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一話

「初めまして、今日からこの樹条家に住まわせて貰う、樹条優斗です。」



「よろしくね、優斗くん。今日から貴方の血の繋がらない義理の姉になる、樹条毬ですわ。」




ひきつった愛想笑いで報告さえされていない義理の弟、優斗に挨拶し、案内するわ、と後ろを向く。

勿論、両親をギロリと睨み付けるが、両親は笑顔のままだ。




「彼も東洋の末裔だと言うから、引き取ったんだ。同じ種族が増えて嬉しいだろう?」




そう、うちの種族は今は昔に滅びた東洋の国の末裔一家。

たまたまこちらに旅行していた樹条家が生き残り、ここで住むときにこのアガムスタン王国の王様の祖母が東洋人で十和子様と言うらしい。

東洋の国が海に沈み、悲しんだ十和子様は生き残りの私達に支援金を送り続けてくれた。

私達も送られ続け、十和子様に特別視されていると批判されるのは嫌なので、貴族となり、名高くするようにしたのだ。それは、樹条家の今はなき祖父母が残してくれたものだ。

跡を継ぐのは私で良いだろうにと思うがそうもいかないらしい。




「ここが、貴方の部屋よ。」




用意されたシックな部屋の扉を開けると優斗はさぞ喜んだ。

好みだったらしい。




「喜んでもらえて嬉しいわ。」



「あぁ、ありがとな。役立たずの姉さん。」




扉を開けた所でピタリと止まる。




「そうだろ?お前の噂は聞いてるぜ。裏と表の顔を持つ無慈悲の女神。美しい顔立ちであり、優秀なのに、その裏、人をけおとす」



「…あら、気が付いいたのね。そんな噂流されていたのは知りませんでしたけど。

貴女だって、私と同じではありませんか?

表向きは優しい青年のフリをし、裏では今のように生意気な子供。」



「褒め言葉と取っておくぜ。俺は俺だ。周りみたいに、お前を特別視なんかしてやらねぇよ。」




可愛くない弟を持ったものだわと、一言呟き扉を開ける。

でも、彼のような人はそうはいないわね。

私は、くるりと振り向き彼に行った。



「私、貴方の事が気に入ったわ。今日から貴方を全力で誘惑し、いつか必ず私のものにしてみせます。」



欲しいと思う感情はこれが初めてだったかもしれない。

私は、目を点にして驚く彼に嘘偽りのない微笑みを返して、部屋を出た。

誘惑するとなれば、どうするか?

答えは簡単。…マリアンヌに聞くとしようか。

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