75話 実行日決め
流布時なの提案に苦い顔をしたのはニックだった。
彼はアルフとラタムの顔を見たが、2人同時に目をそらした。
「その魔法が使えるのは僕とアルフとラタムだけなんだけど?しかも僕以外の2人に関しては引き受けてくれなさそうだし。」
「なぜ俺が貴様を手助けしなきゃならないんだ。」
「消費魔力も多いしのう。妾にはちと厳しいやもしれん故。」
アルフはそっぽを向いたままニックに反対し、ラタムは自身の尻尾で顔を隠しながらクスクスと笑っているが、自分はやらないと言っている。
しかし、現在進行形で困り果てたような顔をしているニックを助けてくれるものは今この場にいなかった。
「ラタム、君はそこまで魔力が少ないわけでもないだろう?第一、この中で一番魔力保容量が低いのはパームだし、彼じゃない限り認識阻害も催眠も幻影も使えるだろ?」
「久しぶりに話が振られたと思ったらディスられたパム。最近自分の影が薄すぎやしないか気になってるパム。」
『パムは怒ってるんだぞ!』とでも言いたげにほっぺを膨らましてニックの体をパカスカと殴るパーム。
全然痛くなさそうだし、実際ニックは子猫……この場合は子犬が戯れてきているようにしか感じられなかったわけだが。
「同時展開するんじゃろ?魔力が足りたとしても請け負いたくないわ。……で?実行日はどうするんじゃ?」
「はぁ…まあそのくらいなら請け負ってもいいけどさ。」
ラタムの中ではすでにニックが魔法を使うことで確定していたらしく、ニックの言葉を聞こうともしなかった。
それほどニックのことを信用しているのか、はたまためんどくさいから丸投げしただけなのかはラタムのみぞ知る。
「一番警戒が緩むであろう時期を狙ったほうがいいわね。」
「なら冬祭りが一番だと思うわ。」
ベルの言葉にソレイユが返したが、ルフィナが首を横に振り「お祭りの時はオススメしないわ。」と否定してきた。
「どうして?お祭りの時ならみんな楽しいことに惹きつけられて警戒とかしないと思うんだけど……。」
「そもそも祭りが始まる時間はいつだい?祭りの最中にだんだんと人が減っていくだなんて怪奇現象じゃないか。そんなことしたら一発で部外者がいるってバレてしまうよ。」
リズは頭の中で想像してみた。
浴衣を着てワイワイと人が賑わっているが……時間が経つにつれて人混みが少なくなっていく。
怪奇現象どうのこうの以前にホラーだ。
確かにそんなことが身近で起こったら怖いし、警察官なんかが出てきてしまうかもしれない。
最悪の場合、一般の人たちが家などに引きこもってしまい、作戦を決行できなくなる可能性が大いにある。
「できることなら普段と同じだが、家に引きこもってなきゃいけない日なんかが最適だね。」
ライサが丁寧に説明してくれたような日がないか、リズが考えていると
「小生に心当たりがある。」
レオが足を組み、リズ達の方を見ずに言葉を発した。
あるものはレオの方を向き、またあるものはつまらなさそうにしていた。
「再来週の水曜日による7時から明日の朝まで外に出てはいけないしきたりがあるはずだ。その日が一番最適だと、小生は思う。」




