70話 機械作成
何度目かはわからないが、もう転送魔法特有の光にもなれ、気がつけば、目の前に先ほどとは違う風景が見えるのにもなれた。
目の前にはサイネリアがいて、少し疲れ気味な表情だった。
しかし、サイネリアはこちらに気がつくとニッコリと笑顔を浮かべて
「おかえり。随分と早かったね。」
「早いとか遅いとかどうでもいいパム。早くパライをくれパム!」
パームがサイネリアを急かすと、サイネリアは彼特有の苦笑を浮かべ、何か呪文のようなものを唱えると、目の前に色とりどりの卵型をした木の実が出てきた。
パームはその木の実を見ると、飛びつくようにしてそれらのうちの一つを手に取った。
リズでも見たことがないほどの笑顔を浮かべるパームに、皆が揃って『よっぽど好きなんだな』と、思った。
「短期期間に転送魔法を使いまくったかいがあったパム!パライなんて久しぶりに食べるパム!」
パームは自身の気持ちを声に出した後、薄花色のパライを食べ始めた。
リズは気になり、サイネリアに聞いてみた。
「あれはどんなものなの?」
「あれは木の実をとる対象者の魔力属性の比率や波力の量によって味が変わるんだよ。」
つまり、パームは人の魔力が入ったものを食べているわけだ。
オプティルトの中ではとても流行っているらしく、やはり、好みがオプティルトによって別れる代物らしい。
「で?カルセベルはもらえたかい?」
「もらえたよ!後は機械を作るだけ!」
サイネリアの問いに、リズは自信満々に答える。
サイネリアは続けて
「その機械は誰が作るんだい?」
「あ……。」
誰が作るか、その一言で、舞い上がっていたリズは硬直した。
機械が作れなければ、カルセベルだけあっても無意味ではないか、リズは落胆したが……
「ニックに作ってもらえばよかろう。妾が頼んでやる。」
ラタムが横から口を出し、ニックに作らせると言ってきた。
なんだか悪い気がするが、ラタムが言うに『あやつは機械を作るのも好きだし、何より色々な材料の調合が……なんと言ったかな……そうだ、三度の飯より好きなのじゃ。』とのこと。
ラタムが意気揚揚とニックに話しかけると、ニックはあからさまに面倒くさそうな顔をして
「なんだい?君が意気揚揚としてるときはだいたい面倒なことなんだよ。」
わかりきっていると言いたげな表情を無視してラタムが
「なんじゃ?せっかく汝が好きな調合や機械を作る機会を儲けてやろうとしたと言うのに。」
「今すぐ謝るから詳しく。」
鮮やかなまでに手のひらを返したニック、ラタムは口角をさらに上げ、ニックに事を説明する。
ニックは説明を聞くうちに、だんだんとテンションが上がっていき、リズたちが『転送魔法用の機会を作って欲しい。その代わり自分たちの知っている限りの情報は言う。』と、交渉した。
しかしニックは『君たちの知っている人間界の情報はいらない。その代わり、君たちがここに来るまでにみた魔法植物や、何か材料になりそうなものを教えてくれ。』と言われた。
そんな簡単な事でいいのかとも思ったが、ありがたく、お言葉に甘えさせてもらった。




