状況を理解する。

心臓が激しく鼓動し、緊張から呼吸が粗くなっていく。

その時だった。

突如、扉の方から大きな音がしたのだ。


そして同時に扉の方に様子を窺いに行こうとした父親が倒れるのを視界がとらえた。


「う……ぐぅっ!」

「ハリスっ!ひっ――」


胸を押さえて血反吐を穿いた父親は突然の出来事に何が起きているのか理解できていない様子だった。

そしてその様子に急いで近づこうとした母親が後ずさった。

扉の方から大勢のガラの悪い男がなだれ込んできたのだ。

その数は少なくとも5人はいて、少女の両親を取り囲むように立ちはだかる。


「へへっ、やっぱ遊覧船は金もっちばっかでいいよなぁ!」

「それに女も大勢いる」

「んじゃこの部屋に有る金目のもの、全部運び出しちまおうぜっ」

「――いや、待て。それより先に俺この女と犯してぇ……こんな惨めなおっさんには勿体ねぇしよォケケケ」

「どれどれ……ホントじゃねェか! こりゃいいぜ、賛成だ」


クローゼットでそんな陰惨極まりない会話を耳にした少女の下肢からは力が抜け、その場にへたり込む。

そして海賊だと思われる男たちの向こう側からは母親の悲鳴が聞こえ、そして隙間から母親の深紅のドレスが破かれていき、破かれた布が宙に舞うのが見えた。



いやっ! やめてっ―――



少女は叫ぼうとする。

しかし恐怖に怯えきった少女の体は少女に声を出させてはくれなかった。



「ミラに手を出すなぁぁああああ!」


不意に父親の叫び声が聞こた。

少女は扉に顔を近づける。

すると男たちの間から苦悶の表情を浮かべた父親が見えた。

しかしそんな父親を海賊たちは嘲笑った。


「まだ生きてたのかよっ!」

「しねっ糞じじいっ」


海賊たちの一人が小さなナイフを父親の目元に突き立てる。

そして痛みに耐えかねた父親が苦悶の叫び声をあげる。

続いて首元に違う男のナイフが突き立てられるのと同時に叫び声が止まる。

さらに追い打ちをかける様にまたもや別のナイフが心臓に突き立てられた。


「ォ―――ゥ……ガホッ!」


吐血し、絶望に打ちひしがれた父親の表情が少女の瞳にひどく焼きついた。

そして少女の視界から消えると鈍い音が床を鳴らした。

その後も海賊たちは手を止めない。

今度は腰のホルスターから拳銃を抜くと、何度も床の方に向けて発砲を続ける。

銃声の度に海賊たちの隙間からは赤い何かが飛び跳ねる。

海賊たちは楽しそうな奇声を上げる。

母親の悲鳴はここにきて、更に悲痛な物へと変わっていく。


「いやっ!ハリスッ、やめてぇ! いやっ! いやぁあああ!」

「わめくな、うるせぇっ!」

「うぐっ!」

「さて、次だ次。これ、誰から犯す?」

「オレ様からだ、こっそり持ち出してきたこの薬の試験だぜ」

「んじゃ次は俺、でそのあと全員でいいか?」

「ヒヒっ、いいぜ」

「決まりだ」


奥から鈍い音が聞こえたかと思うと母親の短い悲鳴が聞こえた。。

部屋には衣服が破かれていく音と海賊たちの奇怪な叫び声が響きわたる。

クローゼットに隠れていた少女の呼吸は粗くなっていき全身をどうしようもない程の寒気が襲う。

優しさなどとはかけ離れた本能に生きている獣の如く海賊たちは母親に容赦なく手を伸ばしていった。

その光景に思わず、少女は悲鳴を上げた。


「―――!」


慌てて口を手で押さえつける。

彼らに声が聞こえて居場所がばれたら自分も母親と同じ目に合う――

怖かった。

口を押える手は小刻みに震え、力が抜けた足元では何かがじんわりと暖かく広がった。


皮肉にも少女の声は母親の悲鳴によって海賊たちに気付かれることは無かった。


しかし、母親は少女の目の前で壊れていった。


体には破れた衣服が所々に残るだけ。

海賊たちはその光景に更に興奮を覚えると、反応がなくなってきた母親に今度は手にナイフを突き立てた。


悲鳴。


そしてまた海賊たちは奇声を上げて喜んだ。

その後もずっとその連続だった。


反応がなくなったら痛みつけて悲鳴を上げさせる。


そんな光景に少女の思考が等々悲鳴を上げた。

視界は暗転を繰り返し、頭の中には母親の悲鳴だけが反響し続ける。

間もなくして少女の意識は途切れた。



それから暫くして部屋は静けさを取り戻す。


部屋に転がる二つの骸。

そして壁に広がる夥しいほどの血痕があちこちに飛び跳ねていた。



窓の外に広がった星空はこのことを知っているのだろうか。


いやたぶん知らないだろう。


家族が愛した星空は今も変わらずに輝き続ける。


ご一読ありがとうございました。

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