81話 アルフの怒り
それから時間が経ち、作戦実行日の4日前。
リズたちは問題に直面していた。
「やはり納得いかん!なぜ俺のような崇高なる種族が下等な人間のわがままを聞かねばならんのだ!!今すぐにでも灰にしてやりたいくらいだというのに!!俺は早く帰りたいのだ!」
「ああもう!うるっさい鳥ね!そんなこと言っても無駄でしょ?!脳みそみじんこレベルなわけ?!帰りたいだなんてみんな思ってるわよ!!」
しばらく姿を見なかったアルフだが、帰ってきたのだ。
リズたちの前に姿を現したと思ったら、突然大声で喚き始めたのだ。何事かと思えば、帰りたいだの協力したくないだのなんだの、今更なことを永遠と口にしている。
「で、でも!アルフは私たちに協力するっていってたじゃん!」
リズが精一杯言葉を紡ぐと、アルフはリズの方を睨むようにしてみながら
「誰がいつ、人間を助けるための計画に加担するといった?俺はただ『協力してもいい』といっただけだ。協力してやるなどと断定していないだろう?あくまでも考えるだけだ。故に俺がその約束とやらに付き合う必要性はこれっぽっちもないというわけだ。」
確かに完全にアルフがこちらの味方になってくれるといったわけではない。そう言われてしまえば納得せざるを得ない。
リズは苦い顔をしながら、それでも何か言い返せないかと考えていると
「それはちと酷くないか?」
ラタムがアルフに向かってことばを投げかける。
アルフはリズにしたのと同じようにラタムを見て
「何が酷いというのだ?実際に俺は…」
「何時がどう思っていようが、それが相手に伝わっていなければなんの意味もなかろう。だのに一方的に攻められれば、納得できぬのもむべなるかな。もうちと童たちのことも御心にかけてはくれんかね?」
ラタムは美しく笑みを浮かべながら、アルフを問い詰めていった。
しかし、アルフは全く納得していないようで、今にも『何が悪い。俺の勝手だろう。』とでもいってきそうだ。
「それはだだの自己満足というのではないかえ?アルフの中でだけ完結しているのは皆に当惑を招いてしまうのでな。」
ラタムは続けて「汝の主君に対する忠誠心は素晴らしいが、人間を絶滅させるなどの暴虐に出るのはどうかと思うのじゃが。」と、リズたちの味方と取れるような言葉を吐いたが、アルフはますますめんどくさそうに、うんざりしたといった雰囲気と声で
「しかし絶滅させた方が早い。わざわざ事細やかな作業や人間どもの複雑な心境に付き合うよりもはるかに合理的だ。実際、どの種族が亡ぼうがどうしようが俺たちに支障をきたすようなことは起こるまい。」
「しかしあれだ、最大多数の最大幸福というやつだ。少数派は見捨てたとて、そのほか大勢の幸せを願うべきではないかえ?下界の生き物たちが思う神とやらを演じてやった方がこちらにも後々益がある。」
どうやらリズたちへの同情だけで動いているわけではないらしい。そこまでお人好しな人もなかなか見ないが、リズは助けてくれる人は大体が優しさだけで動いていると思っていた。
実際、そういう人もいるにはいるのだが、人間そこまでできてはいないのだ。
「あ゛ー!!勝手にしろ!俺は手伝わない!!」
憤慨して、姿を消してしまったアルフだが、リズたちはなんとかことなきことを得た。
この後特に何かが起こるわけでもなく、比較的平穏な1日になった。




